第八十話
どーしようもないユダは、ベタニア村からスタコラサッサと逃げ出しました。
「冗談じゃねーよ!さっきの村はバラバと俺で暴れたところじゃんか!バックレんべ!」
しかもご丁寧に一行の資金までちょろまかして。当然その事はすぐに他の弟子達にもすぐにばれてしまいました。
「大変だ!トマス」
「どうした?フィリポ」
「ユダが僕らの資金を奪って、どっかヘ逃げちゃったよ!」
ぷっち~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん!!
ナザレ四中をシメてた元番長トマスは、怒り心頭!憤激!逆上!憤怒!もうトサカにきてました。
「もうユダのくそったれ野郎!!!ゆるせねぇ!!!タダイ、ペケジェイ用意しろ!」
「はい!先輩!」
【ペケジェイ】
解説しよう!ペケジェイとは、ヤマハから発売されたバイクXJ400の事である!カワサキより発売されたZ400FXに対し、いち早くヤマハが400ccの4気筒クラスバイクとして発売!全国のヤンキーにとって、必須バイクとなったのであーる!
<フラウィウス・ヨセフス著作『古代ユダヤの暴走族誌』41ページより>
「タダイ!ニケツでお前は旗持ちだ!!」
「はい!トマス先輩!」
ジャジャーーーン!
トマス仕様ペケジェイは、ハンドルがチョッパーでバックシートもエビぞり。さらにトマスは踵まである長い白鉢巻きに、長く白い特攻服、そして黒い地下足袋を着用して登場!
「トマス!その特攻服は!?」
「そうさ、元ヤン。俺は暴走族『ナザレ白夜叉』の三代目総長だったのさ!」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
アクセルふかしまくるトマスは、咥えタバコでソリコミ・リーゼントでメンチを切っています。
「まさかお前が三代目総長だったとはな、トマス」
「フッ、元ヤン。俺はこんな特攻服、とっくの昔に卒業したつもりだったんだけどな」
「今でも十分似合ってるぜ」
「ありがとうよ」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「トマス、くれぐれもユダを。。。」
「分かってるよ、元ヤン。俺は俺なりのケジメで、あのユダの野郎を連れ帰ってくるだけだぜ」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
その男気溢れるトマスの横顔に、あんちゃんは何も言わずただ、頷いています。
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「おおおし!!タダイ!行くぞ!!!」
「うぃーっす!トマス先輩!」
バボーーーーーーーーンン!バボーーーーンン!バボーーーーーーーーンン!
パラララ!パラララ!パラララ!パラララ~!
トマスはヤンキーばりに股を開いた状態で、巧みにクラッチを切り替えながら、三速フルスロットルで吹っ飛ばして行きました。その暴走族族長としての勇敢な姿に、他の弟子達は茫然としております。
「あれ?バルトロマイ。さっきまでリーダって、ここにいなかったっけ?」
「(呟き)確かにさっきまでいたけど。どこ行ったんだろう?」
すっかりバックレ人生が板についてきたユダですが、さすがに疲れてきたのか岩陰で休んでます。
「畜生!このままヤンキー・トマスなんかにばれた日にゃ、フルボッコだぜ!」
バボーーーーーーーーンン!バボーーーーンン!バボーーーーーーーーンン!
「!?こ、この音は!?」
パラララ!パラララ!パラララ!パラララ~!
「おらぁあああ!!ユーーーダーーー!!!!出てこい!!!!」
なんと!トマスは既に!ユダを捜しあてていたのです!さすがにこれには驚いたユダ。
「くっそう!なんて格好してやがんだ!?トマスの野郎は!時代遅れもいいところだろうが!?」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
トマスは族をやってた頃から、無断でバックレたメンバーを捜し出すのが、誰よりも天才的に得意だったのです。仁義に生きるトマスらしい性格です。もはやユダは絶体絶命のピーンチ!その時でした!
「こ!これは!!!!」
岩陰に何やら見覚えのあるマシンがキラリ!しっかりガスも入っています。
「へっへっへっへっへ!これさえあれば、あのトマスも赤子をひねるように、イチコロだぜ!」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
痺れを切らしたトマスは、バイクをふかしながら、ユダが隠れていたと思われる岩陰に攻め込みます。その時でした!
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
「!?こ、このエンジン音は!?」
「トマス先輩!もしかして!」
「伝説のナナハン・ゼッツー!!!?」
【ナナハン・ゼッツー】
解説しよう!ナナハン・ゼッツーとは!カワサキから発売されたバイク750RSの事である!Z2形式エンジンを搭載している750ccバイクであることから、全国のヤンキーからはゼッツーの愛称で親しまれているのであーる!
<フラウィウス・ヨセフス著作『古代ユダヤの暴走族誌』40ページより>
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
「なんだってユダがゼッツーを!?」
「トマス、なんだそのちゃっちーバイクは?」
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「どうやらトマス!神は我を見捨てなかったというわけさ!」
「ケッ!ユダ!バイクはパワーだけじゃねー!テクニックだ!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ニュートラルにクラッチを入れたままの二人は、アクセルをふかしまくってます。
「ならばトマス!貴様のペケジェイと俺様のゼッツー!どちらが強いか勝負しようじゃねーか!」
「望むところよ!ユダ!!!この『ナザレ白夜叉』三代目の特攻服に賭けて!お前を叩きのめす!」
「冥土の土産で残したい言葉は、それだけか!?」
「舐め腐りやがって!ゼロヨンで勝負しやがれ!!」
【ゼロヨン】
解説しよう!ゼロヨンとは、直線コース上で停止状態から発進し、ゴールまでの時間を競うドラッグレースの事である!1/4マイルが約0-400mであることから、走り屋、暴走族共にゼロヨンと呼んだのであーる!
<フラウィウス・ヨセフス著作『古代ユダヤの暴走族誌』20ページより>
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
『絶叫!!オリーブ山付近ゼロヨン・レース!」
トマスとユダの二人は、オリーブ山付近の直線コースで、ヤマハのペケジェイとカワサキのゼッツーに乗り込んで、今まさにスタートをしようとしていました!スターターはもちろん旗持ちの後輩タダイ!
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「いいかユダ!この直線コースを先に着いた方が勝ちだ!」
「おう!ビビってブレーキ絞るんじゃねーぞ!トマス!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「お前が負けたら!今までの悪事を白状し、元ヤンや他の連中、そして迷惑をかけた村々に詫びろ!」
「けっ!大口たたくのは勝ってからにしやがれ!お前が負けたら!その白い特攻服は俺のもんだ!」
「好きにしろや!ユダ!」
「いくぜ!トマス!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「スリー!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「トゥー!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「ワン!」
バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!バブンブンブンブン!
ブルン!ブルブルブルブル!ブルン!ブルブルブルブル!
「ゴウ!!!」
トマスとユダ、一斉にアクセルを回します!ついに世紀の対決が、今まさに始まったのでした!
続く




