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第十八話

大工のあんちゃんと弟子達は、せんべいを食べながら、楽しみにしていた番組の放送を待っていました。


"今秋発売予定!スーパーデラックス・シープ・ワゴン2!羊飼いのあなたにはお勧めの乗り物だ!今ならカーナビとコンパクト十戒付き!エコにも配慮した木製!スーパーデラックス・シープ・ワゴン2!"


「フィリポ。やっぱりマンガに出てくる食べ物で、バリバリ、一番おいしそうなのは、モグモグ、『オバケのQ太郎』に出てくる、バリバリ、小池さんのラーメンだよな~、モグモグ」

「いたー、リーダー。やっぱり一番おいしそうなのは、バリバリ、赤塚不二雄先生の『おそ松くん』にでてくる、モグモグ、『チビ太のおでん』しかないでしょう~?」

「お前は若い。バリバリ、いいか?あのラーメンは、モグモグ、カップラーメンの時もあるし、バリバリ、そうじゃない時もあるんだぜ!モグモグ」

「いやいや、リーダー。バリバリ、それを言うなら、モグモグ、『チビ太のおでん』は上から、バリバリ、△は『こんにゃく』、モグモグ、○は『がんもどき』、□は『鳴門巻き』って、バリバリ、何気に細かい設定が決まってるんだよ、モグモグ」


二人のマンガ談義を聞いて、ディープでコアな漁師兄弟のヨハネとヤコブも感化されます。


「やっぱり、ヨハネ。ラーメン大好き小池さんの食べているラーメンは、『中華食堂 松葉』のラーメンが有力説?」

「それは確実だよ、ヤコブ。先生方々が住んでいたトキワ荘近くの、椎名町の商店街にある松葉のラーメンは、当時として贅沢品だったらしいよ」

「具はモモチャーシュー1枚、半ゆで卵、ワカメ、ネギで、メンマ?」

「油が浮いていないスープは、鶏ガラ、昆布、香味野菜といった感じで決まりだな」


"番組の途中ですが、今夜放送予定だった【静脈大陸ドキュメント!時代の先駆者パンキッシュのアニキ・ザ・ヨハネの知られざる横顔】におきまして、一部放送内容に不適切な言動がございました。よって、今回の放送は見合わすこととなり、突然の番組の急変により、視聴者の方々へご迷惑をおかけすること、深くお詫び申し上げます。"


「ええええ!?マジかよ!?なんだよ~。アニキの『静脈大陸』楽しみにしてたのに~」

「先生、残念だったね~」

「しっかし、アニキがインタビューされても、ピーピー音声が入って、放送できないだろうな」

「中指も当然モザイクですね」


どーーーーーんん!!!!!


【シナゴーグ・チャンネル 緊急番組UMAスペシャル!驚異!幻の魔獣“オータン・コーナス”をついに発見した!!!】


"こんばんわ、司会のミネ・コンタでございます。近年、世界の情勢は常に不安が付きまとっており、地方では頻繁に、謎の未確認動物が出没しております。ガリラヤ湖の上を歩くガリッシー、カナ地方に突然出現したワイーナ、ワカメのような髪形をしたタコ星人などなど。しかし、今夜は!この番組のスタッフが、あの幻の魔獣オータン・コーナスを、ついに発見しました!これが、その魔獣の姿を映した。。。"


ブチッ!

