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第七十一話

時は!貧富の格差で混沌とした時代!世界は老いも若きも、男も女も苦しんでいた!


長引く不況で失業者が溢れかえる中、国民には不透明で不当な増税ばかり課せられていた!生きる気力と夢を失った彼らは、親子で言い争い!夫婦でいがみ合い!幼馴染で喧嘩をし!同僚同士でけなしあう毎日!誰もがどこかで何かにイラ立っているような、そんな心貧しき時代を迎えていたのであった!


混迷の極みを迎えた、そんな苛酷で悲惨な時代に、ある一人の漢が立ちあがる!


名はアニキ・ザ・ヨハネ!強靭な体をプロレス修行で身に付け、強固な反抗心をパンク音楽で養ったこの漢は、圧政と金持ちに中指を突き立て、ファックを連呼しながら、無気力な若者達の心を掴みまくった!感化された誰もが、この勇ましい漢に夢を託し、世界が変わることを望んでいたのである!


だが!歴史は皮肉にも、この漢から命と機会を奪ってしまう!ヤクザ・ローマ帝国のピラトゥス一味に囚われたヘロデ国王の家族を、命を賭けて救うべく立ちあがったアニキであったが、死刑囚バラバとの激闘の末、非情なローマ軍団を目前に、自ら首を斬って自決したのである!


そう、一人の若者に、己の果たせなかった夢と希望を託したまま...。


その若者こそ!!


ジャジャジャジャーーーーーーン!!!ババン!!!


『元ニートで大工のあんちゃん(別名スーパー・チェリーボーイ)』であった!!!


※大工のあんちゃんの主題歌は、今回は割愛させて頂きます。


アニキの葬儀から、時は一週間を刻んだ!!


「おーーーい!アンデレ?そっちはどーだー??」

「ペテロ兄ちゃん、どこにも見つからないよ!」


なんと、大工のあんちゃんは弟子を残したまま、失踪していたのです!


「全く、あの元大工はどこに行っちまったんだ?トマス」

「さぁなペテロ。ひょっとして今までのツケが払えなくて、トンズラしやがったとかじゃねぇーだろな?」


トマスの後輩であるタダイも、必死にあらゆる処を捜しています。


「まさか先輩、夢遊病とかかな?」


バルトロマイやフィリポも、最新iPhone5でGoogleマップをダウンロードして捜しています。


「(呟き)フィリポ、やっぱりGoogleマップはAppleのよりも使いやすいな?」

「(呟き)確かにバルトロマイ。行き先ルートも交通渋滞も一目瞭然だもんね」

「(呟き)でもよく考えると、先生がどこにいるか知らなきゃ、意味がないんじゃないかな?」

「(呟き)あああ!確かに!どんな高性能なマップでも、行き先が分からなきゃ意味無いよぉおお!」


マタイとジェイコブの兄弟は、必死に藁の中まで捜しています。


「ジェイコブ、先生は一体全体どうしていなくなったんだ?」

「マタイ兄ちゃん。多分、僕が思うに、先生はきっと童貞がばれるのが怖くて。。。」

「コラ!ジェイコブ!」


ゴツン!


「いってーーー!マタイ兄ちゃん、なんで突然殴るんだよ?」

「馬鹿野郎!口が裂けても先生を童貞なんて言うな!」

「だって本当の事じゃないか!」

「確かに、確かに俺もそのことは頭をよぎったさ!だからって、先生をチェリーボーイとか、真性チェリーとか、素人チェリーとか!口が裂けてもそんなことを言ってはならねー!」

「ずるいよ!兄ちゃんだって、十分に言ってるじゃない。。。」

「チェ、チェリーぐらいはいいんだよ、きっと」


さて、ディープな談義が好きなヤコブとヨハネは、大工のあんちゃんが失踪しているのにも関わらず、失踪に関する映画の話をしていました。


「ヤコブ、やはり『失踪』といえば、キーファー・サザーランド主演、まだ無名のサンドラ・ブロック共演の洋画に限るよな?ガソリンスタンドで目を離した隙に恋人が連れ去られて、必死に全国各地を捜しまくるんだけど、訪ね人のポスターに掲げられたサンドラ・ブロックの陽気な笑顔が、更なる恐怖を煽ってたなー」

「それを言うならヨハネ、犯人役のジェフ・ブリッジスも忘れちゃならないでしょ?大学の化学教師で何も不自由無い暮らしの犯人が、家族の愛情を測るという自分の思想のために、他人を誘拐するという残虐行為の後、ゆっくりと家族団らん過ごしているんだから」

「ある意味、あの時代のサイコパスな流れを組んだ映画産業は、やはり『羊たちの沈黙』あたりからかな?」

「うーん、それなら長閑な農園で行われる、凶悪な犯罪という図式を作った『ミザリー』を忘れちゃいけないと思う」

「それだったら、やっぱりキューブリック監督の『シャイニング』で決まりか?」

「それは大いに賛成!一点透視図法にこだわったヴィジュアルは、今でも色褪せないよ」


ポカ!ポカ!

さすがにマグダラのマリヤちゃんが、ヤコブとヨハネを殴りました。


「あんたらねぇ~!いつも存在感が薄いからって、何好き勝手な事を喋ってるんじゃないわよ!早く大工を捜しなさいよ!」


さてユダは携帯電話を使い、あんちゃんとはセクシー女優早川ツバキちゃんのファン同志である、ラザロに電話していました。


「はいラザロ。誰よ?」

「Yo!Yo!Yo!ラザロ?そっちにブラザー来てねぇ?」

「はぁ?ブラジャーだぁ?届いてねぇよ」

「そんなばっかな事はねぇYo!ラザロのところになら、ブラザーから連絡くるだろ?」

「うっせぇーな!ツバキちゃんのブラジャー・プレゼントは、今月外れちまったんだ!」


ガチャーーン!

どうやらラザロは勘違いしていたようで、すっかりユダは着信拒否をされてしまったようです。


「むむむむうむ、うむむむむむむ!」


シモンは一人、滝にに打たれながら瞑想をしていました。その横をトマスとペテロが通りかかります。


「ペテロ、あいつ何してんだ?」

「トマス、まさかあいつ、お百度参りと滝に打たれるのを、勘違いしているのではないか?」


【お百度参り】

それは神仏に祈願するために同一の社寺に百度参拝することである。


「そもそも宗教が違うだろ、宗教が〜」

「あ!今度は獅子舞でなんかやってるぞ」

「今度はなんだ〜?旧正月か?!」

「シモンって、けっこう頑固そうな風貌なくせに馬鹿なんだな」

「いや、あの顔だったら神田川の神輿も似合いそうだ」


さてさてさて、結局のところ12人の使徒とマグダラのマリヤちゃんは、失踪した大工のあんちゃんを必死に捜しましたが、どこにもいませんでした。一体大工のあんちゃんはどこに行ったのだろうか?なぜ失踪してしまったのだろうか?やっぱり怖気づいて逃げちまったのだろうか?


自決したアニキ・ザ・ヨハネから、みんなの夢と希望を託された大工のあんちゃん!今後どうなっちまうのだろうか?それでもまだ、自分は童貞じゃない!っと言い張るのだろうかーーーーーーーーーーーーー!?


続く

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