16.グリとグルの物語(2)-2人がそろえば、勇気も2倍。
かなりしょげていたグルテニン。村長の言いつけ通り森の道を歩いていたのに魔物に出くわした。俺とは違ってニワトリみたいな魔物だったらしいが、やっとのことで倒したらしい。
「村長のウソつき。森の道には魔物が出ないって言ったのに。もう、村に帰りたいよう……」
グルはため息交じりに言葉を吐き出す。
気落ちしているグルを何とか励まし、2人で森の道を進んでいく。
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「グリが来てくれてよかったよ」
グルの顔に少し笑顔が戻った。
「大丈夫だった? なにか魔物と戦った?」
周囲に気を配って歩きながらグルが聞いてきた。
「ああ。牙の鋭いイヌみたいな魔物だよ。レーザーみたいな赤い光がビュッて飛んできた。驚いたけれど何とか倒したよ」
「牙の鋭いイヌ……それってマジック・ドッグじゃないの」
「えっ? グルは知ってるのか。あの魔物の名前を」
「知ってるかって、村長さんがマジック・ドッグには気をつけろっていってたじゃない」
「へっ?」
グリは手のひらサイズのノートを開いて見せてくれた。なんでも村長の話で大事ところはメモしたということだ。
「人生初の試練だからね」
って、なんとも慎重派のグリらしい。
【マジック・ドッグ】
きょうぼうな犬みたい。キバするどい。けれど、かみつかない。キバからまほう。うごきはとてもおそい。でてきた時ときえる時に大声でおたけびをあげる。これでショックしもあった
「この雄たけびは命にかかわるくらいに危険だからって、この魔物だけは教えてくれたはずだよ」
「そっ、そうだっけ~」
村長の話があまりにも長いので、ちゃんと聞いてなかったからな。確かに、あの雄たけびは心臓に悪かった。
「グルが戦ったニワトリみたいな魔物は……」
俺が言おうとした瞬間、バサバサバサ。
風の音にしては妙な気配がする。2人の行く手を阻むように現れた2匹の魔物があわられた。
「あっ、僕が戦ったやつだ。あの時は1匹だったけど」
見た目はニワトリ。いや、2周りくらい大きいか。心臓の音が外に聞こえるんじゃないかって位に一気に高まる。足が震える。けれど、前ほどじゃない。2度目の魔物ということもある。しかし、グルが隣にいてくれる安心感で前に踏み出せそうだった。
それはグルにとっても同じのようだった。
「グリ。グリといると何だか落ち着いて戦えそうだよ」
いきなり、飛び掛ってくるニワトリ。鋭いツメが武器のようだ。
剣を振り払うように横になぐ。羽ばたいてかわすニワトリ。
おっと、振り切った勢いで思わずよろけてしまう。そこに2羽目が突っ込んでくる。連携攻撃かよ!
「グリ、いけない!」
グルが叫ぶ。すぐさま手に持った剣を前へ突き出す。短い翼を広げ、空中で急停止するニワトリ。グルの一撃は踏み込みが足りず、ヤツには当たらない。
ニワトリはさっと引き下がり双方にらみ合う形となった。
「グル、よくこんなヤツを倒せたな」
「一匹だけだったからね。あんな息の合った攻撃をされると骨が折れるね」
肩で息をしながら、考える。
連携を破って、分断するためには……
「ヤツラは飛ぶことができる。そこを逆についてやる」
剣に力を込める。
父ちゃん、勇気を!
いくぜグル。
息を大きく吸い込み、今度はこちらから踏み込む。
飛び掛ってくるニワトリ。
低い位置から剣を斜め上の方向に切り上げる。空中をさらに上に飛び上がって回避するニワトリ。切り終わった体勢のまま前方へ突進。1羽目のニワトリをくぐり抜け、2羽目の正面に出た。
後ろではグルが降りてきた1羽目と対峙している。
1羽ずつになった途端、動きが悪くなったニワトリ。グルと俺はほぼ同時に剣をふるった。結構な衝撃が両腕に伝わる。
次の瞬間、消え去っていくニワトリの姿があった。
何を書いているのか、なぜニワトリと戦わなければならないのか、パンはどこへいったのか、書いている本人も分からなくなっていますが、一応次回で物語は終わります。