あんちゃんは番組の途中でテレビを切ってしまいました。


「ああああ!何すんだよ?大工、今から楽しみだったのによ~」

「だ、ダメだ、こんな番組は。きょ、教育上良くないに決まってら~」

「教育上??」


当然楽しみにしていた弟子達から、ブーブーと非難轟々の嵐です。それでも大工のあんちゃんは両腕を組み、一筋の汗を垂らしながら頑なに拒否。


「いいか?お前ら。幻の魔獣“オータン・コーナス”なんて、い、いるわけないだろ。大体、シナゴーグ・チャンネルのUMAスペシャルは、いっつもインチキが多いんだって」


しかしどうしても番組を見たいトマスは、あんちゃんのその話を疑いました。


「本当に元ヤンが言うように、この番組はインチキが多いのか?タダイ、どうなんだ?」

「うーん、派手な演出で恐ろしい衝撃映像が繰り返し放送されるから、視聴率は結構いいみたい」

「なんだよ~。だったらやっぱり見ようぜ?元ヤン」

「うーん。。。」


再び一筋の汗を垂らしながら、両腕を組んで考え込んだあんちゃん。すると、何かを思いついたように、ポーンと手を叩き、ニコニコしながら弟子達にある提案をします。


「そうだ!せっかく夏もそろそろ終わりそうだし、みんなで花火をしよう」

「えええ!?花火なんかだっせぇーよ」

「そ、そんな事ないぞ、ジェイコブ。やっぱり、夏といえば、線香花火にスイカ、浴衣にブタの花が大きく開いた蚊取り線香は、定番中の定番だろう?」


弟子達は眉間にしわを寄せながら、あんちゃんの提案に色々と話しだしますが、生意気なユダは直ぐに手をあげて違う提案をします。


「だったら、ブラザー。みんなでロウソク一つ囲んでYo!、怪談話しようぜ!」

「な、なに!?」


びっくりしているあんちゃんを余所に、面白そうだとはしゃいでる弟子達。


「おおお!楽しそうだな!そっちの方が絶対に面白い!」

「夏の風物詩、肝試しってやつだね!??」

「それなら、僕達ディープな怪談話知っているよ」

「マジで!?」

「(呟き)俺も知ってる、なう。やりましょう!おもしろそう、なう」

「ねぇーねー!リーダー怪談話やりましょうよ!」


あんちゃんは三度一筋の汗を垂らし、両腕を組みながら、仕方ない奴らだと頷いて承諾しました。


ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~。


不気味な顔がロウソクによって照らされたフィリポは、恐ろしい口調で話しだしました。


「これは、僕の親戚の親戚から聞いた話なんだけどねぇ~。ドギャーーン!『悪の十字架』!!!」

「ヒィイイイイイ!」


あんちゃんはつい、女の子みたいな奇声をあげました。それを聞いた弟子達は、びっくりして眺めています。


「リーダー?」

「お、おう、悪かった。さっきのせんべいが喉に詰まったかな?フィリポ、つ、続けてくれ」


気を取り直して『悪の十字架』の再開です。


「そのむかーし、みすぼらしい身なりの男が、何か思いつめた顔で礼拝堂の扉をたたきました。ギギーと軋む重い扉が開くと、そこには年老いた司祭が立っています。その男は突然扉を掴み、まるで司祭へ掴みかかるように、質問をしたのです!!!」


みんなはゴクリと喉を鳴らし、固唾を飲んで待っています。


「"開くの十時か(悪の十字架)?"」


ギャハハハハハ!

弟子のみんなは、フィリポのオチに笑いだしました。しかしあんちゃんだけは、なぜか脂汗を出しながら、歯を食いしばって目をつぶっていました。


「どうしたのリーダー?」

「う、うん?何でもない。なかなか、お、お面白かったぞ」


ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~。


不気味な顔がロウソクによって照らされたトマスは、恐ろしい口調で話しだしました。


「これは、死んだ婆さんの孫から聞いた話なんだけどさ。ドギャーーン!『恐怖の味噌汁』!!!」


今度は奇声を上げず、あんちゃんは我慢して聞いてます。


「タクシーの運転手をしている茂さんは、仕事が終わるのはいつも真夜中。自分の奥さんには、帰宅後すぐにご飯が食べれるよう頼んでいました。いつものように仕事を終え、自宅に帰った茂さん。台所から何やら美味しそうな匂い。しかし、テーブルに残された奥さんのメモを見て驚きました!!!」


みんなはゴクリと喉を鳴らし、固唾を飲んで待っています。


「"今日、麩の味噌汁(恐怖の味噌汁)"」


ギャハハハハハ!

弟子のみんなは、トマスのオチに笑いだしました。しかしあんちゃんだけは我慢できず、目をつぶってしまいました。


ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~ドロドロドロドロドロ~。


不気味な顔がロウソクによって照らされたマタイは、恐ろしい口調で話しだしました。


「これは、俺の親父の息子から聞いた話なんだけどさ、ドギャーーン!『悪魔の人形』!!!」


ヒィイイ!汗だくになってブルブル震えているあんちゃん。


「その昔、ゴロゴロと雷が遠くの方で鳴る夜更けを過ぎた森に、たった一人で歩いている女の子がいました。その女の子はケラケラと笑ったまま、地面に落とされた一つの物陰に近づきました!!!!」


みんなはゴクリと喉を鳴らし、固唾を飲んで待っています。


「あ、熊の人形!(悪魔の人形)」


ギャハハハハハ!

弟子のみんなは、トマスのオチに笑いだしました。しかしあんちゃんは、ついに耐えきれず叫び出しました


「うぎゃーーーーーーーーあああああああ!!!!!怖ぇえええええよおおおお!!!!」


鼻水垂らして泣き叫び、暴れまくるあんちゃんを誰も止める事はできません。ペテロとアンデレは殴られ、マタイとジェイコブはアッパーをかまされ。トマスとタダイは平手打ちを喰らい、フィリポとバルトロマイはげんこつ。ヨハネとヤコブはドロップキックを喰らい、ユダとシモンにはバックブリーカーとコブラツイストで気絶させられました。弟子達は全員ノックアウトでのびてます。


「だから!幽霊とか未確認動物とか!そういう怖い話とか、俺、苦手なんだっちゅーの!」


なるほど、だから早々とあんちゃんはテレビを消したようです。しかし、弟子達の話は本当に怖い話だと思っていたようで、大工のあんちゃんは、オチの意味が今でも分かって無かったようでした。


続く

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