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魔術教師 ハルは、モテたい。日本魔法魔術学校編  作者: 香月 紅鏡
冬川 遥 非常勤時代 最期の一ヶ月
2/16

裸乱蘭

今日も、聞き慣れた女性の声が、脳内に響いて目が覚めた。


早朝の穏やかな光が差し込む部屋、人影が見えた。

寝ぼけいるのかと思い、目を擦った。

そこには、バスタオル一枚だけの美少女が三人が居た。

その光景に、思考も動きも止まった。冬川遥(はる)23歳人生を掘り返しても、初めての経験だった。


オレンジがかった鮮やかな緋色の燃えるようなウェーブ髪。

琥珀のような茶色と黄色が混じり合った瞳。

目鼻立ちが、スッキリしていたて端正な顔立ちだ。

まるで、粉雪のように淡く白く透明で柔らかい肌がタオルから見えていた。


明るい茶髪が、朝日でオレンジ色に光り。

瞳は、ダークチョコの中心にチョコホイップを入れたチョコのよう。

肌は、真っ白いマシュマロのような弾力がある。


ラベンダーのような爽やか紫の濡れた髪が肩にかかっていた。

翡翠のような透明感のあるくりっと大きな瞳。

ミルクのようなしっとりなめらか肌が、うすら赤みを帯びている。


「綺麗だ。」

少女達の容姿に目を奪われて、その言葉しか出なかった。

俺の思考や体は、止まったまま固まってしまった。

そして、彼女達を守っていたたタオルが落ち、朝日が大事な所を隠してくれた。

しかし、何故綺麗な少女達が自分の部屋にいる!?

『俺は、部屋を間違えたか?GPSは、西新宿8丁目3。自宅の春曙荘(しゅんしょそう)2階で間違いないだろう。』

確認のために振り返って、寝室のドアを引こうとした瞬間

「きぃ────ゃ」 

少女の喉から声にならない悲鳴が。

冷凍され糸を引っ張るような、背筋も凍る緊張感の中。

彼女達の大きく息をする音だけが、部屋に響く。

不味い。今叫ばれたら、問答無用で俺が、疑われる。

「待ってくれないか?不可抗力とは言え、済まなかった。」 

不慮の事故とは言え、彼女達の心を傷つけたのは確かだ。ここは、真摯に対応しよう。

「あーーもう、分かったよ。鈴先輩と優香もそれでいい?」

「うん。紅実ちゃんが、許せるならそれに従うよ。」

鈴は、軽く頷いた。

「長島さん、紅実(くみ)、優香、すっぽんぽんじゃない。ほら、服を着て来なさい。冬川先生も着替える間、あっちに行ってくれる?ガゥゥ」

突然、台所から花守 桜と夏山 明希(あき)が出てきた。

「ビックリした。花守先生に夏山先生。居たのなら、もう少し早く出て来てくださいよ。心臓止まるかと思いました。」

「ほら、朝ご飯の準備は、出来てます。女の子達が、困ってます。それに、早くしないと桜先生に噛みつかれますよ。」

男は、哀愁を漂わせながら部屋を出た。


タオル一枚の女子高生達は、非常勤で働いている高校の魔法科に通う女子高生達だ。

魔法科とは、来年全国的に魔法教育を実施する為にモデル校に導入された。


長島 鈴は、桜梅(おうばい)高校 魔法科の3年生。沈黙の魔女の二つ名を持っている実力者で、一言も発せずに魔法を出せる。今日、晴れて卒業する。

燃杭 紅実は、桜梅高校 2年の爆発魔法の使い手。

盛山 優香は、桜葉高校 新2年になる。動物と話せる人形使い(ゴーレムマスター)。いつも肩に、子 熊兎(メルン)モフを乗せている。メルンは、兎耳の熊で、パンダと並んで動物園で人気だ。


明希の普段の姿は、黒髪のロングの24歳女性。本を読むときや授業時に眼鏡と頭の後ろに団子結びにする癖がある。

幼稚園からの高校まで同級生で、中学校の時一緒に吹奏楽もしていた。仕事は、俺の家から5分の秋島小学校教諭をしている。


桜は、黒髪ツインテールの女性。同じ高校の桜梅高校 魔法科の非常勤講師だ。1年前に仲良くなって、毎日明希と一緒に来ている。その時の出会いは、今でも鮮明に覚えている。


夜明け前に窓の側を通った時、トンと小鳥や虫がぶつかったような音がした。すぐに開けたて、ベランダに出た。だけど、何も見当たらなかった。

ガッサと、物音がして振り向いた。隅っこにパンツ丸出しで頭を抱え隠れていた。

お腹空いていたらしく、ご飯を食べさせてからもう一度眠りに行った。起きた時には、出て行っていた。

そして、明希と仲良くなった。彼女の教員住宅で同居。

翌朝、俺の鍵で合鍵を作って上がっていた。二人で朝ご飯を作って待っていた。

桜が、俺と明希の仲を取り持ってくれたおかげで、一年で明希とかなり良い仲になってきた。


数分後ぐらいに、寝室のドアが空いた。

「遥、ご飯出来たよ。それと、ごめんね。あの時、桜の作った料理を食卓に並べてた瞬間にあんな事が起きるなんて。」

「大丈夫だよ。明希。ほら、行こう。」


テーブルいっぱいに、山盛り料理が並べてあった。あまりにも、多すぎて俺の席が無くて机代りに画板を使って食べた。

桜が卒業式の日に料理を振る舞うと生徒を連れて来たらしい。

その彼女は、幸せそうに頬張り、隣の明希が口についた米粒を取っている。

美味しいけど、ほとんどは作った本人の胃袋の中だ。


朝食の時間が、いつの間にか女子会みたいになっていた。

「あっそう言えば。花守先生と夏山先生は、姉妹みたいに仲がいいですね。遥先生。」

紅美が、いきなり振ってきた。

「確かに、凄く仲が良いよな。1年前に、その日に仲良くなったんだぞ。」

明希と桜が照れ笑いをして、部屋に温かな空気になった。

皆んなで、片付けを済まして、全員古ぼけたアパートを出た。

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