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第八十八話

アル・アカバ村で大工のあんちゃんの聞き込みを始めたサロメちゃん。その人気ぶりに驚かされっぱなしです。女性達は物珍しそうにサロメちゃんへ近付きました。


「あなたが、あのサロメお嬢様なんですね?」

「いかにも!私はヘロデ国王皇妃ヘロディアの娘、そして洗礼者ヨハネ様を心からお慕い申し上げる、乙女の心を持ったサロメですわ!」

「サロメお嬢様は、あの愛の伝道師をお探しになっているとか?

「そうなの!スーパー・コンフューズですわ!大体、ネットで検索したら二人でてきちゃって。どっちが本人か分からないの」

「どれどれ?」


その女性が覗いた画像検索結果には、『愛の伝道師ラブ・グル』主演のニヤけたマイク・マイヤーズと、なぜかドヤ顔の石田純一。


「あらーやだ!サロメ様、どっちもメシア様じゃありませんわよ~」

「えええ!?そうなの!?」

「そうですよ~。円らな茶色い瞳で、ジョニー・デップみたいな髭を蓄えてる感じかしら?」

「ふむふむ」

「ちょっとたれ目でエッチなんだけど、結構チェリーっぽさが抜けて無くて」

「ふむふむ」

「あー!青いトーガを捲いてるわ」

「ふむふむ」

「大酒飲みで、髪の毛はさらさらで昔のブラピみたいな感じで」

「ふむふむ」


サロメちゃんは女性達から人相を聞いて、一生懸命似顔絵を描いてみました。ようやく30分が終わった頃、サロメちゃんはあんちゃんの似顔絵を完成させます。


「できましたわ!」

「どれどれ?」


シーン。。。

その似顔絵はお世辞にも上手いとは言えず、ピカソの人物像みたいなアバンギャルドな似顔絵でした。


「セーレ!この似顔絵を元に、愛の伝道師とやらを探しに行きましょう!」

『"承知いたしました、サロメご主人様"』


ヒヒーーン!

再び地獄の君主セーレの愛馬が、鼻から炎を吐き出して、空高く舞い上がって行きました。それらを見ていたアル・アカバ村の女性達は、一抹の不安を感じてます。


「あの似顔絵で、本当に見つけられるのかしら?」

「少なくともサロメお嬢様は、乙女心はあっても、絵心は持ち合わせてなかったのですね。。。」


さて、アフロヘアでノリノリファンキーなあんちゃんはというと、アースウィンドアンドファイアの「セプテンバー」をファンキーダンスで熱唱中~♪


「ドゥユリメンバっ♪ニョロニョロ~♪セプテンバっ♪ニョロニョロ~♪」


それを見ているペテロとアンデレは飽きれてます。


「ペテロ兄ちゃん、まだファンキー続けてるよ」

「本当にしょうがねー元大工だわ」

「しかも、ちゃんと歌詞覚えてないし」


すると!突然地獄の君主セーレが、彼らの頭上に降臨してきました。


「な、何だ!?」

「ペテロ兄ちゃん!大変だ!あれはソロモンの悪魔だ!!!」

「に、逃げろー!!!!」


あんちゃんの弟子達は右往左往しているなか、あんちゃんはファンキーでダンスしまくり。ようやく気が付きました。


「へ?」


チュドーーーーーーーーーーンン!

ヒヒーン!地獄の君主セーレが降臨!愛馬が鼻から炎を吐くと、サロメちゃんは紫のパラソルを持ったまま登場です。もちろん逃げ遅れたあんちゃんは、もろに下敷きとなってしまいました。


