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第三十四話

すっかりガリラヤ湖でのバカンスを楽しんだ大工のあんちゃん一行。

彼らは近くのアル・アカバ村で、久々にライブを行う事になりました。心躍らせるあんちゃんはワクワクしてて、フィリポと昭和マンガ談義に花を咲かせています。


「いやー!フィリポ~。やっぱり、藤子不二雄Ⓐ先生の代表作といえば、『忍者ハットリくん』だよな~?」

「いや、リーダー。やっぱり『怪物くん』でしょう?」

「お前は若い。いいか?『忍者ハットリくん』はな、あのラーメン大好き小池さんが、ケン一氏の担任で出てくるんだぞ!」

「リーダー。それなら、『怪物くん』にだって小池さんは出てくるよ~。なんと言っても、両親を亡くしたヒロシが姉の歌子と一緒に、アパートに住んでいるのがいいんじゃない」

「いやー、フィリポ。やっぱりちくわ大好き獅子丸の可愛さったら、そりゃもうたまらねぇよ!」

「あ、そう言えば獅子丸の声優さん、リーダーの大好きなアニメ『超力ロボ ガラット』のジャンブーもやってるよ」

「えええ!!マジで!?懐かしいな~!エンディングの『不思議なトワイライト』は名曲だぜ~!『気張りポーズ!みなぎる?!』」

「僕はパティーグがいいな~『ほとばしりますワ!』」

「おおお!カミーグもなかなか良いぜ!『いきりたつ?!』」


それを横で聞いているディープでコアな漁師兄弟ヨハネとヤコブも感化されます。


「ヤコブ、80年代中期から後期までのサンライズのロボットアニメ史の中で、『超力ロボ ガラット』はやっぱり異彩を放っていたよな?」

「そうだね、ヨハネ。今考えると、ビックリな声優が新人として参加しているし、『銀河漂流バイファム』のスタッフが、リアルロボット路線からギャグに転換をしたというのがみそだよね」

「しかも、ナレーターはあのキートン山田で、後に大ヒットする『ちびまる子ちゃん』の礎を作ったといっても過言ではないよ」

「何気に世界観の設定も、当時の米ソの冷戦状態における日本の立場を匂わせていて、兵器を一切作ってはいけないという法律の元、ガラット達が無償のヒーロとして戦うと言うところに、カタルシスがあるんだよな」


ペテロとアンデレは、再びこの流れに陥った一行に悩んでます。


「なんというか、ペテロ兄ちゃん。この流れ、最近はすっかり無くなってたと思ってたんだけど、だんだんワンパターン化してない?」

「そうだな、アンデレ。大体、『忍者ハットリくん』とか『怪物くん』とかの話じゃなかったのかよ」


さて、ようやく一行はアル・アカバ村に着きます。意気揚々と満面の笑みでその村に入るあんちゃん。しかし、その姿を見かけた村人達は、突然ヒソヒソ話を始めます。そこには陰気臭い雰囲気が漂っていました。


「な、なんだ?」


どうもいつもとは様子が違います。しかも村人達はみんな女性ばかり。彼女達の鋭い眼光が、大工のあんちゃんへ容赦なくぶつけられています。


「おい、大工。お前、また変な事を口走ったんじゃねぇか?」

「そんなことするわけねぇだろ、ペテロ。大体、ここの村は初めてじゃないか」


コツーン!

あんちゃんの足元に小石が転がってきました。投げられた方向を見ると、腰の曲がった婆さんがこちらを睨んでいるのです。


「このインチキメシアめ!」

「はぁ?俺はロックで愛の伝道師だって。インチキ飯屋なんかじゃねぇって」

「食べ物屋の話をしてるんじゃないわい!」

「え?だって、今飯屋って」

「腰を治すって言っておきながら、全然治らないでねぇーか!」

「ええ!?ちょ、ちょっと一体、おばあさん、何の事よ?俺はここのアル・アカバ村は初めてなんですって」


すると、周りにいた村人達も突然叫び出します。


「このインチキメシア!あたしの腕も、全然治らなかったじゃないか!」

「そうだそうだ!何でも治すって言って、先に金をぼったくりやがって!」

「あたいたちから奪った金を返せ!今すぐ返せ!」


あんちゃんや弟子達は困惑しています。最近始めたとはいえ、『愛のカイロプラクティカー』として、いくら治療しても治療代を受け取った事は、一度たりとも無かったからです。そんな様子を見ていたマグダラのマリヤちゃんは、プンプンして村人達へ怒りだします。


「ちょっと!さっきから聞いていれば好き勝手な事ばっかり言って!大体、この人はここへ初めて来たのよ!それなのに、なんであんた達から治療代が取れるのよ!?」

「いいや、あたいらは、そのインチキな奴の顔を忘れはしないよ!」

「インチキ。。。(あんちゃんの顔をジッと見る)」

「な、何だよ?マリヤ」

「た、確かにこの人はインチキ臭いところもあるけど、でも初めてここに来たのは間違いないの」

「何を言ってるんだい!長髪で髭面、白いトゥニカ、その青いトーガと同じ色の瞳が!なによりの証拠よ!」

「間違いないわ!そうよそうよ!」


確かに大工のあんちゃんの格好は、村人の女性が言う通りでした。一つの部分を除いて。しかしマリヤちゃんはすぐに気がつきます。


「ちょっと、待って。今、青い瞳って言ったわね?」

「そうよ」

「この人のどこが青い瞳よ?」


村人の女性たちが、一斉に集まって大工のあんちゃんの瞳の色を確認します。しかし、あんちゃんお瞳の色は綺麗なブラウンでした。


「あれれれ?ブラウンじゃない」

「ほらごらんなさい。青じゃないでしょ?」

「おっかしーわね。確かに青い瞳だったのよ」

「どこが青色なの?」

「ひょっとして、これっていわゆるカラコンじゃないの?」

「このおねしょったれが、そんなおされなもの持っていると思うわけ?」


すると村人達はあんちゃんの瞳の中に手を入れてきました。しかし、カラコンなわけがありません。


「いててててて!ちょ、ちょっと!お姉さん?それはーーー!僕のーーーー!本当のーーーー!目玉の親父---!ですって!」


すると村人達はお互いにヒソヒソ話しだし、勘違いだったのでは?と思い始めます。それを見ていたマリヤちゃんは、両手を腰に置いて話しだします。


「あんたち、誤解していたんだろう?だったら、ちゃんとこの人に謝んなよ」


ヒソヒソヒソ


「いい加減にしなよ、あんたたち!そんな影で話したってねぇ、なんの解決にもならないんだよ!」


シーン。しかし彼女達は躊躇したりモジモジしたりするだけで、誰一人あんちゃんに謝ろうとしません。


「全くつるんでる女って、どうして主体性が無いのかしら?『間違えたら謝る』!これ鉄則でしょ?」

「そうじゃったなぁ、わしがあんたに教えた、一番大切な事じゃったな?マリヤ」

「え?」


声のする方をマリヤちゃんが向くと、そこにはヨロヨロと杖をつきながら、村長と思える老婆が笑顔で立っていました。


「ハガルおばあちゃん!!!」


マリヤはハガルおばあちゃんに駆け寄って、思いっきり抱きつきました。


続く

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