7.意外と(奥が)深かったお玉。調べるのに時間がかかりすぎて、ああ、ひ文字い。
パン作りのお話に戻ってまいりましたっ!
強力粉の袋をテーブルに乗せ、袋の口をあけて、粉をお玉ですくってボウルに移します。
お玉。
正確には「お玉杓子」と呼ぶらしいです。
そもそも正確というのが正しいかどうか分からないのがタマにキズですが。
杓子は「飯を盛ったり汁などをすくったりする道具。頭が丸く中くぼみの皿形で柄がついている」(goo辞書さまから引用)もので、ご飯をすくうために使うものは「杓文字」、汁物をすくうものは「お玉杓子」と呼ばれています。
お玉は汁物をすくうため、たま=球、つまりボールのような形に。
この形からそのように呼ばれるようになったのじゃ……
みたいな展開を安直に予想していたら、大いに裏切られました。
そのルーツは意外にも滋賀県第一の大社「多賀大社」にあるらしいのです。
滋賀県の東部に位置する多賀地方。この地で「お多賀さん」として親しまれている多賀大社。御祭神は伊邪那岐命と伊邪那美命の2柱です。
その多賀地方に伝わる民話があります。多賀観光協会が味のある紙芝居として紹介している伝承のあらましをお伝えしますと……
時は奈良時代。
元正天皇が重い病気にかかられた。
そのことを知った多賀の人々は心配し多賀大社の神主さんに相談。
地元で取れたおいしいお米を炊いて、それを食べて元気になっていただこうと考えた。
都までたくさん運べるように、普通の杓子よりも大きくて深いものを、みなで協力して作った。
都で多賀のご飯を口にした元正天皇は、病気から回復された。
この話が各地に伝わり、多賀の杓子は縁起物として広く知られるようになったのじゃ。
その縁起物の「おたがじゃくし」が語形変化。「おたまじゃくし」となったというのです。
お多賀杓子は通常の杓子よりくぼんでいることが特徴で、その形から汁物などをすくう杓子「お玉杓子」の語源になった、とのことでした。
さて、せっかくなので冒頭の「杓文字」についても調べました。
goo辞書では「《「しゃくし(杓子)」の後半を略して「文字」を付けた女性語》汁や飯などをすくうのに用いる木製などの道具。めしじゃくし。」となっています。
飯杓子は分かりますが、その前に、「女性語」ってナンデスカ?
女房言葉(女房詞・にょうぼうことば)とは、室町時代初期頃から宮中や院に仕える女房が使い始め、その一部は現在でも用いられる隠語的な言葉である。語頭に「お」を付けて丁寧さをあらわすものや、語の最後に「もじ」を付けて婉曲的に表現する文字詞などがある。(中略)優美で上品な言葉遣いとされ、主に衣食住に関する事物について用いられた。(Wikipedia)
室町時代のころの宮中の女性たちの間では、衣食住に関することを直接に言わないことが上品な言葉遣いだったのでしょう。
杓子の冒頭の言葉「しゃ」だけ取り、後ろに「文字」をつけた「しゃもじ」。
このほかにも
御目にかかる→おめもじ
黒楊枝→くろもじ
などがあるらしいです。
驚いたのは、お腹が減ったよ~の「ひもじい」。これは 「空腹である」という意味の「ひだるい」の「ひ」に「文字」が付いたものだといいます。
ひ文字い、か。
パン作りから、かなり脱線してしまいました。
スミマセン。
しかし、調べれば調べるほどに、世の中知らないことばかり……
ああ、はもじい。




