44.糖類とタンパク質の混合物を熱すると、「茶色く」なり「香ばしい匂い」を放つのです。
さてさて、パン作りにおける砂糖の役割のお話でした。
なぜか、サトーやシオのストーリーが割り込んでいましたが…
少しおさらいしておくと、砂糖については、
その一、酵母のエサとなって醗酵を助ける
その二、生地に甘さを加える
その三、焼き上がり生地にみずみずしさを与える
確か、ここまで説明いたしました。
今回はその四とその五にまつわるお話となります。
パン生地を捏ねて、醗酵させた後、オーブンで焼き上げます。
当方はパンの焼き上げには、電子レンジにオーブン機能が付いた「オーブンレンジ」を使っています。「パンやクッキーをきっとたくさん焼くだろう」と予想して、比較的庫室が大きいタイプを選びました。それも、もう十数年前のこととなりますが…
温度は180度~230度に設定しています。時期や生地の状態で、焼き上げの温度は随時調整しています。
さて、焼きに入って10分くらい経つと…台所はう~ん、いい匂い。
まさに「パン焼いていますよっ!」というような、何ともいえない香ばしさに包まれます。それと同時にパン生地の表面が、うっすら茶色く色づいてくるのが分かります。
このパンの焼き色について、当方はずっと「焦げの程度が浅いもの」だと思っていました。
加熱の時間が長すぎる、または加熱の温度が高すぎると、生地は真っ黒に焦げてしまいます。炭のようになり、苦くて、とても食べることはできません。
このことから、程よい茶色さのパンは、その焦げの程度が中くらいなのだろう、と勝手に思っていたのですが…実際は異なることを最近知りました。
パンの表面にほどよく焼き色がつく過程は、
「メイラード反応」
という化学反応によっています。
先ほどの真っ黒焦げ状態は、このメイラード反応を通り越してさらに加熱を続けた結果、生地が燃え残った状態の「炭化」となります。
さてさてこのメイラード反応、化学式などで書くとナカナカ複雑な過程を経るようです。
何とかして理解したところを、ざっくりと書いてみますと…
糖類とタンパク質が混じっている物質を熱すると、その物質が
「茶色く変化」するとともに
「香ばしい匂い」を生じる
反応です。
糖類つまり砂糖だけ、あるいはタンパク質だけでは、この反応は発生しません。
強力粉はデンプン(糖類)とグルテン(タンパク質)が主成分です。メイラード反応では、このデンプンよりも分子の小さい砂糖(ショ糖)の方がよりよく反応します。
つまり、パンにおける砂糖の役割、
その四、焼き色と香ばしい香りを付けるのを助ける
となります。
このメイラード反応、もう少し詳しく見ていきましょう。
すみません…当方の体調がすぐれず、軽めの内容となっています。ご容赦くださいませ。パン大好き