35.メカメカしい表示にワクワクした・・・シオとともに旅し、飛天紅戟を手に入れた。
そもそも、元の世界の俺はどうなっているのか?
いや、これからどうなるのか?
とはいえ、悩んでいるだけではなにも始まらない。
自分を鼓舞する意味でも、強く言い切った。
「大丈夫だ、シオ。俺のことは気にするな。
何とかして、そっちの世界に戻る。
戻るついでにあの赤い奴を倒して、ミズへの願いも叶えてやるさ」
耳元には、シオのすすり泣く声だけが届いていた。
悲しみに暮れるシオには悪かったが、この状況に少しワクワクしている俺がいるのも、また事実だった。
ゲームの世界? 異世界というべきなのだろうか?
【アラジンのゲーム】は剣と魔法でモンスターと戦う、ごくオーソドックスなゲームだった。
現に俺の目の前に展開しているモニターに、体力を現すHPや魔法量のMPなどの数値がずらりと表示されている。
そう、俺が目覚めて真っ先に驚いたのはこのモニターだった。
頭部までガッチリ鎧で包まれている姿なので、かなり視界が制限されるはずなのに、ごく自然に「見る」ことがきる。
いや、それ以上に見たいと思うところに焦点を合わすと瞬時にズームアップされる。
画面の隅には各種の数値が並んでいる。体力値などの他にも現在位置の座標や見ている対象までの距離のような、細かいステータスまで盛り込まれているようだ。
なにせ、超ハイテク仕様なメカメカしいこれらの表示に心ならずもワクワクしてしまった次第だ。
こんな自身の生死も分からない状況だというのに…。
俺はこの世界を旅した。
シオが使っていた女戦士のキャラクターはいなかった。
これからも一緒に戦えると思っていたのだが・・・
元の世界のパソコンの画面では、ゲームのキャラクターとして俺が自立的に動いていて、シオは俺に対して魔法などで間接的に支援できるようだった。
シオのサポートを受けながら、ともにこの世界を旅した。
そして、やっとの思いで、この世界の宝剣といわれる5大元素剣のひとつ「飛天紅戟」を手に入れることができた。
俺たちが元素剣を求めたのは、ありがちな「設定」だが…この世界に次のような伝承があることを突き止めたからだ。
【5つの元素剣が集いし時、最後の山の赤き巨竜への道が切り開かれん】
いざ、5人の勇者を求めて…みたいな展開になってきましたが、そろそろこのお話もクローズの方向にしようかと思っています。要望があれば書こうかなとも思いますが・・・パンに戻らねば・・・。