『"サロメご主人様、こちらでよろしいですか?"』

「ええ、十分よ。ありがとう、セーレ」


弟子達は慄いて、物陰に隠れながら見ています。サロメちゃんは自分で描いたアバンギャルドな似顔絵を取り出し、弟子たちにあんちゃんの聞き込みを始めました。


「皆さーん!私はヘロデ国王皇妃の娘サロメ!洗礼者ヨハネ様を心からお慕い申し上げる、乙女の心を持った少女です!」


ざわ、ざわざわざわざわ。


「愛の伝道師と呼ばれる、この人を見かけた事はありませんか?」


弟子達がざわめく中、フィリポとバルトロマイの二人は、若いだけあってなかなか度胸があります。二人はiPhone5を片手に写真を撮りながら近付きました。他の弟子がやめろと言っているのにも関わらずにです。


「あ、あんた達、この愛の伝道師を知らない?」

「(呟き)バルトロマイ、すげーな。これが本物のソロモンの悪魔か」

「なんか円らな茶色瞳で、ジョニー・デップ似らしくて。。。」

「(呟き)フィリポ。この愛馬はどこへでも飛べるらしいぞ」


しかし二人の関心はあくまでもセーレであって、サロメちゃんじゃありません。自分をすっかり無視されたサロメちゃんは、両手を腰に添えてお冠です。


「ちょっと!あんた達!聞いてるの?」

「サロメお嬢様、ちゃんと聞いてますって。ところでこのセーレってCGでしょ?」

「はぁ!?」

「(呟き)フィリポ、CGでは無理だ」

「あんたたち~!!シカトするんじゃないの!この、似顔絵の人知ってるか聞いてるの!


サロメちゃんから見せられた似顔絵を、フィリポとバルトロマイはじっくり眺めます。だがしかし、あんまりも前衛的でアバンギャルドなので人に見えませんでした。


「ねぇねぇ、サロメお嬢様。これって、人なの?」

「。。。」

「(呟き)ピカソのアビニヨンの娘たちを超えていると思う」

「。。。」

「いや、もっとすごいぞ。だって、絶対にこれ描いた人って、ラリってるって」

「。。。」

「(呟き)目が、三つあるし。バランス悪いし」


散々の言われまくりのサロメちゃん画伯。描いたあんちゃんの似顔絵はボロクソ言われてます。むかついたサロメちゃんは、当然フィリポとバルトロマイに制裁を喰らわせることにしました。


「あんた達!本当にスーパーダークな気分にさせてくれたわねぇ!!アスモデウス!召喚!」


ガガガガガガガ!ザザザザザ!ガガガガガガガ!

なんと地面からは牛と人と羊の頭とガチョウの足、毒蛇の尻尾を振り回し、軍旗と槍を持って地獄の竜に跨るアスモデウスが、口から火を噴きながら登場しました!


『"ウオオオオオオオォオオ!!我が名はアスモデウス!!!"』

「うげええええええええ!!!」

「(呟き)【拡散希望】本物のソロモン悪魔と遭遇中なう!」


アスモデウスの恐ろしい形相は、フィリポとバルトロマイを脅えあがらせています。


『"サロメ様ぁあああ!男娼されたい奴はこいつらですか!?"』

「そうよ、アスモデウス。あたしの絵を侮辱したのはこいつらよ!」


二人は必死にサロメちゃんへ謝ります。


「サロメお嬢様!ごめんなさい!許して下さい!」

「だめよ!この侮辱は死んでも許さない!」

「(呟き)【拡散希望】死んだふりなう。死んだふりなう」

「そこのノッポ!死んだふりしてTwitterで拡散しても無駄よ!」


サロメちゃんは両腕を組みながら、フィリポとバルトロマイの二人を許さない様子。


「あたしを散々馬鹿にした罰よ!アスモデウス!やっておしまい!」

『"サロメ様ぁあああ!わかりやしてぁあああああああ!"』


ぴーんち!フィリポもバルトロマイにアスモデウスの魔の手が!!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「な、なんなの?!」

『"なんだぁああ!!?"』


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

突如として、辺り一帯に地響きがやってきました!


「ゴラァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!この悪魔どもめぇええええええ!」


セーレの下敷きになっていたあんちゃんが、怒り爆発、チリチリアフロヘアもさらにパワーアップで!青筋立てて復活したのでした!


続く


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