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第九十九話

<大工のあんちゃん最終章 死闘!!エルサレム神殿編!!>


「ど~も、わたしがこの子の母親になります、マリアです~」

「か、母ちゃん!恥ずかしいから、止めてくれよ~」

「あら、いいじゃない。せっかくうちの可愛い坊やに、こんないっぱいお友達ができたんだから」


すっかりあんちゃんの母親マリア母ちゃんは、あんちゃんの弟子達と挨拶を交わしながら馴染んでました。


「うちのバカ息子が哲学ラッパーになりたい!なんて家飛び出したから、心配して探してみれば、トマスくんとタダイくんのバイト先で司会のアルバイトなんかやってるじゃない。最後にはしっちゃかめっちゃかにしてクビになっちゃって、またこの子ニートに逆戻り?なんて心配してたのよ~」


あんちゃんは肝っ玉マリア母ちゃんにたじたじでした。


「そしたら今度はさだまさしみたいに流しを始めて、次にはロックスターで、サイドビジネスでお医者さんも始めてるんでしょ?全く、この子は昔っから興味範囲が広いというか、長続きしないというか。でも、こんなに素敵なお仲間と知り合えて、母親として本当に幸せですわ~」


マリア母ちゃんは弟子一人一人に声を掛け、握手を交わし、そして談話していました。そんな微笑ましい姿に、あんちゃんは気恥ずかしくて、頭をポリポリ掻いています。そんなあんちゃんの所へ、トマスがやってきます。


「元ヤンの母さんはいい人だな~」

「いやー、トマス。面目ねぇ、恥ずかしいわ」

「そっか?俺はとっても羨ましいけどね」

「出しゃばりというか、世話好きというか、昔っから俺の友達と仲良くなっちゃうんだよ」

「へぇ~」

「その昔、うちのヨセフ父ちゃんが旅に出かけているとき、母ちゃんは一人で暇だからってドラクエをやってたんだよ」

「ほうほう」

「そしたら誰よりも早くクリアしちゃってよ、噂を聞きつけた近所のガキんちょ達が、毎日うちの母ちゃんから攻略法を教えてもらってたくらいなんだぜ」

「すげーな!」


マリア母ちゃんの気遣いと心意気は誰よりも愛情深く、弟子達は一気にマリア母ちゃんが好きになりました。


「あらーー!ひょっとして、あなたはマリヤちゃん?」

「お久しぶりです!」


マグダラのマリヤは、実は幼い頃にあんちゃんの家の側に住んでました。あんちゃんのマリア母ちゃんとも顔見知りだったのです。全く二人はお互いにややこしい名前ですが。


「お初にお目にかかります、聖母マリア様」

「あら、こんにちわ。えっと、どなたかしら?」


すかさずマグダラのマリヤは、マリア母ちゃんに耳打ちします。


「えっと、この子は実は(ごにょごにょ)」

「ええええええええ!?皇妃ヘロディア様の一人娘のサロメ様!!!!!??」


さすがの肝っ玉マリア母ちゃんでも、ビックらこいております。しかしサロメちゃんは礼節を忘れず、とても丁寧な言葉遣いで自分の経緯を伝え始めました。


「はい。私サロメは、洗礼者ヨハネ様に心を奪われ、そして命を救われたのです」

「まぁ!!それでそれで?」

「その後、斬首された洗礼者ヨハネ様の遺言に従い、次の後継者が聖母マリア様のご子息と聞き、私は皇族の身分を捨て、愛の伝道師に追従しているのです」

「あらまぁ!!そうだったの~!大変ね~」


マリア母ちゃんは、すっかり噂好きな近所のおばさんになってました。するとマグダラのマリヤが、ある事を閃いたようです。


「マリアお母さん、もしよかったら、今夜、素敵なご馳走を作りませんか?」

「あら!良い考えね」

「あたしもお手伝いさせていただきますわ!聖母マリア様、それにマリヤ御姉様!」

「サロメちゃんがいれば百人力ね!」


オオオオオオオオオ!!!オオオオオオオオオ!!!

それを聞きつけた野郎どもの弟子から感激な声が上がります。


「な~に?あんた達、お腹空いてたの?しょうがないわな、特製の炒飯でも作りましょう!」


ヤッターーーーーー!!!!!

再び野郎どもの弟子から感激な声が上がりました。マリア母ちゃんの作る炒飯は超一流で、なんと!あの磊々(ライライ)軒の店長である満珍州からも絶賛されるほどだったのです。その晩は中華なべがコンコンと鳴り響き、マリア母ちゃんを囲んで炒飯をみんなでモグモグ食べました。さて、その頃パウロはというと。。。


「くっそ!屁理屈大魔王の大工めぇ~!ことごとく人の上げ足ばかり取りやがって」


パウロは討論バトルで、0勝2敗で完敗続き。次こそ勝ちたいと思ってますが、なかなか方法が見つからず困っています。すると、ある農民が二人、パウロの横を歩いてきました。


「いや~、あの伝道師は本当にすごいな」

「んだんだ。おめっぺの腫れあがってた痛みが、スゥーッと消えちまったもんだわさ」


パウロは気になって、彼らに近付きます。


「お、おい!そこの農民二人。あんたらは、あの伝道師に何かされたのか?」


二人の農民はお互いに顔を見合わせ、しばらくしてからパウロに答えます。


「そうだべ。俺っちの腕の痛みを治してもらったんだわさ」

「んだんだ。真っ赤に膨れ上がった腕が、あっという間に元通りだべさ」

「兄ちゃんもあの方に治してもらったらどうだべ?」

「んだんだ。なんでも、年中無休でやってるって言ってたべした」

「年中無休??


パプーーーーーー!!!

すると突然エルサレム神殿一帯に、ラッパが鳴り響き渡ります。どうやらそろそろ、安息日の時間が迫っているようです。


「これだ!!これで奴の息の根を止める事ができるぞ!!」


パプーーーーーー!!!

安息日を告げるラッパの音と共に、パウロは仁王立ちしながら、妥当あんちゃんに執念を燃やしていたのでした。


「あの兄ちゃん、ダマスカスに連れてった司祭様に似てねだべか?」

「んだんだ。まーだ、背中にウロコ残ってるだべした」


続く

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