創まり
拙い文章で、趣味で書いているものでありますが、読んでいただけると幸いです。
ぜひ感想などいただけるとありがたいです。
―――――それは小さなニュースだった。
「今日午前8時頃、日本海の沖にてドラム缶に詰められた死体が発見されました。
警察によりますと、『死体は焼死していて身元が判別できない。』とのことです。」
私も最初このニュースを聞いたときは特に興味は持たなかった。右耳から入って左耳に受け流す程度にしか聞いてなかった。
しかしここから・・・いやこの頃からあの事件が始まっていたとは誰も思っていなかっただろう。
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「ふぅ・・・。」
溜め息、疲れているのか。 意識しないうちに生理現象が起きる。
時計を横目で見ると短針は3を指していた。
今は7月21日の午前3時。 夜行性の私でも疲れが若干染み出てくる時間帯。この時間まで何をしていたかというとパソコンを使って情報収集だ。 私は個人的な趣味で気になる事件。 面白いと思った理論、考察などをスクラップにしたり、ネットの記事をコピー&ペーストしたりしている。
今私が気になっている話題は、《日本海にドラム缶に詰められた焼死体!893の仕業か!?》というものだ。
ニュースで聞いたときは興味を持たなかったが、とある掲示板で話題に上がっていたので覗き込んでみるとまぁ面白そうで、私の趣向にあっている話題だったのだ。
その掲示板でのカキコミには893、つまりヤクザがやったことだろう、と大多数を占めていたが、中には、この事件は国が関わっているだろう。という少数意見もあった。勿論理由はまちまちだった。
例えば政府の知ってはいけない情報を知ってしまった人がお国のために犠牲になった。や、スパイが見つかり大事にしないために殺害した・・・。など。
そう、私が好きなのはこの少数意見が語る、’陰謀論’が大好きなのだ!
「ふふ・・・ふふふ・・・」
自分でも現実味がない話だろう。なんて理性的になるときはあるが、それがなんだというのだ。
このありえないであろう、自分が知り得ないであろう話が好きなのだ。
「やっぱりこの事件・・・バックに日本政府が関わってたりするのかな・・・。 それともアメリカが関わってたり・・・? アメリカでの不祥事の後始末として日本に死体の処理を任せたとか・・・。」
ブツブツと自分なりの考えを求めて頭の電気信号を巡らせる。 答えは見つからない、だがそこがいい。
モニターに次々と映しだされる意見に目を通す。 もちろん陰謀論以外の意見もだ。
一通り見終えた後、自分好みの牛乳たっぷりのカフェオレを飲んでいると、掲示板の更新サインが届いたのでサイトを更新してみると、驚くべきことに新着の書き込みが出ていた。
こんな時間までこの掲示板に齧りついてる人物がいるのか。なんて考えながらその意見に目を通す。
するとそこにあったのは陰謀論でも、普通の意見でもない。
ただのURLだった。
ブラクラ・・・?広告・・・?晒し・・・?
いや、違った。どうやら大手動画サイトの《 My Tube 》のURLだったようだ。
「なんの動画だろ・・・。」
こんなのを気になるなんて私もまだまだだなぁ、なんて自傷気味に苦笑しながらURLにカーソルを合わせクリックする。
つい手が勝手に動くようにして開いた動画には一人の男性が椅子に座っていた。
顔は俯き気味で両手は後ろにあり、まるで縛られているようだった。
そういう趣味の人の動画かな。 なんて呆れながらカーソルを右上に持っていく。
しかし、不思議とクリック出来ずにいた。 私は引き込まれていたのだ。
その動画に・・・。
動画に映し出された場所は個室のようで、光は天井からぶらりと吊るされた薄暗い電球一つだった。
暗く奇妙な部屋の真ん中にはガタイのいい黒人男性が頭に黒いビニール袋をかぶせられて椅子に縛られていた。
彼は少しだが縄の拘束から抜けようと抵抗している。 すると画面外から白衣の女性が黒人男性に歩み寄ってきた。 女性はコンビニ強盗つけるようなフェイスマスクをしていた。
つい動画に夢中になって音量を上げる。聞こえてくる女性の足音、かすかな男性の悲鳴が私の心を震わせる。
そして女性は男性の腕に右手を近づける。電球がそこを照らす。
女性が持っていたものは注射だった。中には青黒い液状の何かが入っていた。針が男性の左腕へと入り込んでゆく。
つい自分も反応してしまい自分の腕を抱きかかえる、我ながら怖がりなんだなぁと心の中で呟く。
黒人は怯えてるのか、大きな声も出さずただ、かすかな呻き声をあげて注射は終了し、女性は画面外へと消え行く。
すると次の瞬間画面には、DAY1→DAY8、と書かれた絵が映し出された。
次の瞬間画面が暗転したと思いきや、黒人男性が再び現れた。 まだ椅子に座っている。特に最初のときと大きな変化はなかった。
しかし途端に黒人男性は悲鳴をあげて体をじたばたさせる。その男の肌は突如青紫色へと変わり、体が壊死し始め、ひび割れた皮膚から赤黒いホラー映画で見るような血が勢いよく噴出される。
「っ!?」
つい叫び声が出そうになり、口を押さえる。なんだか吐き気もしてきた。 一体何なのだ、これは。 異常すぎる。新作映画の宣伝か?こんな掲示板にまで宣伝に来るなんてご足労なことだ・・・。
でも・・・、もしこれが現実だったら・・・?
ごくりと生唾を飲む。口の中が乾く。 再び画面に視線を向けると、画面外から白衣を着た人物がやってくる。 先ほどの女性とは容姿が違った。 どうやら男性のようだ。
白衣の男性はプラカードをもってこちらに見せてくる。そこには、紅く塗られた文字が躍っていた。
《 7月29日~8月15日 札幌でナニカが起こる。 》