56.バターの役割について考える。バターは溶かしてはイケナイのだ。
パン大好きです。
パン作りもいよいよ中盤に差し掛かってきました。
現在の位置は、生地の捏ねが終わって発酵に入ったところです。
これまでに酵母のお話や砂糖と塩の働きなどを紹介しました。
塩のところでは、塩や水に含まれているミネラル分が気になって比較実験なども実施しました。
しつこいようですが、当方の食パンのレシピをおさらいしておきます。
強力粉400グラム▽水260ml▽砂糖20グラム▽塩7グラム▽ドライイースト4グラム▽バター20グラムです。
ちなみにイーストの量はこの連載を通して得た経験で、10グラムから4グラムに減らしました。減量しても発酵に問題なく、かつ、できあがりパンのイースト臭が抑えられるので採用しています。
これに、気分によってスキムミルクが入ります。
スキムミルクの使用が不安定なのは、こやつだけ収納場所が異なるためです。
要するに、使うのをついつい忘れてしまうことが多いのです。
朝の食卓。
焼きたての食パンを切り分ける。
いつもより焼き色が濃く、深い。
「あっ、きょうはスキムミルク入りね!
何かいいことでもあったの?」
男はそれには答えなかった。
その代わりに、静かに、そして厚く、ラーマを塗りだした。
すみません。
まったくもっての創作です。
我が家でこんな会話が交わされることはないです。
静かに、そして厚く、しかも分厚くラーマを塗りだすのは本当ですが。
4枚切りの食パン。
オーブンでトーストすること数分。
あちちち、と顔をしかめながら、漂う香気にゆるむ頬。
右手に構えたバターナイフ。
迷いを断ち切り、勢いよくラーマを掬い取る。
トーストの表面をなでるように優しく、かつ、すばやく塗りつける。
キツネ色の大海原に、激しくうねり、猛る白波の波頭が盛り上がる。
少し溶ける頃合いを見計らい、大口で迫る。
塩味が効いていて、ああもうたまらんです…
すみません。
本編とまったく関係ないですね。
煩悩丸出しですね。
固有名詞ばかり出して申し訳ないのですが、ラーマ大好きなのです。
話を戻しましょう。
さて今回はレシピのうち、まだ紹介していない、バターのお話です。
バターは、牛乳から作られます。
その工程を説明すると、
1・牛乳をクリーム分と水分に分離する(水分はスキムミルクの元に)
2・クリーム分を激しく掻き混ぜ脂肪同士をくっつけ、固める
3・塩分などを足して整形する
となります。
大雑把にいえば「牛乳に含まれている脂肪分を凝縮して固めたもの」となります。
ちなみに、100グラムのバターを作るには、約2リットルの牛乳を使うとのことです(雪印メグミルクさんのHPによる)。
バターの最大の特徴は温度によって、その硬さが変化することです。
冷蔵庫に入れているときは硬く、
熱を加えると急速に柔らかくなり、
やがて液状になります。
バターの硬さは具体的に以下のように変わります。
0~5度 かなりの硬さ
15度位 可塑性(変形させると変形したままで保たれる)が生まれる
20度位 かなり柔らかくなるが固形を保っている
30度位 溶けはじめる
40度~ 完全に液状化
可塑性というのは、粘土のような性質だと考えれば分かりやすいかも。
粘土は指で押すなどして外から力を加えると変形します。
そして、その変形したままの形をキープします。
このような性質を可塑性というとのことです。
パン作りでは「バターは使う前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておく」のが基本。
室温は20度前後(実際はもう少し高いでしょうが)と推定されますので、バターの硬さでいうと「かなり柔らかくなった状態」での使用となります。
一方、バターは一度溶けて液状化すると、元の状態には戻りません。
レンジで思わず温めすぎてドロドロになったバター。
これを再度冷やしても、あの20度位の可塑性を持つしっとり柔らかい状態、には戻りません。
まっいいか、ってな具合に液状バターを使ったことは数知れずですが……
パン作りで一時発酵に適した生地の温度は30度以下。
具体的には28度くらいがベストといわれています。
酵母の働きが強すぎず、弱すぎない温度。
これはバターにとっても丁度よい温度となっているのです。
さてここで、パンにおけるバターの役割についてです。
レシピ本などを総括すると、大きくいって3つの役目を果たします。
①味わいを高める
②生地の伸びをよくする
③生地のボリュームをだす
申し訳ありませんが、このあたりで次回以降に回したいと思います。
余談がなければもう少し書けたかも……いつもすみませんです。




