21.ばん、ダん、バン、ダン、バん・・・2人の愛は、真実の愛。
パンの生地をちぎると、滑らかになる。
あなたは、誰と、ちぎ・・・
JASRACさまのお世話になりたくないので、
これくらいにしておきましょう、ね。
生地をこねる作業は案外、単調です。
ばん、ダん、バン、ダン、バん・・・
台所にはこんな音が規則正しく鳴り響いています。
そんな感じでこねていると、たわいもないこと、
いや、私的に飾らず正確に表現すると、
「しょーもないこと」を考えてしまいます。
今は昔、ですが、洗濯機がまだ二層式のころ、
洗剤の泡がこんもりと盛りあがった、あの渦巻きを
ぼお~っと眺めている時に、
頭にグルグル浮かんでは消える--そんな感じの思考です。
・・・いや、どんな感じやねん。例えは古いしねえ・・・
別れ別れになった生地が再び一つになる。
一つになった生地は、しなやかに、かつ強くなる。
別れの苦しみ。本当は別れたくないのに・・・
けれど、それを乗り越えて、再び一つになった時、
その2人の愛は真実の愛となるのだ。愛となるのだ。のだ・・・
ちぎっては、一まとめ。それにつれ、
キメがどんどん細かくしなやかになっていく生地に、
思わずこんな「別れと再生の愛の物語」を考えてしまうのです。
そんな感じで「グリとレザンの物語」が作られたのでした。
次からは、こねる作業に並行して醗酵、つまり、イーストについて書こうと思います。




