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めげません 目標は愛でること  作者: 小林 明日香
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暗闇と光っている私

フワフワする。心地良くてずっとこのままでいたい。

 誰かに抱きしめられているみたいであったかい。安心してなんにも考えたくない。


 …………なに? 何か聞こえる。うるさいな。

 気持ちよく寝てるんだから邪魔しないで。起きたくないってば。

 ……んもう。


 小さい音だけど耳障りな音に起きたくないけど、眠りの邪魔をする元凶を確認するべく目をゆっくりと開けた。

 でも真っ暗で何も見えなかった。


 ……何これ? 真っ暗で何も見えないんだけど。


 周りは真っ暗なのに自分の周りは薄ら明るく、光っている元を確認した。

 光源は自分の体で黄色や赤、青と忙しく変化しながら淡く光っていた。


 ……光ってる? 何で?


 自分の手足が光っているのを確認して周りも確認した。自分以外に何もなさそうだ。

 真っ暗で何も見えないのに、あの小さい音は聞こえる。


 ……わたしって目開けてるよね? 手足が見えてるんだから開いていることは開いているんだろうけど。こう暗いと分からないよ。


 まだボーッとした鈍い頭で自分の事しか考えられなかった。


 ……ああ、苛立つ。気持ちよく寝てたのにあの音に起こされて。腹立ってきた。どこから聞こえてくるの?


 暗闇に上下左右分からず、無重力を体験している様だ。普通は重力を感じていないと不安だが、なぜか不安感では無く安心感があった。


 手足の光を確認し、手をニギニギしたり足を伸ばしたり縮めたりして動くか確認した。


 ……あの嫌な音を止めて、また寝たい。どこから聞こえてくるの?


 だんだんと頭が覚醒してきた私は、自分の状況を確認し始めた。


 ……ここはどこ?


 どこを見ても真っ暗で自分の体だけが光っているのは不思議である。


 ……光ってるから不安がないの? 真っ暗って普通は恐怖で発狂するんだけどな。

 そもそもわたし裸だ。見てる人いないから良いけど、服着てないって恥ずかしい、落ち着かないし。


 考えていても、あの小さいけどうるさい音は鳴り止まない。


 舌打ちしたい気持ちになってきたが、無意味なので止めておくが、いい加減蹴飛ばしたくなってきた。蹴飛ばす物は無いが。


 無重力状態だからか体が動かしにくいが、音源と人がいないか前後の上下左右を確認した。


 …誰もいない。何で!? ここどこ? あの音はどこから聞こえてくるのッ?


 安心感があるはずの私に、恐怖という不安が一気に勝った。


 恐怖という化け物から自分を守るために、私は目をつむって体をギュッと縮こまらせた。




 どのくらいの時間が過ぎたか。心地良い温もりに包まれて、恐怖が無くなった。

 このまま何も考えないで眠ってしまいたい。


 ……寝ても良いよね? 良いよね。起きてても真っ暗で何も見えないんだから。だったら寝てても変わんないよね。


 本格的に眠りにつこうとしたら、あの小さくて耳障りの音が少し大きく聞こえた。

 それにイラッとしつつ睡魔には抗えず、聞こえる音について考えるのを止めた。


 いや、止めたかったけど、音が更に大きく聞こえて考えなきゃいけなくなった。


 ……誰よ!? もう怒った。絶対止めてやる。


 同じ所に居ても何も起きないと決めつけた私は、動き回る事にした。


 ……と思ってもどこをどう探せば良いの? 取りあえず真っ直ぐ進んでみようかしら?


 宇宙飛行士のように泳ぐような動きで、音の方向に進んでいく。

 安眠のために私は動けるだけ動いて音源を突き止めようと決意する。


 ……絶対音を止めて、また寝るんだから。


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