第六十二話
「喰らえ!これが俺様ヨハネ流48のプロレス殺人技の一つ!」
「何だと!?」
アニキはすぐさまピラトゥスの両腕をしっかり掴みました。
「サンダーヴォルトニング・スーパー・ダブルアーム・スープレックス!!!」
まんまとピラトゥスを持ち上げ、綺麗な弧を描くようにダブルアーム・スープレックスを決めようとするアニキ。
「うりゃああああああ!」
「ぐおおおおおお!」
だが、その時!突如大巨漢の黒い影が飛び込んで、ピラトゥスをピンチから救い出しました!
「な、なに!?」
「ゲヘゲヘゲヘ~!そうは問屋が卸ろすか!!」
「俺様の必殺技を、邪魔した奴は誰だ?!」
その大巨漢の黒い影こそ、ベトエルとリベカの村を救う為に、ローマ兵士に自首したあのバラバだったのです!
「アニキ、すまねぇ。。。」
「バ、バラバ?!」
元々熱心党に加入していたアニキとバラバは、パンキッシュな思想で意気投合し、苦楽を共にした仲間でした。二人は共に肉体を鍛え上げ、共に技を競い合い、共に杯を交わし、兄弟ともいえる厚い信頼関係を築いており、何度もプロレスで力試しをした仲間です。
「バラバ、お前はどんな不正も許さない、けれど心やさしい奴だったじゃないか。それがどうしてこんな奴らの手先になったんだ?」
「アニキ、すまねぇ。オラ、それだけは言えねぇんだ」
バラバも頭を深く下げて、アニキの熱い視線から目を逸らします。だがアニキは、バラバを物悲しそうに眺めたと思うと、眉間にシワを寄せて叱責を始めました。
「バラバ!面を上げて答えろ!」
「アニキ、どうか分かってくれ。それだけは言えねぇんだ」
「それでも苦楽を共にした、仲間に対する態度か?!」
「。。。」
だがバラバは決して答えようとしません。するとアニキは態度を一変させ、プロレスの組み手の構えをしだし、指先をポキポキと鳴らし始めました。
「ほう?するとお前はどうやら、俺と一戦交えるってわけだな?」
「今のオラには、それしか残されている道が無いんだ」
バラバもまた太い腕をガバッと構え、アニキの組み手に対抗する姿勢をみせました。
「フッ、どうやら俺とお前との戦いも、今日ここエルサレム神殿で決着が付くわけだ」
「すまねぇ、アニキ。こうなっちまったのも、オラがあんまりにも学が無かったばっかりに。。。」
するとカヤパは二人の会話を邪魔するように叫び出しました。
「バラバよ!!パンキッシュと巷に煽てられたインキチ預言者ヨハネを、このエルサレム神殿で血祭りにあげるザマス!!!」
するとカヤパは側にあったレバーを、ガッシャンコっと下におろしました。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
突如、エルサレム神殿は模様替えを自動的に始め、天井から金網のドーム、二人のいる宴会場は上に盛り上がり、有刺鉄線のロープを張り巡らしたリングとなりました。さらにその隙に逃げたピラトゥスは、たいまつを手に持って、リングの周りに火を放ちます。
「ゲヘゲヘゲへ~!これこそローマ式グラディエーターの戦いを彷彿させるだろう!」
辺りは一気に炎がリングを多い囲みます。まさに、アニキ対バラバの『死闘!金網ドーム有刺鉄線ロープのファイヤー・デスマッチ in エルサレム宮殿!』の始まりです。
「ガッハッハッハッハ!喜べ!バラバ。まさに俺達にとっては、お誂えむきの晴れ舞台じゃねぇか!」
「アニキ。。。」
「どちらかが生きるか死ぬかの勝負!いいか?!バラバ!根性が捻くれた貴様を、全力を持って叩きのめしてやる!」
「オラだって!ユダヤを堕落させた連中に味方するようなアニキを、全身全霊でぶっ潰す!」
メラメラと燃え上がる炎に囲まれた、有刺鉄線にリングの上では、硬い絆で結ばれたアニキとバラバによる、デスマッチが始まろうとしていたのです!!
「行くぞーーー!アニキ!」
「望むところだ!バラバ!」
カーーーーーーン!
今、まさにゴングがなりました!
続く




