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第六十五話

『死闘!金網ドーム有刺鉄線ロープファイヤー・デスマッチ in エルサレム宮殿!』


「やっぱりな!バラバの弱みを握り、この俺様を始末しようとしていた腹なんだろう?カヤパ!」

「!?」


バラバに投げられたアニキは実は気を失ったふりをしていたのです!さすがアニキ。あえて空高く宙を舞ってリング外の炎を避け、そして金網ドームへポーンと駆け上がりました。


「だがバラバ!なぜ奴らに立ち向かわない!?奴らが権力を振りかざして、お前の弱みを握ってくるのなら、その権力に従って弱みを守るのではなく、全身全霊をかけて、なぜその弱みを守ろうとしないんだ?!」

「ア、アニキ。。。」

「お前の心の中には、そういった矛盾や葛藤があるから、さっきから繰り出してきている技にしたって、中途半端な打撃しか与えられないんだ!葛藤を捨てろ!矛盾があるのならば、自分を律しろ!」


その言葉にバラバは、何も言えなくなってしまいました。そして、リングに佇み、両腕を下ろし、闘争心を失い始めています。その姿に苛立ったカヤパとピラトゥスは、バラバの弱みをだしに檄を飛ばして闘わせようとします。


「リベカの村を焼き払ってもいいザマスか!?

「!?」

「ゲヘヘヘヘヘ~。ユダヤの土地をほしがっているローマの金持ち連中はいくらでもいるのさ」

「いいザマスか!?バラバ!あのヨハネの語ることは理想であって、お前にも、そしてお前の守るべき人間にも、なにも役に立たないザマス!なぜ?お前はローマ兵に自首したザマスか!?」


バラバの心の中に、初めて自分を人間扱いしてくれた、リベカの優しさが広がります。それと同時に、リベカの住む村がローマ軍団によって焼き払われ、人々が苦しむ姿も想像してしまいました。


「あのヨハネのいいなりになったところで、お前はリベカや村の人間を一人で救えるわけがないザマス!」

「ゲヘヘヘヘ~!その通りだ。だが、もしヨハネをここで倒せば、ワシの一存でいくらでも助けてやろうではないか!?」


頭を抱えて苦しむバラバは心を鬼にして、アニキに鋭い眼光を向けました。


「オラ、リベカの為、村の為にも!アニキをぶっ倒す!」


金網ドームにぶら下がるアニキは、すこし哀れな目を見せながら、バラバに語りかけました。


「バラバ、お前はどうやら、悪魔に魂を売り渡したようだな?」

「な、なんだと!?」


だが、それでもアニキはバラバを煽るように、冷たい言葉を放ちます。


「どうやらリベカという女の子は、外見の醜いお前を初めて人間扱いしてくれたようだが、今のお前はその女の子の優しささえも裏切ったんだぞ」

「嘘だ!オラは、リベカの優しさを裏切ってなんかいねぇー!オラはリベカを守るために」

「それなら、なぜ!?あんな連中のいいなりになっている!?リベカって女の子が、喜ぶとでも思っているのか?!」


バラバはちらっとカヤパとピラトゥスを見ました。すると彼らはまるでリベカの首を切るかのように、親指で真一文字に横へ切ります。


「アニキ!あんたは確かに正しいことを言っている!だが、現実はあんたがいうような事ばかりじゃないんだ!」

「ほう?お前の語る現実とは何なんだ?」

「オラが一人でリベカの村を守ったところで、ローマ帝国に目をつけられたら、やつらに歯向かった罪で、村のみんなが犯罪者になってしまう!」

「それがお前の言う現実か!?」

「そうだ!村のみんなを守るためには、オラ一人が犠牲になればいいんだ!」


するとアニキは怒りの形相で金網ドームからジャンプして、バラバへと向かいました。


「自分に酔いしれるな!バラバ!」

「!?」

「そんな考えはな、クズの考え方だ!」

「オ、オラが、クズだと!?」

「ああ!性根まで腐っちまったクズ野郎だ!」


ドカ!

