第五十五話
すっかり朝になって、小鳥もチュンチュンとなく頃。バラバはようやく目が覚めました。
「うう~ん。良く寝たー」
「スヤスヤ。。。」
「うん?」
バラバの横には、両腕を枕にスヤスヤ寝ているリベカがいました。
「およ?リベカ?」
「うーん。。。あ、バラバ、気が付いたのねぇ??」
「おめぇ、まさかおらの為に一晩中看病してくれたのか?
「うん!火傷が結構酷くてたいへんだったの」
「これっぽちの火傷で醜くなってもさ、そんな心配することねぇぞ」
「でも~」
「それに、おらの顔は元々醜いからな。ガッハッハッハッハ」
するとリベカは突然口をへの字にして、バラバを睨んで怒りだしました。
「どうして!?」
「え?なんでだ?」
「どうして自分の事を、そんな風に言うの?」
「リベカ。。。」
「バラバは全然醜くないもん!バラバの心は誰よりも優しいし、とっても素敵な笑顔をしてくれるもん」
するとリベカはポロポロと大粒の涙を流し始めます。それを見たバラバは、突然泣き出したリベカにオロオロするばかり。
「リベカ~、ごめんよ。おらが悪かったから、そんなに泣かないでくれ」
「グスン、うわーん」
するとリベカはバラバに駆け込んで、バラバに抱きつきました。
「わーん、違うの~。グスン、今は嬉しいから泣いてるの、グスン」
「ど、どうしてだ?」
「だって、グスン。昨日の夜は、ずっとバラバは目が覚めなかったから、グスン」
「そっかそっか、すまなかったな~。リベカに心配かけちゃって」
「いいの、グスン。もう平気だもん」
するとリベカはパーっと明るく笑い出し、そんなリベカの姿を、バラバも幸せそうに眺めています。そんな時でした。
グ~~~~~~~~~!
バラバのお腹から、大きな音が鳴りました。
「あはははは!バラバはお腹が空いたんでしょう?」
「てへへへ、悪りぃな。おら、すぐにお腹が空いちゃって」
「あたし、バラバの為に何か持ってくるね!」
「本当か?嬉しいな~」
するとリベカはバラバの頬に、チュっと軽くキスをします。驚くバラバに対し、赤面しているリベカ。じっとバラバを見ながら後ずさりし、恥ずかしそうに外へ出てってしまいました。
「たはははは、参ったな~」
さてその頃、放火の犯人がユダである目星を付けた村長は、昼まで寝腐ってるユダを叩き起こしてました。
「こりゃ!!!起きろインチキ霊媒師!!」
「フガ!?」
だらしなくよだれを垂れ流しているユダは、村長に起こされ、ここがどこかも分かっていない様子でした。
「イテテテテ。。。酒飲んだ次の日は、俺は決まって貧血なんだからよ~」
「ばかもん、それは二日酔いじゃ!」
「なーんだ、二日酔いか。それならもう少し寝るか~」
「寝るなー!!貴様に問い質したい事がある!」
「なんだよ~、うっせーな」
「昨夜ベトエルの畑に何をした?」
「しらねぇーよ、俺は行ってないし~」
ユダは頭をポリポリ掻きながら、しらばっくれてます。
「嘘をこけ!この銀の杯が証拠じゃ。貴様、ベトエルの畑を燃やしたじゃろう?」
「俺はそんなずっとここにいたぜ」
「嘘こけ!」
「はぁ?俺を嘘つき呼ばわりするのかよ。バラバがやったんだろう」
村長はニヤっと笑みを浮かべます。
「行ってないくせに、なんでバラバがやったと分かるんだ!」
「ギク!」
「それにこの銀の杯は、貴様がワシらに要求したものじゃ!」
「ギクギク!」
「それが放火現場に落ちていたのが、貴様が昨夜畑にいた何よりの証拠じゃろうが、このぼけーーーーー!!!」
「ギクギクギク!!」
すると村人達が憤慨した様子で集まってきました。彼らもまた、ユダに対して鋭い眼光を浴びせています。するとユダは開き直って叫び出したのです。
「お前達だって、あわよくばこの俺様から、ローマ金硬貨500枚を奪おうとしたじゃないか!」
「な、なんじゃと!?」
「もし俺様に勝って手に入れたとしたら、それをどう使おうとお前達の勝手だろう?」
「それがなんじゃというだ!」
「だったら俺様に負けたくせに、一週間分の食料を手に入れた俺が、どう食べようが、どう捨てようが、どう燃やそうが、俺の勝手だろうが!」
「こ、このクソガキ!言わせておけばーーーー!」
「いいか?そういうのはな、賭けに勝って対等のレベルになってから文句付けやがれ!」
鼻息も荒く、腕を巻くって村人をかき分けるユダ。確かにやりすぎた部分はあったにせよ、賭けに乗じた村人にも分が悪いのは確かです。ユダの理屈はもっともでありました。人影に隠れてからのユダは、冷や汗をかきながら深呼吸してます。
「ふぅ~焦った。あの勢いじゃ、俺がローマ金硬貨なんて、始めから持ってなかったてばれたら、殺されかねねぇーや」
そう言って自分の懐を探ると、ローマ金硬貨と思わせた石ころが入った皮袋がありませんでした。
「ゲ!ヤベ!」
辺りを探しますが、全く見つかりません。恐る恐る、先ほど寝ていた場所を覗くと、既に人も疎らに散っていたので、コソコソ近づいて探し始めましたが、やはり見つかりません。
「マジかよ!こりゃーやべーぜ!やべーぜ!やべーぜ!」
さて、ユダがオタオタしている間、リベカはバラバの為に農場で食事を用意しておりました。
「ランランラーン♪ランランラーン♪ラーラーラッラン♪ランランラーン♪」
アルプスの少女ハイジを唄い出すほど上機嫌なリベカ。すると、つま先で何かを蹴ってしまいました。
コロコロっ。
「うん?何かしら?」
リベカがひょいっと持ち上げたそれは、ユダがインチキで村人にローマ金硬貨と思わせた、石ころばっかりつめた皮袋でした。
続く




