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23.コーボーに突き立てられた2本の刀。アミとの出会い。

 コーボーは少しくらい考えるべきだったのかも知れない。

 目の前に、まさに降って沸いたお砂糖ごちそう

 いいことが起こった後、大抵はよくないことが起こるものなのに。

 いきなり叩き起こされた寝ぼけ頭で深く考えることは無理だったろうが。


「ああ、幸せ~」


「じゃあ、その幸せをもっと運んであげるわ」


 そよ風に揺れる鈴の音のような心地よい声。

 コーボーはどきりとして振り返る。

 瞬間的に膨らんだ期待は、同じくらいにあっさりと裏切られた。

 

 白く鈍い輝きを放つ殺意。

 それは2本の長い刀。

 冷たく、静かに、コーボーに突きつけられていた。


「ひっ! ごめんなさい」


 なぜだか分からないがコーボーは謝った。


「あっ、ごめんなさい・・・」

 

 向けられていた切っ先がそれる。

 あわられたのは、体より大きな2本の刀を握った少女だった。


「脅かせてしまって、ごめんなさい」


 その好戦的な姿とは裏腹な、軽やかな声。

 会ったばかりなのに、なぜか引き寄せられる。


 その謝罪の言葉は偽りのないものだ。

 コーボーは疑問を持たなかった。

 物騒なものを突きつけられていたことも忘れていた。


「おわびといっては何だけど・・・」


 少女は辺りに漂っていたデンプンに飛び掛る。

 両手の2本の刀でデンプンを切り刻んでゆく。

 目にも止まらぬ早業。


「はい、これをどうぞ」

 

 差し出されたのはデンプンのかけらだった。


 デンプン。

 コーボーにとっては、夢のような存在。

 お菓子のお城とでも言えばいいのだろうか。

 コーボーには見えるのだ。

 デンプンの中にゴチソウがぎっしりと詰まっているのが。

 けれど、それはお砂糖よりも何倍も大きく、そして固い。

 コーボーにとってデンプンは巨大な岩だった。


 少女はバターでも切るかのごとくその岩を切り分けた。


 差し出されたデンプンのかけら。

 この大きさならば、コーボーにでも何とかなる。


 コーボーは背負っていた丸太を手に取り、叩きつける。

 かけらは真っ二つに割れた。


 思わずほおばってしまう。

 口の中に広がってゆく甘み。

 ほわ~幸せ~…ああ、とろける~。


 はっ!

 少女の笑顔が目に映る。

 俺はいま、どんな顔をしていたのだろう・・・

 女の子の前だというのに・・・食欲に負けたことを後悔した。


「すごいものを持っているのね」


 そんな俺に構わず、少女は元の背中に戻された丸太を見ている。


「ああこれ? これはマルーっ呼んでる僕の相棒さ。

 丸太でできているからマルー。単純なネーミングでしょ」


 コーボーは腰に差しているもう一つの相棒、インベルちゃんを自慢することも忘れなかった。コーボーは聞き返した。


「体より大きい刀を、あんなに早く振り回せるんだね」

「そうじゃ、ない・・・」


 ほとんど間をおかずに返ってきた言葉。

 沈むようにしぼんでいく。


「この刀は私自身なの」


 生まれた時から両腕が刀であること、この刀はデンプンを切るためだけにあること、そしてこの姿のせいで出会った人を驚かせてしまい申し訳なく思っていること・・・彼女の口から、そんな経緯いきさつが語られた。


「そんなに気にすることはないと思うよ。

 ここから動けない僕がいうのもなんだけどね。

 僕の名前はコーボ。よかったら君の名前を教えてくれないかな」


「ありがとう」

 鈴の音を取り戻した明るい声が響く。

「私はアミ。アミラーゼだからアミって呼ばれているの」


(続く、のか?)


--------------------------


【アミラーゼ】

 小麦粉に含まれている酵素。小麦粉のデンプンを切り分け麦芽糖にします。


【マルターゼ】

 酵母が持っている酵素の一つ。麦芽糖をブドウ糖に分解します。酵母にとって麦芽糖は大きくてとても食べられないので、マルターゼでバラバラにして(ブドウ糖)食べるのです。


【デンプン】

 小麦やコメの主成分。とうが多重に結合したもの。植物の光合成により生成されます。人や動物の主な栄養源。栄養が詰まっているのですが、非常にデカイ、まるで岩のようなもの。アミラーゼなどがデンプンを切り分けることで、栄養源として利用できるようになります。

ううっ、慣れない、書けない・・・。

数時間かけてこれだけです。でも何とか頑張りますです。

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