第五話
『愛の伝道師(スーパー•チェリーボーイ)』こと大工のあんちゃんは、今日も漁師四人、元引きこもり二人、そしてヤクザ帝国の下っ端だった一人を連れ、今日も元気に活動をしています。
「フィリポ、やっぱり赤塚不二夫先生の代表作は『天才バカボン』だよな~」
「いや、リーダー。やっぱり『おそ松くん』でしょう?」
「お前は若い。いいか?あのジョン・レノンにシェーのポーズをさせたイヤミは、バカボンがデビューだったんだぜ?」
「違うよリーダー。イヤミのデビューは『おそ松くん』が先だって。ほら」
「うげ!本当だ。アニメと勘違いしてたわ」
そんなのどかな大工のあんちゃんは、疑い深いトマスという元ヤンとばったり街で出会います。
「あれ?あんた、ナザレ三中をシメてた元ヤンか?」
「だれだ、てめぇ?」
「俺はナザレ四中出身のトマスだ」
「あ、やべえ。ひ、人違いじゃないっすか~?ぼ、僕は虫も殺さない愛の伝道師ですよ~」
「いや、見覚えがある。確かあんた、肩がぶつかったうちの中学の先輩を、ボコボコに叩きのめしたよな?」
「ゲッ!どこでその話を?!」
「しかも、そのヤンキーのモンスターペアレンツを、見事屁理屈こいて撃退したっけ」
「ガッデム!」
いまさらながら、大工のあんちゃんはバリバリの元ヤンキーでした。イメージダウンに困ったあんちゃんは、トマスの肩を馴れ馴れしく抱き、小声で口止めをかまし始めました。
「なぁ~頼むよ、トマス。ヤンキーはヤングの時に既に卒業してっから、その話は内緒で。お前にブログ(福音書)とかで暴露されると後で厄介だからよ~」
「しょうがねぇな。それなら口止め料として、結婚式の司会やんねぇか?」
「結婚式の司会?!」
実はトマス、中学卒業してから後輩のタダイと一緒に、立派に社会人として結婚式場で働いていたのです。
「司会の一人がバックレやがってよ、困ってるんだ」
「それは大変だな。何とかしてやりたいけど、俺あがり症だし。あ、そうだ!アニキ・ザ・ヨセフ呼んでやろうか?」
「あのパンキッシュか?!ダメだダメだ。あいつはすぐ中指立てて、お客さんに泥水ぶっかけてくるから、仕事になんねぇよ」
「た、確かに。。。」
「その点、あんたならヤンキー卒業したそうだし、それに今は、虫も殺さない愛の電動コケシなんだろ?」
「ダーーー!トマス!愛の伝道師だ!ファンの中には女の子もいるんだから、言葉には一応気をつけろって」
「すまね。とにかく、ここの『カナの結婚式場』に後で来てくれよ!バックレたらバラすかんな」
「分かったよ~」
大工のあんちゃんと握手を交わしたトマスは、準備があると言って先に行ってしまいました。そんなあんちゃんに、ペテロはいつものように心配します。
「おい、大工。大丈夫なんか?」
「うーん、どうしよう?ペテロっち」
「あーあ、これだから……」
「そうは言っても、あのトマスは困ってたしさ」
「時には断れって」
困ったあんちゃんは、すぐに閃きました。
「フィリポ!今すぐ本屋に行って、『三分であなたも結婚式司会』みたいな本を漁るぞ!」
「ええ?!今から?僕、これからレンタルDVD返しにいかないと」
「そんなの明日にすればいいだろうが」
「ダメだよ~。今日返さないと、延長料金取られちゃうもん」
「それは大変だ!ヨシ!付き合ってやるよ」
「ありがとう!」
困っている人を見ると、すっかり重要な事を忘れる大工のあんちゃん。こうしてカナの結婚式で、司会デビュー果たすのでした。
続く