第八十二話
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
長く青い特攻服!黒いサングラス!『呪』と書かれたマスク!そしてカワサキ・エリミネーターZL1000でのドーナッツターン!もやは神業と言えるこの男の正体とは!?
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
「トマス、蒼き彗星の『蒼夜叉』って、一体どんな人物なんだ?」
「あれは忘れもしない、俺がまだナザレ白夜叉で総長に就任した時だった。。。」
あの頃の俺は、総長三代目就任してから半年目で、俺様も天下を獲ったと勘違いしていたのさ。否が応にも調子に乗らせ、右にも左にも、俺のバイクテクにかなう奴はいない。そんな風に思いこんでいたんだ。
パパラ!パパラ!パパラ!パパラ!パパラ!パパラ!
"オラオラオラ!ナザレ白夜叉三代目総長トマス様のお通りだ!!みんな道を開けやがれ!"
そんな時だった。突然エリミネータにまたがる奴が現れたのさ。
"ゴラー!そこの蒼い特攻服!道を開けやがれ!"
"なんでだ?ここは公道だろう?誰のものでもないはずだ"
"ばかやろう!天下の白夜叉三代目総長トマス様が通るからだ!"
"ふーん。お前はアッピア街道を知っているか?"
"はぁ?!何だそれ?"
"あのヤクザ・ローマ帝国が作った高速道路だ。だがその高速道路でさえ、カエサルも通れば奴隷だって馬車を走らせることができる自由な道なんだ"
"あんだと!?テメー!この三代目である俺に、講釈垂れようっていうわけか!許せねぇ!"
すると奴は、あのドーナッツターンをやりやがったんだ。俺の目の前で、まるで喧嘩を売るように。頭に血が上った俺は、オリーブ山の峠でどちらが速いのか?勝負したのさ。
"いいか?蒼夜叉!お前が負けたら、その蒼い特攻服を脱いで、俺に跪け!"
"いいだろうトマス。その代わりお前が負けたら、今までの傲慢さを反省し、金輪際三代目総長などと名乗るなよ"
峠のバンクで俺はかなり攻めて奴を出し抜いた。ところが突然対向車がやって来て、ペケジェイがスリップして俺は弾き飛ばされたんだ。もう駄目だ。これで俺の人生もおしまいで、走馬灯を見る心構えをしたんだ。
"諦めるな!トマス!貴様は今死ぬ時ではない!"
"!?"
奴はエリミネータをまるでBMXバイクのように乗りこなし、放り投げられた俺を救ったんだ。奴のドライビングテクニックは、半端じゃねー。
"いいか?トマス。あり余ったエネルギーを無駄にするな。お前にしかできない、やるべき事を忘れるな"
"蒼夜叉。。。"
完敗だったよ。上には上がいる事を、改めて考えさせられちまったんだ。そして蒼夜叉はまるで風のように去ってしまったんだ。
「それ以来、俺はナザレ白夜叉の特攻服を脱いで、まじめに結婚式場で働くようになったんだ」
ユダは地面に唾を吐いて、感傷に浸るトマスを罵倒します。
「ケッくだらねー!」
「ユダ!?なんだと!?」
「あんなドーナッツ野郎に命を救われたからって、トマス!負けを認めるなんて男じゃねー!」
「てんめー!!」
「俺だったら、何度でも勝負して、奴をコテンパンにしてやら!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ユダはナナハン・ゼッツーのアクセルを吹かし、蒼夜叉の方を睨んでます。
「おい!蒼夜叉!俺と勝負しろ!」
「おい!ユダ!止めろ!」
トマスは一生懸命ユダを止めますが、ユダはトマスの腕を振り払いました。
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
すると蒼夜叉はアクセルを吹かしながら、ユダを眺めてみています。
「ほう?ユダとか言ったな。この俺と勝負するつもりか?」
「あたりめーよ!トマスみてーなアマッチョロイ奴と、俺は違うんだ!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
二人してアクセル吹かしまくり。蒼夜叉はユダの挑戦を引き受けます。
「ならば、オリーブ山の峠で勝負をしてやろう」
「臨むところよ!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
タダイはトマスの側に戻ってきて、一体何が起きているのかを聞きました。
「ト、トマス先輩?一体何が起きてるんすか?」
「タダイ、よーく見ておけ。あの蒼夜叉こそ、この俺をマトモナ道に正してくれた人だ」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
トマスとタダイが見守る中、ユダと蒼夜叉は既にスタートラインに立っています。
「たかがトマス如きを救ったくらいで、調子に乗るんじゃねーぞ!蒼夜叉!」
「フッ、ユダとや。威勢はいいが、所詮井の中の蛙は蛙のままだ」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
「ぶっ殺してやる!!そのエリミネーターも青い特攻服も!ズタズタにしてやるぜ!」
「無駄だ。お前はこの俺をバックミラーで捉えることすらできん」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
再びタダイがスターターを務めます。
「スリー!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
「トゥー!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
「ワン!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
「ゴウ!!!」
「喰らえ!蒼夜叉!」
その瞬間、ユダは卑怯にも蒼夜叉に砂をぶっかけたのです。
「ユダのやつ!蒼夜叉に何たる卑怯の手口で!!」
「トマス先輩!見てください!」
キュルルルルルルル!!ヴォン!ヴォン!キュルルルルルルル!!ヴォン!ヴォン!
なんと蒼夜叉はお返しに、ドーナッツターンでユダの全身に砂をぶっかけたのでした。
「うげ!!!」
「フフ!そのくらいお見通しだ、ユダ!」
蒼夜叉は即座にクラッチを切り替えて、素早くそのまま走り去りました。
ヴォオオオオオオオオンン!ヴォン!ヴォン!ヴォオオオオオオオオンン!
ユダも負けじと後を追いかけます。
「くっそおおお!!!待て蒼夜叉!!!」
ついにユダと蒼夜叉による、オリーブ山峠バトルが始まったのでした!
続く




