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第八十六話

エルサレム神殿では、飛ぶように売れまくっているアニキグッズ。それらの様子を見ていたヘロデ王は、開いた口が塞がりません。もはや誰もがアニキグッズばっかりです。


「何という事だ!?」


当然アニキを心から慕っていたあのサロメちゃんの耳にも届きます。アニキが亡くなってから、ちょっぴり成長したサロメちゃんは、iPad2でFACBOOKを使わなくても、誰とでも会話ができるようになっていたのです。


「これは由々しきスーパーダークですわ!!!」


氾濫するアニキグッズムーブメントに、サロメちゃんは怒りさえ感じて中指を立てまくってます。母ヘロディアはそんな怒りまくりのサロメちゃんを、なんとか宥めようとしています。


「サロメちゃん、そんな下品な事はおよしなさい」

「でも、お母様!ファッキンピッグな連中は、洗礼者ヨハネ様の事を何も知らずに、騙されてグッズを買っているのですよ!」

「確かにそうかもしれませんけど、今は仕方ない事でしょう?」

「これは、スーパーネガティブな状況ですわ!抗議しに行きます!」


サロメちゃんはなんと!本当にそのまま出かけようとしました。これには母ヘロディアもびっくりしたので、首根っこ掴んで捕まえました。


「ちょ、ちょっーとお待ちなさい!」

「いやーん!お母様離して!」

「抗議ってどこに行くの!?」

「当然!カヤパの頭蓋骨に、毒々花を咲かしに!」

「な、何を馬鹿な事を言っているの?そんな事をしたら、また捕まっちゃうでしょ!」

「でも!お母様は、このままカヤパのサノバビッチを、放っておけって言うんですか?!」

「仕方ないでしょ。逆らったら命を奪われるのよ」

「スーパー・ネガティブに拒否します!だからお母様、離してー!」

「もう!いい加減になさい!そんな事したって、ヨハネは生き返ってこないの!」


するとサロメちゃんはシュンとして落ち込んでしまいました。


「全く、少しは落ち着きなさいって」


するとスーパーダークな鼻水を垂らしながら、いよいよサロメちゃん必殺技の大泣きです。


「ウワァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!」

「あああああ!!!」

「ウワァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!」

「分かったから!サロメちゃん、お願いだから泣きやんで!」

「ウワァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!」

「お母様が悪かったから!ねぇお願い!」

「ウワァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンン!!!!!」

「そうよ!良い手があるわ!」


ピタ!

するとサロメちゃんは、突然泣きやみました。


「ヒクッ、ヒクッ。本当に?」

「ええ!そうよ。サロメちゃんは、あの巷で有名な愛の伝道師に助けを求めるのよ!」

「ええええ!?お母様、私がですが!?」

「ヨハネがバラバに立ち向かった時、ヘロデお父様に言ってたじゃない」


~母ヘロディアによる、第六十六話の回想シーン 開始~


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


なんとバラバは脳天から大量の血しぶきを出しながらも、リング中央に立ちあがったのです。しかもその目つきは異様な憎しみに侵食され、もはや野獣のような恐ろしい目つきになっていました。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「そして万が一!この俺に何かがあった時!その時は、ナザレの元大工の小僧に任せるんだ!!」

「ナ、ナザレの元大工!?そ、それって!?」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!


「そうだ!あの、今巷で噂になっている、『愛の伝道師』の事だ!」

「愛の伝道師!?」

「奴ならきっと俺とは違う形で、この腐りきった世の中を救うはずだ。。。」

「ア、アニキ!!!!?」


~母ヘロディアによる、第六十六話の回想シーン おわり~


ヘロディアは腕を組みながら、俯き加減で回想していました。しかし横にいたサロメちゃんは、自分のiPad2で動画を鑑賞しています。


「お母様。確かに洗礼者ヨハネ様はそのように仰ってたけど、その回想シーンは少し編集されてますわ」

「どこが編集されているのよ。あたしの回想力は間違いなって」

「ほら、ここのシーン。もうちょっと洗礼者ヨハネ様のお言葉がありましたって」

「あら、本当だわ。っていうか、サロメちゃん。いつのまにこんなの録画していたのよ?」

「こんな事はスーパーイチコロですわ。ソロモン72人の悪魔たちに、エルサレム神殿にある防犯カメラのハッキングを頼んで、動画をコンバートしただけですから」

「さすがね~」


母ヘロディアは、完全なネット犯罪者サロメちゃんを褒め称えています。さて、そんなこんなで次の日。サロメちゃんは母ヘロディアの勧めで、愛の伝道師へ助けを求める旅に出かける事になったのです。


<本日のゴスロリ小娘サロメちゃん ファッションチェッーーーク!>

なんと今日は至って真紫で彩っております。シックな紫のレース、優美な紫のフリル、これでもかって壮麗な紫のリボンに飾られ、パニエで脹らませた深紫のスカートと、深紫のワンストラップ厚底シューズ。髪は縦ロールで長く結び、リボンやヘッドドレスで装飾し、頬紅も微かに塗ってコケティッシュでキュートな自分を演出しております。口紅はもちろん紫で、日傘もフリフリつきでロココ朝のパープル・アンブレラ。


「本当にサロメちゃん平気?」

「ええ、お母様。スーパーダークに平気ですことよ」

「そうは言っても、世の中には色々と変な輩が多いじゃない?」


心配性の母ヘロディアは、自分で勧めておきながら不安でしょうがありません。しかし一番サロメちゃんが、この世で変な輩だという事に気が付いてません。


「大丈夫ですって。私にはなんせ、ソロモン72人の悪魔が付いているんですから」

「だから心配なのよ。。。」


サロメちゃんはさっそく魔法円を描いて、ソロモン72人の悪魔の一人を召喚する事にしました。


「エロエロエッサイム~♪エロエロエッサイム~♪」


ボボボボボボーーー!


「ソロモン悪魔70番目、地獄の君主セーレよ!その姿をあたしの前に現しなさ~い♪」


ボワボワボワ~~~~~~ン!

なんと魔法円からは、長い翼の生えた黒馬と共に、髪の長い美男子君主セーレが現れたのです。


【ソロモン悪魔70番目 地獄の君主セーレ】


解説しよう!地獄の君主セーレとは、ソロモン72柱の魔神の1柱であり、26軍団を支配する序列70番の地獄の強大な君主である!東の王アマイモン配下にある。移動や運搬の能力を持っており、瞬きする間に世界中のどこにでも行くことが可能。また、優しい性質を持ち、召喚者の望みをなんでも叶えてくれるという。


アレクサンドリアのフィロン著作『これが世界の恐怖!飛んでも悪魔図鑑』ソロモン悪魔章70ページより


『"私の名はセーレ。お待たせいたしました、サロメご主人様"』

「さぁ!セーレ!私を愛の伝道師のいるところに連れてって!!」

『"はい、サロメご主人様。仰せのまま!"』


馬のセーレの後ろに乗っけてもらったサロメちゃん。セーレの馬はヒヒンと前足を上げると、鼻から二つの炎を吐きあげます。そしてセーレの雄叫びと共に、サロメちゃんは瞬く間に空を飛んで行ってしまったのでした。


続く


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