第二十三話
ここはエルサレムにある大手レコードレーベル会社『サドカイ』。二本のチョビひげをピーンと伸ばしたカヤパ大社長は青筋立てて、『ファリサイ』レーベルのパウロを怒鳴りつけてました。
「キィ~!パウロ!あんたは何やってるザマスか!?」
「も、申し訳ございません、カヤパ大社長」
「このままではあの大工のバカが、あたしのアイドルビジネスを脅かす存在になるザマス!」
「し、しかし、奴の人気はパンキッシュ野郎を超えて、今や飛ぶ鳥を落とす勢いっす」
「このバカ者!そんな報告なんか、聞きたくないザマス!」
「す、すみません。せめて大工のバカがパンキッシュ野郎と喧嘩でもしてくれれば。。。」
パウロはシュンとしてして、ちっちゃくなって平謝り。青筋立ててたカヤパ社長は、パウロの言葉に引っ掛かります。
「パウロ?今、なんて言ったザマスか?」
「はい?ああ、二人が喧嘩でもしてくれれば」
「喧嘩。。。」
ピーンと伸ばしたチョビひげをニギニギしているカヤパ大社長は、しばらく考え込んだ後に何かを思いつきました。
「オーホホホホホホホ!こうなったら、ヘロデ大王の息子を唆して、パンクと大工もろともぶっ潰すザマス!」
「あ、あのグータラなヘロデ大王の息子をですか!?」
「そうザマス!パウロ、ちょっと耳を貸すザマス」
カヤパ大社長の名案を聞いたパウロは、強張ってた表情が徐々に野心的へ変わりました。
「カヤパ大社長、そいつは名案ですねぇ!」
「パウロ、直ぐにゴーでザマス!」
「了解!早速パンキッシュを罠に陥れます!」
パウロはスタコラサッサっと意気揚々に出ていきました。勝ち誇ったカヤパ大社長は、さらにチョビひげをニギニギして高笑い。
「オーホホホホホホホ!待ってらっしゃい!パンクに大工!アイドルビジネスの恐ろしさを見せつけてやるザマス!」
さて、マグダラ村で漁師達の心を鷲掴みした大工のあんちゃん。その人気はますますウナギ登り。そしてまさかの幼馴染マリヤちゃんとの再会。結局マリヤちゃんはキャバ嬢を辞め、あんちゃん達に同行(自分では同伴のつもりらしい)することになりました。
「ひえー。まさか最近流行りの愛の伝道師が、あの幼馴染のおねしょたれのあんただったとわ」
「こら!マリヤ。おねしょったれって言うな!もうやってねぇんだからよ。モンチッチ!」
「ちょっと!あんただってモンチッチって言わないでよ!あたしだって、もう大人の女性なんですからね!プン」
「お、大人の女性!?ギャハハハハハハハハハハ!あの木登り大好きのマリヤが、大人女性だってよ~!」
突然腹を抱えて笑い転げた大工のあんちゃんは、鼻をつまんでマリヤちゃんを小馬鹿にし始めます。
「マリヤ、お前はまだまだ乳臭いじゃねぇ~か。ギャハハハハハ」
「な、なんですって!?だったら、そんな乳臭いあたしに欲情した馬鹿は、どこのどいつよ!?」
「ゲェ!」
「しっかもあんなに大漁にゴム忍ばせておいて!」
「ゲェ!ゲェ!」
「大体、どっかのAV女優に憧れているあんただって、とってもチェリー臭いじゃない!」
「な、なんだと!?そ、そんなのお前に、分かるわけねぇーだろ!?」
「いーや、絶対にそうよ!」
「くっそ!大体、何故俺がチェリー臭いって分かった!?」
大工のあんちゃん、またもや墓穴を掘りました。
「ま、まさか?あんたって、まだチェリーだったの!?」
「ち、ちげーよ!」
「アハハハハハ!チェリーだったんだ!アハハハハ!」
「このーーーモンチッチ!ちげーって言ってんだろ!?」
「それでぇ~。あんなに大漁にゴム買ってきたんだ!アハハハハ!」
「このモンチッチめーーーー!いい加減にだまらねぇか!」
怒りと恥ずかしさで真っ赤になりながら、マリヤちゃんを追いかけるあんちゃん。しかし、昔からすばしっこいマリヤちゃんは、ひょいひょいっとあんちゃんの攻撃をかわし続けました。横でそれらの様子を呆れながら見ていたペテロとマタイ。
「あの大工は本当に学習能力がねぇ~な、マタイ」
「全くだ、ペテロ。先生は俺と出会った時と、同じパターンで自分から暴露しちゃってるから」
しかしあんちゃんとの漫画談義ができなくなったフィリポは、ちょっぴり寂しそうにバルトロマイへ愚痴ツイートをこぼしてます。
「(呟き)まいったな~、バルトロマイ。リーダの幼馴染のマリヤちゃんがついてきてから、定番の漫画談義ができなくなっちゃったよ」
「(呟き)そうだな、フィリポ。ヨハネとヤコブの二人と話したらどう?なう」
「(呟き)ダメダメ、あいつら話しがコアすぎて、全然ついていけないよ」
「(呟き)たしかにあいつらはディープすぎるわ、なう」
さて、ジェイコブは熱心にある本を読んでいます。あんまりにもジェイコブが静かなので、ユダが冷やかしにやってきました。
「Yo!ジェイコブ、ワッズアップ?何読んでるんだYo?」
「よう、ユダ。これは『マーシーの法則』ってな、すんげーおもしろいんだよ」
「どれどれ?『必ずマンガではオナラの色は黄色で表現されるが、だからといって違う色で表現するのは難しい』なんじゃこりゃ?」
「可能性と確率を利用して、パーソナルブランドとサクセスを確立させる自己啓発本なんだよ~」
「なんかファッキン・インチキくさい本だな~」
「そんな事ねぇぜ?これで成功した奴は金持ちになったんだから」
「まじかよ!?それならこないだ買った『週刊中年ジャンプ』の最新号と交換しねェか?」
「うーーーん、よし乗った!」
こうしてユダは『マーシーの法則』を読むことになっていきます。しかし、これが後の大変な事を引き起こすとは、誰も夢にも思っておりませんでした。
「おーーーい!みんな大変だ!大変だ!!!」
遠くの方から疑い深いトマスが走ってきました。マリヤちゃんと追いかけっこしていたあんちゃんは、一時中断して焦ったトマスの話を聞きます。
「アニキ・ザ・ヨハネが逮捕された!!!」
「な、なんだって!?」
続く




