昼休みは、VR陣取りゲーム日和
「おーい。遥起きなよ。」
夢に侵入されて、叩き起こされた。白装束を着た美女に、5.6歳から起こされている。当時は、見知らぬ同世代の女の子が、夢に出てきた。
それから、10年以上経って思いがけず出会った。
18の時に、時空管理官の友人に弥生時代に連れていかれた時に出会った。現実の彼女は、夢の姿のままだった。
そして度々、稲作や遣魏使、世界一周など手伝った。
それから、夢の中でも成長したり、名前を呼んでもらえるようになった。
どうにか、アラームの2分前に起きて止めた。寝過ごしたら、AIのアイリスに怒られるところだった。ア○フォーンXXに入っていたバグのようなモノ。
出会った頃は、純粋無垢だったが、今では結構生意気になってきた。来年末に、買い替える時にデータと一緒に消そうかな。
また、のんびりしていると、あいつらがやってくる。
重い腰を起こして、布団を出た。
まずは、炊飯器2台起動させて、6合の米を炊く。
念波の受信をONにした。そして、脳内ラジオのチャンネルを鹿児島妖怪ラジオに合わせた。
70年以上のおばけ番組、『天雲元気で』は、知り合いがやっている。母校の小学校トイレの花子と太郎が、やっている。
朝ごはんを作っていると、台所の壁を何かが通り抜けて足元がスーとした。
多分、女の子と犬の幽霊だろう。
「おい、光とクロ、貞子(本名不明)。壁を通り抜けるなって、何回言ったら、分かるの。」
「だって、クロが台所に行くのを止めようと思ったら。ここまで、来ちゃったの。」
「だから、悪くないって言いたいのか?」
「うん。あっちに行くから、アイスちょうだい。」
「ダメだ。ほら、あっちに行って。」
いきなり、貞子が話に割り込んできた。
「たく。だから、おっさんモテねんだよ。いいか女の子には優しくだな。」
「じゃ、ウィンナーもらってくね。ほら、クロとさっちゃんの分もあるから、邪魔しないうちに行くよ。」
「よくやった、光。行くぞ。」
光とクロ、貞子と出会ったのは、一年前だ。
光は、俺の誕生日に来たらしいが、見えてなかった。1ヶ月半ぐらい経って、見えるようになった。
クロは、子犬の霊でブラックドッグ。今では、なぜか懐かれている。
貞子は、ある館に住む元ギャルの幽霊。高校の文化祭のお化け屋敷で貞子の格好をしたらしい。休憩中に、不慮の事故で亡くなった。
そして、幽霊の姉弟が、住む幽霊屋敷に引き寄せられて住んでいる。今は、たまにこうやって、遊びに来る。
料理を作っている最中に、明希と桜がやってきて来た。
桜は、明希に見つからないように、光とクロに袋一杯の駄菓子をあげていた。
なぜかこの中では、俺と桜だけが霊力があるらしい。
俺の弟妹も明希も見えないらしい。
桜とクロが、走り回っている中で朝ごはん食べた。
吹奏楽の顧問として朝練を監督した。ランニングや筋トレ、音出しを見守っていた。
卒業式を終えて、一週間。終業式前日となった。今日は、俺の授業は、ないので。溜まっている仕事に追われた。
昼飯は、朝ごはんの残りを詰め込んできた。中庭で、食べていた。すると、兎熊が、肩の上に登って来た。
「あっ、モフ。食事の邪魔をしちゃダメだよ。」
「お前も、気をつけろよ。優香。ペットの持ち込みが、バレたらまずいだろ。」
「大丈夫だよ。」
そんな話をしていると、向こうから二人やって来た。
「あっ、遥先生と優香だ。雹牙をみかけて連れて来た。皆んなで、一緒に食べない?」
「別にいいぞ。雹牙も座れよ。」
「分かったよ。魔王。」
「だから、いつも言ってんだろうが。雹牙。その呼び方をやめろ。冬川 遥先生といいなよ。
それに、俺は、絶対に魔法をこの世界から消す未来なんて起こさない。だから、その呼び名を言うなよ。」
「分かった。だったら、飯食った後。3対1で勝ったら、公共の場では言わない。その条件でどうだ?」
「分かったよ。やってやるよ。雹牙。」
雹牙は、桜梅高校 魔法科1年生。俺が魔王となって、数日間 誰も魔法が使えなくなってしまった。それから、一部の人しか使えなくなったそんな世界から来たらしい。
だから、いつも俺に挑んでくる。
食べ終わった後、準備運動をして勝負を開始した。
知り合いの精霊が作ったVR陣取りゲーム『Toutparier』を起動させた。VR空間で、本格的に戦える。実際の魔力と体力が数字かされるから便利。ここなら、怪我もしないし。実践練習にもってこいのアプリだ。
