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第二十二話

「愛の伝道師だぁ!?」

「胸いっぱいの愛を武器に活動中だぜベイベー!」


大工のあんちゃんはバッっと両手を広げ、トップ嬢マリコを庇います。すると漁師達は、最近大人気の大工のあんちゃんに気が付きました


「こ、こいつ!最近流行りの元ニートで大工でっせ!」

「なに?!あの調子乗った馬鹿か!?」


再び真剣な目つきのあんちゃんは、漁師達に問いかけます。


「なぜ、早川ツバキちゃん似の、この女性を虐める?」

「当然の報いだからさ!」

「報い?」

「ああそうだ。この女は俺達真面目な漁師に嘘をつき、金を巻き上げやがった最低のアバズレなんだ!」

「アバズレ。。。」

「愛の電動コケシだかなんだかしらねぇがな、邪魔しないでもらおうか?!」


そうだ!そうだ!民衆は今すぐトップ嬢マリコに石を投げさせろと騒ぎ喚きます。すると大工のあんちゃんは、地面から一つの石ころを持ち出して、騒ぐ民衆へ問いかけました。


「あんた達の言い分は分かった。だったら、この女に欲情しなかった奴から、この石を投げればいい」

「!?」


漁師達は戸惑いました。駆けつけた弟子達も、そんなあんちゃんのシリアスな表情に驚いています。さっきまで騒いでいた民衆も困惑しています。しかし民衆に隠れたパウロは、投げちまえと漁師達を焚きつけます。そそのかされた漁師たちは、あんちゃんの持っている石を取り上げました。


「お、俺達は真面目で何も悪い事はしてねぇ!こんな女がいけないんだ!」


奪ったその石を、キャバ嬢マリコに投げつけようとした時、大工のあんちゃんは一喝シャウトしました。


「うるせぇーーーーーーーーー!!!」

「!?」

「そんな真面目なお前らだって、その胸に大漁のコンドームを隠してるんだろうがぁ!!」」

「うっ!」


ズバリ指摘された漁師達は罰が悪そうにしています。すかさずあんちゃんは漁師達の胸元に手を入れて、一人一人から近藤さんを大漁に捕獲しました。


「な、なぜそれを!?」

「お前達のモンモンした顔をみれば、一発で分かるぜ。あわよくば、この早川ツバキちゃん似のキャバ嬢をアフターに誘い、そしてあわよくばお持ち帰りし、更にあわよくばニャンニャンしてやろうと、そんな魂胆があったわけだよなぁ!?」

「く、くそおお!」

「自分の思い通りに行かないからって逆恨みして。それが真面目な漁師のすることかよ!?」


両手を腰において偉そうに説教している大工のあんちゃん。民衆も振り上げた拳は、一人、また一人と降ろし始めます。歯ぎしりをする漁師たち。


「だがな、電動コケシ!だからと言って、この女が許されるわけじゃねぇぞ!」

「フッ、それがどうした?」

「騙された俺達の気持はどうなるんだ!?」

「ったく~!頭の堅い奴らどもめ!」


するとあんちゃんは地面に一本線を引きました。それはまさに簡易的なステージ。そして駆けつけた弟子の方を振り向きます。


「ジェイコブ!ギター!」

「はいよ、リーダー」


ガシ!


「マタイ!マイク!」

「了解です、先生!」


パシ!


ジャジャーーーン!ジャジャジャジャーーン!タラララ~ン♪ラーラーラーラ~♪


『男太郎丸』(※兄弟舟のパクリの疑惑有)

作詞/大工のあんちゃん 作曲/愛の伝道師


チャララン♪チャラララチャッチャ~♪チャララン♪チャラララチャッチャ~♪


"男太郎丸は 親父のかたみ~♪"

"妻の谷間を 尻目に見て~♪"

"荒波狂う 湖ぬける~♪"


コブシを回したあんちゃんの演歌に、民衆は度肝を抜かれました。心にしみるような枯れた唄声が、漁師達の熱いハートをキャッチしたのです。


"男の中の男なら 寡黙に舟を漕げ~♪"

"男の中の男なら 女に手を上げるな~♪"


「おおお!そうだ、俺達は男の中の男!」

「寡黙に舟を漕げ~♪女に手を上げるな~♪」


"男太郎丸~♪ 男太郎丸~♪"

"漁場について 酒飲むときにゃ~♪"

"熱く肩を叩き 笑って語ろうぜ~♪"


「なんか知らねぇけど、なんていい曲なんだ!」

「なんか、うちのカカア(妻)を想いだして泣けちまってきたぜ」


気がつくと周りにいた漁師のみんな肩を抱きながら、感動して涙を流して唄ってます。民衆に隠れていたパウロは行き場を無くし、唾を吐いて、その場を走り去って行きました。弟子達も気の荒い漁師達の心を鷲掴みにしたあんちゃんに脱帽です。そしてみごと!演歌『男太郎丸』を六番(そんなにあったの?!)まで唄い切りました。


