104.丸型パンは焼き加減がムツカシイ。で、3個のパン生地で実験してみました。
ふりょう【不良】
1 質・状態などがよくないこと。また、そのさま。「―な(の)品」「発育―」「天候―」
2 品行・性質がよくないこと。また、その人。「行状の―な(の)人」「―少年」
(goo辞書さまからの引用)
◇ ◇ ◇
一等星ベガの清冽な光に突き刺され、マンションのくたびれたドアから踏み出した6歩目が少したじろぐ。3月。午前3時。夏の象徴である琴座の光が東の空高くに輝いている。本来ならば早春の夜空にその清き光を瞬かせるはずの乙女星、スピカはすでに西へと傾いた。
吐く息が、白い。背中を丸め、納戸の奥に仕舞い込まれもはや日常の死角と化した――それでいて団欒の声だけは、やけに響いてくる――ステンレス製のなべ底のように冷え切ったアスファルトを走る。15年前にホームセンターで買い求めた26インチの2つの車輪が、夜とも朝ともいえぬ街の空気を掻き分ける。
◇ ◇ ◇
太宰治の「津軽」を読んで、作品本来の趣旨とは別に印象に残ったのは、「この人、ホントにお酒が好きだな」ということと、「戦時中の運動会の風景が意外と今と同じなんだな」ということの2点でした。特に前者のお酒。当時禁制品だったビールを行程の合間合間に嗜むシーンが描かれていて、ビール派の当方としては嬉しく思ったりしたのでした。
洗濯物も干したし、さあパンでも書こうか(普通は食おうか、もしくは、焼こうかですよね、きっと)、と思ったのが午前3時。となると、何だかビールが恋しくなったのです。作家気取りではないのですが、ビールを飲めばなんだかスラスラ書けるような気がして……
寝巻きの上から外套を羽織り(ダザイ先生の頃のイメージを引用)、自転車にまたがってコンビニへ漕ぎ出したのでした。
不良中年
澄んだ星空が、そう囁いていました。
手にはサッポロの金色の星が輝いていました。
他に、蟹とシヤコが、大きい竹の籠に一ぱい。それから、ビール。 --太宰治「津軽」より
◇ ◇ ◇
さて、前置きが長くなりました。パンの焼成について温度の観点から見てきました。60度、80度、150度。どこかの笑顔の党ではありませんが……なんだか論文のようなテイストになってしまったのも事実です。けれども、押さえておきたい事柄でもあり敢えて書き記しました。
パンは中心部まで火を通さねばなりません。つまり、最低デンプンの糊化(α化)が完了する80度以上になるまで加熱する必要があります。外側の皮の部分が先に加熱されるので、あまり高い温度だと中心部が80度になる前に表面が焦げ焦げになってしまいます。かといって、低すぎる温度では長時間の焼成が必要となり生地の水分が多く失われてパサパサになってしまうことが懸念されます。
パンの形状・大きさとオーブンの温度との絶妙なる関係。細長いバケット、丸いブール。それぞれに合わせて加熱の条件、つまり、温度と時間を調整する必要があります。
そのような点から、当方の丸型食パンは問題のある形状だといえます。強力粉400グラムを一まとめにしているのでデップリ、かなりの体積となります。結果として中心部に火が通るのに時間が掛かってしまうのです。
対策として火力を上げると、99話で書かせていただいたような「シメジパン」ができあがります。このシメジP、中心部までシッカリ火が通っている反面、皮が固く、柔らかな風味も失われているのです。
わが丸パンの適切な加熱方法やいかに?
簡単な実験をしてみました。400グラムの強力粉で生地を捏ね、1次発酵までいつも通りに行います。そこから生地を3分割します。それぞれ丸めて2次発酵。3個のパン生地がふっくら程よく膨らんだところを見計らって生地をオーブンから取り出し予熱を開始します。今回は220度で20分の加熱としました。
実験は3個のパン生地について、①最初からアルミホイルを重ねて焼く、②10分経過後にアルミホイルをかぶせて焼く、③そのまま焼く、の3パターンで実施しました。さてさて……(To be continued)