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48.シオの対比効果。アンコやスイカ、そしてパンの味を引き立てる作用があります。

 塩。

 シオ。

 塩化ナトリウム。

 NaCl。


 剣道部。

 もう遠い記憶の域に達しているのですが…

 真夏の体育館での猛練習。

 ただでさえ溶けるような暑さなのに、全身に防具をまとっての猛稽古。

 打ち合わさる竹刀、踏み込む足音、稽古を仕切る太鼓の音が響く。

 疲労困憊、練習が終わった後のめん篭手こてなどの防具はたっぷり汗を吸い込んで…翌日にはうっすらと忍耐と努力の「白い結晶」が浮かび上がっておりました。


 塩、と書いて、ふと思い出しました。

 食べ物の話なのにキレイな話でなくて恐縮です。


 さて、パン作りにおける塩の役割についてです。


 第一には塩本来の味、つまり「しょっぱさ」。

 塩には、パンの味わいを決める重要な役割があります。

 

 塩味が効いていないと、パン生地に含まれている砂糖の甘味や小麦の風味などが、ぼやけてしまいます。

 よく知られた話としては、アンコと塩の関係があります。

 アンコは小豆あずきと砂糖を煮詰めて作ります。

 これだけでも甘いのですが、それに少量の塩が加わると甘味が増します。

 同じように、スイカに塩を掛けると、俄然がぜん、スイカの甘さが増しますね。

 これらは「対比効果たいひこうか」と呼ばれる現象です。

 少量の塩味が、アンコやスイカの甘さを強める作用があるのです。


 この塩味の「対比効果」を細胞レベルで見てみますと…


塩(NaCl)は砂糖に比べて分子が小さいので、


→真っ先に味覚細胞を刺激する→

→味覚細胞が興奮状態になる→

→その味覚細胞に、後から砂糖がやってくる→

→味覚細胞は興奮状態なので砂糖への反応がMAXマックスに→

→結果として、甘さが増したように感じる


のような構図と考えられているようです。


-------------------


 深夜の寝室。

 心地よい眠りを切り裂く、硬質な羽音。

 プ~~ン

 プ~~~~ン

 プ~~~ン

 気づかなかった方が幸せだった。

 しかしながら、時すでに遅し。

 吸血型空中機動腹部縞模様小型羽虫ヒトスジシマカは「スキあらばっ」と我が身に狙いを定めている。

 一度気になりだした途端、大きさを増す存在感。

 もう無理。

 気になって寝られへん!

 むっくり起き上がり、布団の上に正座。

 両眼を見開き、小さな羽音に耳をすまして迎え撃つ…


-------------------


 気付かなければ、どうということはなかった蚊の攻撃アタック

 しかし、ヤツの小さな刺激(羽音)によって、一気に興奮状態に。

 気付いてからは、ささいな音にも過敏に反応してしまう…

 

 味覚細胞における対比効果、例えるとこんな感じでしょうか。

 いや、なんだがちょっと違うような…(じゃあ、書くなよ!と自身でも突っ込んでしまいましたが)


 いずれにせよ、数グラムの塩がパン全体の味わいを左右していると言っても過言ではありません。

 以前のレシピ調査結果(12.「お隣」のレシピと当方のレシピを比較)によりますと、強力粉100グラムに対して塩は平均1.8グラムとなっていました。重量比で強力粉の2%を下回っているのですが、塩が背負う役割はアンガイ重いのです。


 さて、パンにおける塩の役割は、その「しょっぱさ」だけではありません。

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