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第四十九話

アニキの掲げた言葉は、ヘロディアの心にも深く刻まれました。


「サロメちゃん。お母さん悔しいけど、やっぱりヨハネの言うとおりだわ」

「(FACEBOOK近況)お母様。私もアンチネガティブに、開眼された想いデスわ!」


憧れであるアニキの言葉に、サロメちゃんも違う意味で心打たれてました。


「サロメちゃん、お母様と一緒にピラトゥスを暗殺してやりましょう!」

「(FACEBOOK近況)お母様、そのアイディアは、スーパーダークに賛成ですわ!」

「私達女性を舐めると、どんな痛い目に合うのか、ピラトゥスに分からせてやりましょう!」

「(FACEBOOK近況)ええ!お母様!」


ヘロディアとサロメちゃんが考えたピラトゥス暗殺計画はこうだった。


①まずピラトゥスの機嫌を取りながら謝る。

②酒と食べ物で御持て成し

③次にサロメちゃんの七色のベールを用いた舞踊を披露

④油断したところ、喉にナイフで切りつける


「オッホッホッホッホ!完璧だわ!」

「(FACEBOOK近況)どうせなら、私の友達であるソロモンの72人の悪魔も呼びましょうか?」


サロメちゃんも、両腕をフンガーとさせて気合が入りまくり。


「い、いや、サロメちゃん。心遣いはありがとう。でも、悪魔召喚したら、暗殺じゃ無くなっちゃうでしょう?」

「(FACEBOOK近況)あ、そうですね。ネガティブにばれてしまいますね」

「そうよ、オホホホホ。そのお友達は、いざって言う時のために取っておきなさい」

「(FACEBOOK近況)はーーーい」


さて、アニキの言葉に、自責の念に苛まれているパウロは、コソコソとヘロデのお城を離れようとしていました。


「どこへ行くんだ?パウロよ」

「ヨ、ヨハネ!」


アニキはニンマリとした表情を浮かべながら、両腕を組んで立ってました。


「カヤパの所に泣きつくんだろう?」

「いや、違う!」

「なんだって?」

「俺だって人としての誇りはある!自分を慕う奴らを、このまま見殺しにされてたまるか!」

「ほう。では、お前は一体何をするつもりだ?」


歯ぎしりをさせながらも、パウロはアニキに振り向き、真剣な眼差しを見せます。


「大工の息子がこの国にとって本当の救世主なのかどうか、この俺が自ら対峙して見極めてやる!」


パウロの表情に今まで浮かんでいた悪意は消え、善意に満ち溢れた希望の輝きを放ってました。その恍惚とした表情を見たアニキは、嬉しそうにパウロへ応えます。


「どうやら、ようやく重い腰を上げる時が来たようじゃないか。なぁ?パウロ」

「貴様に言われるまでもなく、その精神は一度足りとも失ってはいない。ただ。叩く相手が貴様や大工ではなく、あの偉そうなカヤパに変わっただけだ!」

「ガッハッハッハッハッハ!」


アニキはとても嬉しくなって笑い出し、パウロに握手を求めます。しかし、パウロはアニキの手を払い除けました。


「勘違いするなよな!ヨハネ。貴様らなんかと、仲良しグループを作るつもりは無い!」

「そう片意地張るなって」

「違う、片意地なんかじゃない。俺はパンク・ロックが嫌いなだけなんだ」


すると、パウロは口元をクイっと緩ませ微笑みます。どうやらアニキの意思だけは、しっかりとパウロぬ受け継がれたようです。


さて、作者もすっかり忘れそうになってましたが、あんちゃん一行を飛び出し、パウロにすっかり騙されたユダは、今頃何をしているかというと。。。


「カペナウム村か〜。一丁、がっぽりここでも稼ぐか?フッフッフッフ」


カペナウム村はローマ軍の駐屯地として栄え、多くの旅人が訪れておりました。メイン通りにはヤシの木が至る所に立ち並ぶ繁華街があり、ローマ帝国の収税所もあることで、弟子のマタイも、以前はここで働いておりました。


「フッフッフッフ~ン。迷える仔羊どもよ!貴様らの救世主ユダ様の登場だ〜!」


そんな賑わいを見せる村へ、あんちゃんのヅラを被ったユダが、意気揚々と歩いてきたのです。村人達は、救世主と聞き、ユダの格好を見るなり、一斉に近寄ってきました。


「あ、あんたはまさか、今巷を騒がせている『愛の伝道師』か!?」

「フフフフ、その通りだ、田舎者達め!」

「死者ラザロを蘇らせというのも、あんたの奇跡かい?!」

「この俺様以外に、誰ができるというんだ?」

「うおおおお!やっぱり、あの有名なメシア様だ!!!」


ユダは誇らしげに鼻をすすり、胸を張って大威張りです。村人の女性達はキャーキャー歓声を上げ、お年寄りはみんな我先にと、奇跡で自分の身体を治せと懇願し始めました。


「なんだなんだ?その態度は?」

「え?」


ユダの表情は、近寄ってきた村人へ嫌悪感を露わにしています。


「それがこの国を救うメシア様への態度か?」

「あわわわ、いや。。。」


一気に場の雰囲気は、険悪なムードになります。


「何も捧げ物も出さず、よく救世主へ治療の頼み事ができるもんだ」

「た、確かにそうじゃった。。。早速、捧げ物の食糧をお持ちしましょう」


村人達はユダの指摘に対し、ごもっともであると頷き、野菜や果物やワインを差し出し始めました。しかし、ユダは溜息をついてそれらを一蹴します。


「あのねぇ~、そういう在り来たりな野菜とか果物の捧げものって、俺様食べ飽きちゃったのよ。もっとカルタゴ風味の豚肉とか、ローマ風フォアグラとか、ナポリ風エスカルゴとか無いのかよ?」

「。。。」


なんと、大工のあんちゃんの名声を利用したユダは、傲慢なクズと化していたのでした。


続く


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