【目蓋を閉じると夢を見れるって、あっしは聞きやしたぜ】
おはようございやす。おっと、もう正午でしたね。お昼時、こんにちはの時間でさぁ。へへへ。お腹すきやしませんか? 昨日捕まえたハエが半分くらい残ってますんで、一緒に。あぁ、いらない? 食いやしないですかい? そりゃ失礼致しやした。久々の客人ですんで、ちっと舞い上がってしまいまして。
自己紹介させてくだせぇ。あっし蜘蛛でございやす。難しい漢字で書きますが、読めりゃぁ問題ありやせん。容易に想像しちまう、その形で間違いねぇでさぁ。ちょいと不気味でしょ? 6本の脚が売りなんて言っちゃぁ、ひかれちまいます。あっしも日々精進なんで。ですけど、こいつを見てくだせぇ。巣ってやつです。へへ、大雑把な性格何ですが、繊細でたくましい巣を作るんでさぁ。チョチョイってね。考えてやってるんじゃねぇんですよ、身体が覚えてるんでさぁ。不思議なもんですねぇ。
すいません。退屈ですかい? 本題に入りやしょうか。つい脱線しちまうんで、よく怒られちまう、困ったもんでしょ。気をつけちゃあいるんですけど。
……あれ、何の話かわからねぇって顔してますぜ。マユちゃんから聞いてないんですかい。本当ですかい? こいつぁ……こりゃ困った。あっしから沢山語っていいのか、難しい事に、困っちまうなぁ。
ちょいと世間話をしていいですかい。あそこを見てくだせぇ。授業ってやつです。よく見えるんで、あっしも精進させて貰ってます。此処はドア、水槽、植木、カレンダー、色んな物が死角ってやつを作ってくれてるんで、お気に入りってやつでさぁ。へへ。
え? そんな事より本題を? あっしもさっきまで話すつもりだったんですがねぇ……焦らんでくだせぇ。きっと、事情が変わったんでさぁ。のんびりは嫌いですかい? 先を急いでる訳じゃないでしょ? ならなら。
すいやせんねぇ。このツケはいつか払いたいもんで。けれども、一つくらい、せっかくなんでぇ。こいつぁ内緒ですよ。マユちゃんに見つかっちまいましたら、どやされちまう。見えてて良いものと、見えてちゃいけないものが沢山ありやす。さぁ、行ってくだせぇ。そろそろ、あっしも巣を作ります。楽しんでくだせぇね。




