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第七話

「本当にスマねぇ~。みんな、海よりも深く反省してるぜ」


大工のあんちゃんは、昨日の結婚式の一件から、頭丸めて反省していました。トマスとタダイは、それを確かめる為に、弟子達と一緒についてきてます。


「やっぱり29年もののヴィンテージ・ワインが、美味しかったからいけねぇんだ」

「おい、そうじゃねぇだろ?元ヤン。おめぇが酔っ払ったからいけねぇんだろ?」

「おう、トマス。そうだったな。"ああ神よ、私はもうバカみたいに酒は飲みません!!"」

「ったく、本当に反省しているんだろうな?」

「猿よりも反省してるってば!だからこうやって、ちゃんと頭を丸めてるじゃんかぁ」


と、あんちゃんは丸坊主の頭に指を差しますが、疑い深いトマスは何か怪しいとにらんでいます。


「さぁみんな!もう少しで湖だ!いざ行かん!」


まるでお釈迦様のように、光り輝く丸坊主のあんちゃんは、みんなの先頭を切って歩き出しました。


「あの大工、インドのライバル目指してるのか?」


しばらく一行が歩いて行くと、ガリラヤ湖に出くわします。目的地は向こう岸にある、アニキのライブハウス。弟子達は漁師達の指示に従い、舟の用意を始めました。


「ペテロっち、俺も何か手伝うよ」

「あー、いいって。あんたは向こうでライブの練習でもしててくれ」

「悪りぃな~、気を遣わせちゃって」


別にペテロは気を遣ってたわけではなく、ハゲ坊主のあんちゃんに準備を邪魔されたくなかっただけでした。結局あんちゃんは頭を光らせながら、ずっと一人で練習をしてました。


「おーい!大工、舟の用意ができたぞ!」

「待ってたぜー!ベイビー!」


一行は舟に乗り込みます。坊主のあんちゃんは練習疲れで、イビキをかいて寝てしまいました。しばらくすると空は暗くなり、雨が降ってきました。心配した漁師兄弟ヤコブとヨハネは、ペテロに相談します。


「ペテロ。あの雨雲はヤバイぜ。なぁ?ヤコブ」

「ああ、ヨハネの言う通りだ。引き返したらどうだろう?」

「おいおい。漁師の俺たちが、このくらいでビビってどうする?もう少しで向こう岸なんだから踏ん張るぞ」


しかし二人の不安は的中し、とんでもない嵐がやってきました。必死に舵を取るペテロでしたが、さすがの荒波にお手上げ状態。他の弟子達もビビってます。


「や、ヤバイぜ、ペテロ!この荒波は異常だぞ!引き返せ!」

「無理だトマス!これじゃどうしようも無い!」

「な、何だって?!」


しかし遊び疲れたあんちゃんは、まだ、イビキをかいて眠ってます。


「うわあああ!」

「どうした?!トマス!?」

「船の下から水漏れだー!」


彼らをあざ笑うかのように、荒波と暴風雨は激しくなってきます。さすがに漁師のペテロもなす術がなくなり、あんちゃんを起こしました。


「おい、大工!起きろ!大変だ!」

「うん?なんだなんだ?!」


やっと起きたあんちゃん。怯えてうずくまってた弟子達は、このままじゃ舟が難破してしまうと訴えます。しかし、丸坊主のあんちゃんは激怒して彼らを一喝しました。


「この愚か者達め!何を怯えてやがる!先に突き進めぇえええ!」

「えええ?!でも、とんでもない嵐ですよ!?無理です!」

「このぐらいの嵐がなんだぁああ!!AKB48がなんだぁああ!!そんなもん、タイマンで勝負だぜ!」

「は、はぁ?!何を言ってるんだか?!」


大工のあんちゃんは舟の先っちょに片足をあげ、なんと嵐に向かって中指突っ立てて叫び出したのです。


「うおおおおおおおおおおお!」

「な、何やってんだ?!大工!」

「どりゃああああ!やれるもんならやって見やがれってんだ!」

「あ、あいつはバカか?!」


暴風雨にシャウトするあんちゃんに、嵐は稲光と雷で怒りまくります。しかしあんちゃんのタイマン勝負も負けてません。


「マザーファッキンロックじゃねぇか?!!うひょおおおお!」

「ダメだ、大工が完全にイカレちまってる~」

「いえーーーーーい!俺はまだ未経験なんだからよぉお!こんな嵐くらいで死んでたまるかぁーーー!」


死を覚悟してうずくまってる弟子達を尻目に、まるでロックスターよろしく、メチャクチャ罰当たりな言葉を連発し、シャウトし続けるあんちゃんでした。


「ううう……」


ようやく嵐は過ぎ去り、気を失ってた弟子達は目を覚まします。


「あれ?嵐は?」

「お、おい。みんな!向こう岸に着いてるぞ!」

「やったー!大工がミラクルを起こしたんだ!助かったんだ!バンザーイイ!!」


弟子達は大喜び。そして果敢にもたった一人でタイマン勝負した大工のあんちゃんに、みんなは心から感謝を始めました。ところが、肝心の大工のあんちゃんが見つかりません。


「あれ?あそこに倒れてるの誰だ?」


きったないワカメを頭に乗せてる人物は、仰向けになって気を失ってました。弟子達は急いで駆け寄ります。なんとさっきまで坊主だったはずの、髪の毛が生えた大工のあんちゃんでした。


「すげぇ!嵐の次に、大工の髪の毛までも復活とは!ミラクルだ!」


しかしよーく見ると、トマスのそばには、丸坊主のかつらが落っこちてるではありませんか。


「この野郎!何が海よりも深く反省してるだ!」

「結局、つるっぱげのヅラを被ってただけじゃねぇか!!」

「みんな!やっちまえ!」


弟子達からボコボコにされたのは、言うまでもありません。こうして大工のあんちゃんは、再び反省する事になったのでした。


続く

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