99.220度で焼き上げるとタヌキ色! 「あっ、シメジや、シメジ!」
さて、オーブンの温度設定についてです。実はこれがヨクワカラナイから困った……とにかく、これまでの経験(失敗談?)を書き出しましょう。
最初のころは温度は180度に設定。時間は20分間としていました。「12話 『お隣』のレシピと当方のレシピを比較」で書いたように、たくさんのレシピを参考にしてアタリをつけました。
この設定で焼きあげると、パン全体は薄いキツネ色になりました。焼きたての香ばしさが部屋中を満たして大満足……だったのですが、切ってみると中心部がペタペタしていたのです。
クリーム状とまではいかないのですが、しっとりを超えて、かなり密で重い生地。一方で、皮に近いところはフワフワとしていました。我が家ではこのパンを「重パン」と呼んで、これはこれでありやな~などと言っていたのです。
しかし、香りが悪いという重大な欠点も抱えていました。中心部は揮発性のにおいがかなり強いのです。恐らくイースト由来のアルコールのにおいのようで、トーストすれば気にならなくなる程度でしたが、作り手としてはもう少し薫り高いパンに改善したいと思い作業を見直しました。
「中心部が密で重い」「揮発性の香り」。どうやら中心部まで火が通っていなかったのが原因のようです。生のままの生地とまではいかなくても、ちょっと加熱された程度のホカホカ生地の状態で焼成が終えられていたのではないか。そう考えて、今度は温度を一気に上げてみました。
220度で20分間。これでどうだ!
焼き上げてみると、今度はこんがりタヌキ色! そりゃ温度上げてますからね。キツネ色のときは何もいわなかった家人は口をそろえて、「あっ、シメジや、シメジ!」とのたまいました。確かに台所のテーブルには濃いこげ茶の扁平な物体が鎮座しておりました。遠目に見ると、きのこ然としておりましたよ。はい。でも、何となくシイタケでなくシメジでした。
シメジパンの香りは優しさに包まれるよりは野趣味がガツンと溢れる感じ。しばらく冷ましてから切ってみると、おお、中心部までフワフワです。問題となっていた揮発性のにおいも、ほとんどしません。ただ、今度は皮が濃く厚いためにワイルドな苦味が。これは問題というほどではないのですが、もう少しマイルドにならないものかと試行錯誤を繰り返しています。
現状は220度で12分、その後、180度で13分に設定しています。最初に一気に加熱して表面を焼き上げ、続いてじっくり中心部に火を通す作戦。オーブンから出したパンの色は濃い目のキツネ色、もしくは、薄いタヌキ色。皮もそれほど苦くもありません。中心部にも火が通っていて、重くペタペタした感じもありません、ただ、アルコールのような香りは何度かに1回は残ることがあります。
オーブンの種類によって設定温度と実際の庫内の温度、加熱の方法(電気かガスか、ヒーターの形状、熱風あり・なしなど)が異なります。ということで、当方と同じ設定にしてもうまくいかないこともあると思われますので、念のため。
また、最近ドライイーストを変えたところ、焼き上がりの色・膨らみ・香りもまた、変わってしまいました。
これまで使っていたサフさま(赤)のイーストを切らしてしまい、近所のスーパーで新たにカメリア(日清フーズさま)のものを購入したのです。パンを何度か作ったのですが、ふくらみ方や焼き上がり、香りなどがしっくりこない。
なんでだろぅ、腕が落ちたか……などとしょげていたら、ドライイーストを変更したことを思い出しました。これには少し訳がありまして、当方はイーストをガラス瓶に移し替えています。使用時に商品パッケージを見ることがないので、銘柄が変わっていたことをすっかり忘れていたのでした。
使うイーストを変えれば焼成のレシピも見直さねば。おいしいパンを目指して試行錯誤タイムが続きます。