73.パンをパンたらしめる焼成工程。「攻略」の糸口が見えてきたような気も……
2次発酵も終わり、いよいよ生地を焼き上げる時間がやってまいりました。
パン作りの教則本には「焼成」工程とよく表記されています。念のためgoo辞書さまで引いてみましょう。
しょう‐せい【焼成】
[名]原料を高熱で焼いて性質に変化を生じさせること。
粘土を窯で加熱して石質にするなど。
なんだか、音の響きもあいまって超カタイものを作り出す工程のようですね。さすがにパンは「石質」とまではいきませんが。
この焼成はパンの形や食感、味わい、風味などまさにパンをパンたらしめる重要な工程となります。実は当方の理解が浅いところが多々ありまして……大事な所なのに話がブレて本筋が見えなくなってしまうのを恐れております。
ということで、ここで工程の要点と今後の展開をざっくり書き記しておきます。
①なぜ焼くのか。いや、焼かねばならぬのか
「なぜ焼くのかだって? それはそこに生地があるから」
ではなくて、そもそも焼成がなぜ必要なのかについて考えます。
「生」で生地は食べられるのかな? →材料から考えてみます。
【強力粉(小麦粉)】主成分はデンプン70%とタンパク質12%。残りは水分や脂質など。デンプンは生で食べるとおなかを壊すと聞いたことがあるけど。タンパク質ってどうなのだろう。生レバー、生卵? 生麩って確かグルテンだったはず。あれはナマなのか? 加熱しないでもグルテンって食べられるのかな? 調べてみよう。自分のおなかで試すのは嫌だけど……
【砂糖、塩、水、バター】これらは常温で食してもOKでしょう。
【イースト】酵母は生き物だよね……火入れしていない生酒とかありますね。納豆、ぬか漬けなど発酵食品って酵母を生きたまま食べるので問題なさそうだけれど?
むむ、何となくデンプンのあたりに焼成の必要性の答えがありそうですね。
②作業の面からみた焼成工程
実際の焼成作業について、当方の丸形食パン作りをベースにして紹介します。
オーブンを目的の温度に温める→2次発酵の終了時間との兼ね合いなど
最初は高温230度くらいで、後半は190度くらいに設定
目的は生地の最深部(中心)の温度が90度を超すこと
加熱不足の実例→フワリでなくどっしりしたドウ、アルコール臭、アルコールの苦みなど
丸形食パンはムツカシイ→模索している改善策について
③化学反応からみた焼成工程
焼き上げの工程は複数の化学反応が同時並行して進んでいきます。思いつくままに挙げてみますと……
デンプンの加熱による変化▽タンパク質の変性▽タンパク質→デンプンへの水分の大移動▽メイラード反応▽カラメル化反応▽酵母の活発化と失活▽早期に固まる表面と徐々に膨張するドウ――などです
キャンプに行っていた&仕事が相変わらず多忙である、という理由もさることながら、焼成工程のヤヤコシサが、でーん、と壁のように立ちはだかっていましたので、なかなか筆を執る勇気が持てないままとなっていました。
戦う前に、まず、敵を知れ!
ということで、工程の要点を書き出しましたところ、不思議なことになんだか「攻略」の糸口が見えてきたような気もします。
今回は読者さまを無視したかのような内容となってしまいましたが、焼成工程のお話しを上記に沿って進めていきたいと思いますので、なにとぞよろしくお願いいたします。




