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第六十七話

『激闘!ノーリング、ノーロープ、ノーポール、ノーマット in バラバの邪気空間ドーム!』


【バラバの邪気空間ドーム】

解説しよう!邪気空間ドームとは、憎しみに陥った人間が、他人を巻き込むために作り出した邪気の空間である!この邪気を持つ悲しき人間は、この世の中の全てに憎しみを抱き、人を傷つけることだけが唯一の解決策と考えてしまうのである!


「これが、バラバのやつが抱えていた、心の闇か」


黒紫の炎ような物が、邪気空間を彷徨うアニキに襲いかかります。


"オラを!オラを虐めないでくれよ~!!!!"

"オラは醜くねぇーだ!!!なんでみんなは、オラの事を避けるんだ!!"


邪気空間にある黒炎は、蔑まされていた幼いバラバの姿を具現化しています。その姿は痛々しく、時には実の母親や父親からも、ただ醜いという理由だけで虐待をされていたのでした。


「バラバのやつ。なぜ、今まで心の闇を吐き出さなかったんだ」


そして成人したバラバにも、過酷な世の中の偏見が襲いかかります。たまたま通りかかった村人から、盗人と罪を着せられたり、ただ迷子になっていた子供に道案内をしただけなのに、バラバが誘拐したと言いがかりをつけられていました。


"オラは何も悪くはねぇ!オラじゃないんだ!"

"その子は、本当に迷子になっていたんだ!"

"なのにその子は、オラに誘拐されたって嘘をついたんだ!"


邪気空間の黒炎は、まるでアニキを突き放すように、バラバの心の闇を具現化していきました。しかし、アニキはその度に、黒炎に対して真っ向から勝負をし、次々に倒していきます。


"ひぃいいいいいい!オラを虐めないでくれーーーー!"

「オラ!!バラバ!聞こえるか!?こんな幼稚なものでごまかそうとしても、俺を倒すことなど無駄だ!」

"オラは悪くないんだーーーー!"

「ああ!確かにこいつらの言う通り、お前は両親にも他人にも誤解されて生きてきた!」

"そうなんだーーーー!オラは誤解されていただけなんだ!!!"

「だが、それが何だと言うんだ?!」


アニキはその弱音を吐いているバラバの黒炎を、再びあっという間にぶっ倒し続けます。


"ひぃいいいいいい!どうしてオラを虐めるんだーーーー!"

「バラバ!お前は一つだけ間違っていることがある!それは、命をかけて誤解を解こうしなかったことだ!」

"いつも誤解されたオラに、そんなことができるか!!!"

「いいや!それでもやるんだ!誤解を解きたければ、命を賭けて訴え続けるんだ!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

するとバラバの邪気空間が様変わりして、今度は国中から恐れられたバラバの記憶を具現化し始めました。


"盗んでないのにオラのせいにするんだったら、最初からオラが盗んでやる!!"

"だれも信用してくれないのなら、オラがお前達の信用をぶっ壊してやる!!"

"どうせオラの事を殺人者呼ばわりするなら!みんなぶっ殺してやる!"


無法者時代のバラバを具現化した黒炎達は、先ほどよりも一回り二回りも大きくなって、アニキに襲いかかりました。


「これがお前の心の叫びか!?バラバ!」

"オラを馬鹿にするやつをぶっ殺せ!!!!!"

「自分の飢えた愛情を、お前はこんな形でしか表現できないのか!?」

"オラは悪くないんだ!周りの人間が悪いんだ!"

「いいか!?他人のせいにしか生きていけない、こんな心の叫びは、お前自身の甘えでしかないんだ!」


バラバの黒炎達は偏執的に、アニキへ襲いかかります。


"アニキのように恵まれた人間には、オラの気持などわかりはしない!"

"みんな誰しもがアニキのように、強い気持ではいられないんだ!"

"オラのように矛盾を抱え生きているんだ!"

"嫌でもやらなければいけないことが、オラと同じようにみんないっぱいいるんだ!"


だがそれでもアニキは物ともせず、次々と倒していきました。


「よーーーーし!バラバ!そこまでこの俺の存在を否定したいのなら!全力で俺を叩きのめしてみろ!」

"否定してやる!否定してやる!"

「俺を叩きのめせ!」

"人間そんなに強くないんだ!オラが否定してやる!"

