番外編 その19 引きのあるソフトなフランスパン・・・パンの「引き」って大切なのです。
PAMESOHは闘志を高め、2度目のアタックにして獲物を両断した。
知人からの頂き物の万能包丁とペティナイフ。
普段使いの2本の包丁の身には赤色で(もう消えかけていますが)「PAMESOH」の刻印。
パメッソ・ゾーリンゲン。
刃物で知られるドイツのゾーリンゲン由来のブランドとのことですが…どうやら、当方のものは我が日本製のようです。
産地はさておき、月に一度くらい研いでやらねばなりませんが、ナカナカの切れ味なので重宝しております。
さて、そんなPAMESOH君でも、一度で切断できませんでした。
ソフトとはいえ、さすがはフランスパンですね。
これは、食感も気になるところです。
「ファボールサンド」の「サンド」が示すとおり(今更ながらですが)、生地は上下に分かれており、その間にクリームがサンドされています。
クッキーなのでしょう。黒い粒々(つぶつぶ)がクリームに見えています。
風味の良い引きのあるソフトなフランスパンで、
クッキー入りバニラクリームをはさみました
パッケージには、このように謳われております。
数年前、いや、さらにもう少し前にラジオで耳にしました。
神戸マイスターのお一人であられる方が、おいしいパンの特徴として香り、食感などに並んで「引き」というキーワードを語っておられました。
パンの引き…そんな表現があることを初めて知り、驚きました。
これは想像なのですが、大まかにいえば「モチモチ感」でしょうか。
生地を捏ねてできるグルテンのつながり度合い、これが強すぎても、弱すぎてもよくない。適度な「引き」が、おいしいパンの条件とのことでした。
そんな引きのあるソフトなフランスパン。
眺めてばかりいても仕方がないので、さっそくイタダキマース。
クリーム部分に、少しだけサクサクとした食感。
恐らくクッキーでしょう。
舌でクリームを溶かすようにして探るとザラザラした印象で、クッキーの存在を感じることができました。
クリームは思ったよりはあっさり目。
とはいえ、甘~いです。
本家本元の「ファボールサンド」のムワ~ッとした、あの半透明のクリーム。あの濃厚さも好きなのですが…こっちはそれほどひつこくありません。
意外と、それほど力を加えなくとも噛み切れました。
細かく砕かれたクッキーが奏でるわずかなシャクシャク音を脳内BGMに、クリームとフランスパン生地が口の中で混じりあい、溶け合ってゆく。
感じ入っているうちに、半分になってしまいました。
いっ、いかん。
あわてて、ソフトフランスパンのみを食べてみました。
残念ながら味わいこそ物足りなかったですが、なるほど程よい塩味と引きとフランスパン独特の香りが心地いいです。
そこにクリームの甘味も加わって食感と味、香りが織り成すハーモニー…
もしかしたら本家・ファボールより、こっちの方が好きかも。
感慨に浸りながら一気に最後まで食べると、ああ…アゴが疲れました。
「何とも小気味よい奴だった」
メモの最後の一文は、そう記されていました。
パスコ「ファボールサンド クッキークリーム」。大阪市内のスーパーで購入。116円なり。