25.グラスに恐る恐る口をつけるアミ。 「あっ、シュワシュワしている」
「じゃあ、その左手の球は何?」
お酒が入り、少し頬が赤くなったアミ。
コーボーの右手に球ができるたび、シャボン玉のように弾けて消えてしまう左手の球。
アミはグラスを傾けながら尋ねた。
「これは・・・僕にもこれが何だか分からないんだ。
匂いもしないしね。
危険なものじゃないみたいだけど」
でもこんなことができるんだよ、
こう言ってコーボーは両手の球を静かにくっつける。
それぞれの表面が触れ合った瞬間、ブルンと小さく震えた。
そして、一つの球になった。
アミは新しい球を受け取った。
これまでのものより少し大きいようだ。
ふっと息を掛け、球の上部を溶かす。
すると、中の液体に小さな泡が立ち始める。
恐る恐る口をつけるアミ。
「あっ、シュワシュワしている」
口の中で踊る小さな泡。
心地よい刺激となって、不思議な味わいを生んでいる。
「さっきまでのお酒と違って、これはこれで楽しいわね」
アミに気に入ってもらえたようで、上機嫌のコーボー。
アミがデンプンを切る。
コーボーが酒を生む。
2人は飲み、そして歌う。
突然、大きくうねりだす大地。
空間ごとねじれるように天地が、小麦の海がひっくり返る。
アミはあわててコーボーへと身を寄せる。
「コーボー、私にしっかり捕まって」
動けないコーボーは懸命にアミへと手を伸ばす。
終わりを見せない天変地異。
コーボーとアミは耐えしのぐしかすべはなかった。
(まだ続きそうです)