「さあ!姿を現せバラバ!お前の本当の姿を俺に曝け出して、俺をぶちのめすんだ!!」

"オラの本当の姿を見せてやる!!!"


するとアニキの目の前には多くの邪気が集まり、バラバの本当の姿を具現化していきました。その姿こそ、まだ生れたばかりで目も開けないような、母乳を必死に追い求める生れたばかりの姿でした。


「な、何だと!?こ、これが、邪気が選んで作り出した、バラバの本当の姿というのか!?」

"そうだ、アニキ。オラが記憶していない、オラが一番幸せだった頃の本当の姿だ"

「そんなバカな!なぜ憎しみであるバラバの邪気が、幸せだったバラバを具現化するんだ!?」

"アニキ、あんたはこの右も左も分からない赤子に、それでも甘えであるといえるのか?"


するとその赤子の夢が映し出されました。それらは、穏やかで幸せに包まれた夢です。その赤子は目を閉じたまま、アニキに向かって語り出します。


"アニキ、あんたは本当に強い人だ。自分の弱点を克服し、そしてそれさえも自分の強さに変えられるだけの力をもつ"

"それだけじゃない。多くの人々の心を鷲掴みにし、そして人々が考えられないような、いや諦めていたような理想へ導くことすらできる"

"だが、そんなアニキだって、生れた時はオラと同じように弱い存在だったはずだ"


赤子のバラバを見つめるアニキの目には、もはや何も語ることができない諦めが漂っています。


「それがお前の抱える矛盾ならば、もはや俺には何も手出しはできない」

"当然だ!殺しちまえ!"

「バラバ、悪かった。この俺が間違っていたのだ」


そして黒炎達がまさにアニキへ襲いかかろうとした、その時でした!アニキの周りに白炎達が集まり、まるで無抵抗なアニキを守るように、何かに形へと変え始めます。


「こ、これは!!?」

"オ、オラの、優しい気持ち!?"


そう、白炎達が具現化した姿は、誰よりもバラバの心を理解した、リベカだったのです。


"リベカ、おめぇ、まさかおらの為に一晩中看病してくれたのか?"

"うん!火傷が結構酷くてたいへんだったの"

"これっぽちの火傷で醜くなってもさ、そんな心配することねぇぞ"

"でも~"

"それに、おらの顔は元々醜いからな。ガッハッハッハッハ"


するとリベカは突然口をへの字にして、バラバを睨んで怒りだしました。


"どうして!?"

"え?なんでだ?"

"どうして自分の事を、そんな風に言うの?"

"リベカ。。。"

"バラバは全然醜くないもん!バラバの心は誰よりも優しいし、とっても素敵な笑顔をしてくれるもん"


この時初めてバラバは、他人の純粋な心に触れたのです。ずっと、ずっと心の奥底で守っていた、赤子のような自分を、リベカは真っ正直な気持ちで受け止めてくれたのでした。


「アニキ、オラが間違っていた。リベカは、リベカは!オラが醜くなってからでも、オラの笑顔を素敵だと言ってくれたんだ!」

「バラバ。。。」


そして赤子のバラバは成長し、本当の姿へと戻ります。アニキはそれを感慨深く眺め、目を細めながら見つめていました。


「アニキ!オラはもう邪気なんていらねぇ!もう甘える必要がないんだ!」


すると、エルサレム神殿を包んでいたバラバの邪気空間が、あっという間に崩壊を始めたのです。


「おおお!バラバの邪気空間ドームが!!」

「見てみろ!アニキもバラバも生きている!」


避難していたカヤパやピラトゥスも、仕切り直して姿を現しました。


「全く一体何が起きてたザマスか?!」

「ゲヘヘヘ〜!」

「キーーー!あの二人、青春してるザマス!!」

「ゲヘヘヘ〜。そうはさせるか!」


そして広大な陽の光を浴びるアニキとバラバの二人は、あらゆるものに祝福されてるように握手をするのです。


「アニキ、本当にすまねぇ。オラは、オラは!」

「いいんだ、バラバ。お前が、少しでも、何かが気が付けただけでも。そして、俺もまた、自分の。。。」


ズーーーーーーン!!

グサッ!!!


非情にも、ローマ軍団兵士カッシウスの放った短刀が、アニキの心臓を貫いたのでした。


「ア、アニキーーーーーーーーー!!?」


続く

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