「うおおおおおお!すげぇーぞ!大工!」

「あんたは男の中の男だ!」


拍手喝采、大盛況!いつの間にかに漁師たちは自分の舟の大漁旗を振り上げ、さらに要らなくなって捨てられたコンドームが、まさに花吹雪のように辺りを舞って、あんちゃんを盛り上げてくれました。漁師たちも号泣しながら、演歌歌手のように振る舞うあんちゃんと握手してます。


「愛の伝道師、俺達が悪かった。すまねぇ」

「兄弟!あんたを今日だと呼ばせてくれ!」

「いやーしびれる歌声だったぜ!」

「あんたは最高にいい男だな~」

「どうだい?うちの『次郎丸』で働かねぇか?」

「いやいや、うちの『ふんどし丸』で働いてもらうんだぜ!」


するとあんちゃんは満面の笑みを浮かべ、漁師達を抱きしめながら丁重にお断りを入れます。


「"漁師の皆さんが日夜荒波に向かっているように~、あっしも世間という大海原の荒波を乗り越えてぇ~、辿りつかなければいけねぇ~目的がぁ~あるんでぇ~い!"」


パチパチパチ!パチパチパチ!パチパチパチ!パチパチパチ!パチパチパチ!パチパチパチ!


「おお兄弟!さすが俺達とは器が違うぜぇ!」

「お前達が今迄釣り上げてきた大漁な愛に比べたら、まだまだ俺なんてちっぽけなもんさ」

「くぅーーー謙虚なところが泣かせるねぇ!応援しているぜ!兄弟!」


浪曲なみに、てやんでぃ口調をかましたあんちゃんは、漁師達のアンコールにお応えして、更にもう二番も唄い続けます。もう、ここまで来ると、地方営業中の新人演歌歌手です。そして曲が終わると、あんちゃんは優しい眼差しで漁師達を諭します。


「さぁさぁ、みんな。大切な奥さん達を~、夜遅くまで待たせたらいけないぜぇ~よ」

「おお!そうだな!うちのカカアがまってやがった!」

「カカアが不機嫌だと、明日の漁にも支障が出らぁ」


こうして漁師達の心をすっかり鷲掴みしたあんちゃん。彼らはあんちゃんに感謝して、妻の元へ帰ってしまいました。弟子達は一連のミラクルに号泣。ただ一人、漁師達から救われたトップ嬢のマリコだけが、キョトンとして見ています。すると、あんちゃんは優しそうな眼差しで、トップ嬢のマリコへ手を伸ばしました。


「早川ツバキちゃん似のマリコさん」

「は、はい」

「貴女は美しすぎる。貴女は美しすぎるが故に、欲情して勘違する男がいっぱい現れてしまうだろう」

「は、はぁ。。。」

「だから、もう、アフターなんてもう止めたほうがいい」


弟子達もうんうん頷いて、マリコを悟らせるあんちゃんに感動してます。しかしマリコはジッとあんちゃんの顔を眺めていました。どっかで見たような顔。。。そして調子に乗って格好つけて、手を差し伸べたあんちゃん。


「さぁ、僕と立ち上がるんだ!マリコさん」


すると調子に乗って格好つけたあんちゃんの胸元から、ドバドバっと大漁のコンドームがおっこってきました。


「ひや!何これぇ!!?」

「え!?」

「キャーーーー!変態!!!」


パチン!!


マリコにひっぱたかれたあんちゃん。弟子達も、いつものパターンで怒り心頭に発してます。


「んだよ!大工。さっきは偉そうなこと言って、自分が一番欲情してたんじゃねぇか!」

「い、いや、違うんだ、お前ら!これには海よりも深い理由が!」

「何が海よりも深い理由だ!この野郎!海よりも深い罪だ!」

「ま、待て、話せば分かるぜ!あああ!ってだめ?」


結局、弟子達に石を投げられボッコボコにされました。傷だらけのあんちゃんの顔を、心配そうに見つめるマリコ。


「だ、大丈夫ですか?」

「へへへ、こ、これぐらい日常茶飯事ですよ」


胸を張って鼻をこするあんちゃん。その時、マリコは何かを思い出したように大声で叫びました。


「あああああああああああああああああ!」

「うわ、びっくりした!」

「あ、あんたは!大工のおねしょったれだ!」


そうです。早川ツバキちゃん似のトップキャバ嬢マリコは、なんと、幼馴染のモンチッチ・マリヤちゃんだったのでした。


続く

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