アニキはそのままバラバに二ードロップをかまします、だが喰らったバラバは歯を食いしばり、アニキの頭を抱えながら、ジャンピング・ヘッドバットをかましました。


「ぐは!」

「オラは!」


さらにジャンピング・ヘッドバットをかまします。


「ぐお!」

「オラは!クズなんかじゃねぇーーー!!!」


さらなるバラバからのジャンピング・ヘッドバットに、アニキも額から流血し出します。怒り狂ったバラバは、アニキに向かって飛び出しました。


「な、なに!?」

「喰らえ!スーパー・ノーザンライト・スープレックス!!!!!」


【ノーザンライト・スープレックス】

解説しよう!ノーザンライト・スープレックスとは、自分の頭を相手の腕の下に入れ、正面から相手の腕を抱え込むように腰に手を回し、そのまま後ろに投げる技である!フロント・スープレックスからの派生技とも言え、腕を固められたまま投げられるため受身が取れず、またフォールを返すことも困難になるのだ!


ズドーーーン!!

受け身が取れないアニキは、真っ逆さまにリングへ叩きつけられました。そしてバラバは、何度も何度もアニキの腹部や顔面に、蹴りを喰らわせ始めたのです。


ドガ!

「いくらアニキでも!」


ドガ!ドガ!

「オラを!オラを!」


ドガ!ドガ!ドガ!

「クズとは呼ばせねぇ!!!」


ドガ!!!

[う、うううう」


さすがのアニキも、今度ばかりは大巨漢バラバの蹴りに、痛み苦しんでいます。その姿を見たカヤパとピラトゥスは狂喜して声を上げました。


「ゲヘヘヘヘヘ~!ざまーみろ!ヨハネ!」

「ヨハネは愚かにも、自らの手で凶暴だったバラバを呼び覚ましたザマス!」


アニキと出会う前のバラバとは、その外見の醜さから多くの人に忌み嫌われ、国中では有名な凶暴で無法者だったのです。リングに仁王立ちするバラバの全身から、憎悪をたぎらせる闘気がわきあがっています。そしてバラバはリングに張り巡らされた有刺鉄線ロープを引きちぎり、自分の拳に巻きつけ、そしてなんと、そのままアニキを殴りだしたのです!


ドガ!!

「グッ!!」


有刺鉄線の刺で傷つけられていくアニキは、いたるところから血が噴き出していきます。


ドガ!!

「うぁ!!」


ドガ!!

「うぉ!!!」


リングはアニキの血の海となっていきます。そのバラバの残虐行為は、見る者全てを恐怖に陥れるような、非情でむごいやり方でした。アニキは殆どサンドバック状態で殴りつけられ、全身傷だらけで痛み付けれてしまい、ヘロデは青ざめ、ヘロディアやサロメに至っては、飛び散るアニキの血に気を失うしかありません。


「バラバ!!もうやめてくれ!!」


しかしバラバの耳には、何も聞こえません。


「もう誰にも!オラの事を!クズと呼ばせやしない!!!」


さらに残虐ファイトを続けるバラバは、有刺鉄線をアニキの全身に巻きつけて、リング外に燃えている炎にへアニキを投げ飛ばしたのです。


「うがぁあああああ!!!!!!」


有刺鉄線によって体の自由を奪われたアニキは、全身に纏わりつく炎から逃れることができず、苦しみもだえております。


「ゲヘヘヘヘ~!いいぞ!バラバ!そのままヨハネを焼き殺せ!」

「そうザマス!これでリベカの村が、焼き払われなくて済むザマスよ!」


リングの上から、怒りの形相で炎にもだえるアニキを睨めつけるバラバ。どんなに苦しんでも、アニキへ決して手を差し伸べようともしません。耐えきれなくなったヘロデは、アニキを救うために金網ドームにパンチを繰り出しました。


「アニキ!待ってろ!今助けるぜ!」

「無駄ザマス!ヘロデ!その金網ドームは古代メソポタミアより伝わる、ソドムとゴモラの呪いが掛ったものザマス!貴様ごときのパンチで破れる代物ではないザマス!」

「くっそぉおおお!卑怯だぞ!カヤパ!」

「げへへへへ~!黙って見ていろ、ヘロデ!貴様がこの勝負の邪魔をすれば、リベカの村だけではすまされないぞ!」


そのピラトゥスの言葉に反応するかのように、バラバはヘロデを睨みつけました。何も出来ないヘロデは、金網ドームの外で、ふがいない自分を呪うしかありません。そして有刺鉄線と炎に苦しみもだえるアニキ。カヤパはバラバを焚きつけます。


「バラバ!何を突っ立っているザマスか!?早くヨハネにとどめをさすザマス!」

「ゲヘヘヘヘ~!一気にヨハネの殺してしまえ!!!」


それに感化されるようにバラバは、リングのポールに有刺鉄線を巻きつけ、炎に苦しむアニキにめがけてそれを投げたのでした!


続く

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