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第七十八話

さて大工のあんちゃんと弟子達は、エルサレムの近くにあるベタニア村に到着しました。


「イエーイ!やっとベタニア村に着いたぜ!みんな!ここでも頑張ってライブやるぜーぇ!」


オオオオオオオオオ!!

弟子達はあんちゃんの久々のライブに意気揚々の雄たけびを上げます。しかしただ一人ユダだけは、なんだかヨソヨソしい感じで、ビクついています。


「うん?どうしたユダ?」

「いや、あいててててて!ブラザー!なんか腹痛が痛いYo!」

「腹痛が痛いって。そんなもん、ウンコすれば治るだろ?」

「そうじゃねーってYo!マジやべーって」


ユダの腹痛なんて真っ赤の嘘。それもそのはず、ユダはあんちゃんの格好でベタニア村にやって来ては、暴虐の限りを尽くしたからです。しかしそんなことは知らないあんちゃんは、ユダの肩に手を添えて、目を閉じながら語り出しました。


「ユダ、おめぇーの緊張している気持ちは分かるぞ。俺も最初のアクトは緊張したもんよ」

「い、いやそうじゃなくってYo!」

「だがな、そういった痛みを乗り越えて、お前もオープニングアクトで俺のライブを盛り上げるわけだ」

「ブラザー緊張しているんじゃなくってYo!」

「いいか?そういう時は、掌に人の字を三回書いて、それを飲み込むと緊張しなくなるぞ」


結局、あんちゃんの語りを半分も聞かず、スタコラサッサとユダは逃げちまいました。それを眺めていたトマスは、加えタバコであんちゃんの所にやってきます。


「おい、元ヤン。やっぱり、あのユダは何か隠してやがるぜ。ここ来るまで全然調子乗ってたやつが、突然この村に来て腹痛だなんて、普通おかしいだろ?」

「ったく、トマス。お前は疑い深いんだよ。ユダはユダなりにだな、緊張という奴と戦っているわけだ」

「そうか?あいつは何か自分に都合が悪い事あると、いつもああやって腹痛だって言いまくって逃げちまうんだぜ」

「うーん、しょうがない奴め。誰か正露丸買ってこいよ」


さて、ベタニア村の住人達は、あんちゃん一行がやってきた事に気が付きます。村長は一人、あんちゃんの元へやってきました。


「我々の村に、一体何の用じゃ?」

「これはこれは村長さん。僕は元ニートで大工だった、『愛の伝道師』です!」

「なに!?伝道師じゃと!」


ザワザワザワ。ザワザワザワ。

村人達はあんちゃんをうさん臭い奴と言わんばかりに、突然ざわめきました。そんな村人の態度に耐えかねたフィリポは、あんちゃんの為に突然宣伝を始めます。


「いいですか?みなさん!今、ここにおられる先生は、あの先日亡くなったアニキ・ザ・ヨハネの後継者としても名高い!一番ホットでおニューなロック・シンガーなんです!」


ザワザワザワ。ザワザワザワ。


「今までの村でもミラクルを起こし、時には救世主とも呼び名の高い存在なのです!」


すると村人達は突然嫌悪感を露わにしました。


「きゅ、救世主じゃと!???冗談じゃない!!」

「え?なんで?」

「この村は以前に救世主と名乗る男に、酷い事をされた事があるんじゃ!その為に草木は枯れ、食料は無くなり、

ローマ軍には目をつけられ、誰も他の村から寄り付かなくなってしまったのじゃ!」

「なんだって!?」

「だからこれ以上、この村にはお前の評なインチキ霊媒師などいらんのじゃ!」


"そうだ!そうだ!"

"何が愛の伝道師だ!帰れ!帰れ!"


村人たちも一斉にあんちゃん一行に罵声を浴びせ始めます。さすがにここまで言われると、あんちゃんも心苦しくなったのか、諦めモードになりました。しかしそんな姿を見たマリヤちゃんは、あんちゃんに踏み寄ります。


「ちょっと!あんた何弱気になってるのよ!」

「だ、だって~マリヤ。みんなあんなに怒ってんだも~ん」

「だも~んじゃないでしょ!胸張りなさいよ!」

「いや~、ほら、俺って結構褒められると伸びるタイプだからさ」

「何をゆとり世代みたいな事を抜かしているのよ!」


すると耐えかねたマリヤが、村人達の前に出て話しだしました。


「みなさん!ここにいる元大工は、みなさんを騙したようなインチキな男ではありません!」

「うんうん」


あんちゃんは腕を組んで、目を閉じて頷いてます。


「確かに、大食いで、飲んだくれで、エッチで、スケベで、どうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしようもバカですが。。。」

「マ、マリヤ。そこまで言わなくたっていいじゃない」

「でも、この人が多くの人から慕われているのは本当です!この人が唄えば、みんな心はハッピーになり、陽気で楽しい時間を過ごせるのです!」


"そんなこと信じられっか!AKBは聴き飽きたぞ!"

"そうだそうだ!近頃は連立ばかり組んで、国民の事を考えないタヌキ溢れかえってやがるし!"

"結局、なんでも他人事で自分勝手な連中ばかりなんだ!"


「いいえ!この人だけは、自分勝手な人なんかじゃありません!」

「マ、マリヤ。。。」

「私がマグダラ村でトップキャバ嬢をしていた頃、逆恨みしてきた漁師達から、たった一人で私を救ってくれたのは、この大工だったのです!」


そうです。あんちゃんは演歌好きな漁師達の心も、鷲掴みにした事があったのです。すると、ある女性が唐突にマリヤの前にズカズカズカっとやってきました。


「私は、この愛の伝道師を信じるわ!」

「あなたは!?マルタ姉さん!!!」


続く

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