まず、優香が巨大ぬいぐるみ3体出した。彼らは、モフモフの見た目とは、裏腹にとても硬い。
「鉄人形」
「鉄人形」
「破壊と恵たる炎よ。汝、踊り出よ。内から、敵を討ち滅ぼせ。破裂
「氷海」
鉄のぬいぐるみ3体に対抗して、鉄人形3体を繰り出した。紅美の破裂魔法で、熱して。雹牙の氷魔法を使って動きを止められた。
熱で膨張と冷却の収縮によって、ゴーレムに細かい亀裂入ってしまった。多分、熱や強い衝撃で壊れるだろ。
「炎柱 音風」
「万界の王たる、漆黒の炎よ。我は、宇宙の法則を覆し、全てを破壊する者なり。爆裂」
わざっと熱して鉄人形を、破裂させた。その破片に音魔法で、振動を与えて攻撃力を上げて、風に乗せて飛ばしたした。
それを、紅美の爆裂魔法によってほぼ消し炭にされた。
そして、その直後に優香の巨大ぬいぐるみ達のパンチを繰り出された。
それを、音魔法で手の平に強化して受け止めた。そして、足にも音波を発生させて避けた。
「黒炎嵐 水斬 」
「エクスプロージョン」
「氷鉄」
鉄のぬいぐるみ達を溶かすために、炎と風をかけ合わせて業火の如く燃え上がらせた。
紅美が、無演唱で爆裂魔法で攻撃して来た。それを、水を風の魔法で鋭い刃物の如く切り裂いた。二つに分かれて爆発した。
ついでに、鉄塊となって燃えていたぬいぐるみ達も真っ二つに切った。
雹牙が、鉄を氷魔法でキンキンにして飛ばしてきた。だか、黒炎嵐に飲まれて消えた。そして、温度の差によって轟音を上げて爆発した。
さっきのゲームの結果、3人の賭けていた陣地を手に入れた。
「おい、魔 まじで、大人気ねえ。でも、今度から冬川先生って呼んでやるよ。」
「大人気ないって言われてもなぁ。本気でやらないと、こっちがやられるだろ。」
「しょうがないじゃん。これだも、魔法総合の先生だもん。ほら、一緒に教室にもどるよ。」
「分かったよ、優香。でも、今度は、絶対負けねえ。覚えてろ、冬川 遥先生。お前が、負けたら魔王先生って呼んでやるからな。」
優香に引っ張られながら、雹牙は叫んでいった。
現実だったら、怒られてただろうな。校舎で何度も爆発音も鳴らさなくて良かった。
食後の運動を済まし、余裕を持って職員室に戻った。
チャイムが鳴って、しばらくして校長が入って来た。
「あっ、冬川先生。校長室で話をしたいのですが、少しよろしいですか?」
「はい。校長。分かりました。すぐに、向かいます。」
席を立ち、校長室の前に立った。自分の鼓動が聞こえるほど緊張しながら、3ノックした。カラカラの喉から「失礼します。」と絞り出した。「どうぞ。」と返事があり、意を決して少し重く感じるドアを開けた。
「まずは、座って話しましょう。」
「あの、校長お話とは、何ですか?」
「まずは、改めて言うわね。教採に受かておめでとう。その件で人事が来ていてね。
日本魔法魔術学校に行ってもらいたんだけど良いかしら?」
「ありがとうございます。子どもの頃からの夢だったんです。」
「あら、良かったわね。でも、学園長の壇之浦 叶愛には気をつけなさい。あのプライドの高過ぎで、気難しい女だから。」
「そうなんですか。どんな女性か分かりませんが、肝に命じます。」
「あいつは、学生時代から変わらないのよ。あーあの顔を思い出したら、腹が立って来た。口に出すのも嫌になってきた。
いつも、学年一位で私を見下して。嫌味ぽくニヤと笑うよ。」
「そうなんですか。校長は、どう思っているんですか。」
「死ぬほど嫌いよ。でも、あっさり死んでもらったら味気なわね。今までの行いを謝って、絶望感の淵に落としてから死んで欲しいかも。」
「そうですか。これまで、3年間ありがとうございました。日本魔法魔術学校に行っても、本校で学んだことを生かしてがんばっていきます。」
「うん。頑張ってね。では、もう良いわよ。」
「失礼しました。」
念願だった学校に転勤が決まった喜びで顔が緩みぱなしだった。水道で、顔を洗って職員室に戻った。
気持ちを切り替えて仕事を再開した。さっきよりも、仕事がはかどった。たまっていた書類は全て終えた。
放課後は、吹部(吹奏楽部)の顧問として、基礎練や合奏を見て指導した。
部活後、携帯を見ると中村 L 奏瑠からLINEがあった。あいつから、飲みに誘われた。




