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第十二話

胸いっぱいの愛を武器に、ビッグなロックスターになること決めた大工のあんちゃん。十一人の弟子(バンドメンバー)達を引き連れ、新たなライブ会場を目指し旅立ちます。


「フィリポ、モグモグ、やっぱり藤子F不二雄先生の『ドラえもん』は、モグモグ、最高だよな~」

「いや、モグモグ、リーダー。やっぱり藤子不二雄Ⓐ先生の、モグモグ、『笑ゥせぇるすまん』でしょう?」


今日もあんちゃんはのどかに、フィリポとカラムーチョ食いながらマンガ談義です。


「お前は若い、モグモグ。いいか?モグモグ、やっぱり子供達の夢を叶えてくれる、モグモグ、四次元ポケットに勝るものはねぇよ。モグモグ」

「リーダー。それならモグモグ、大人の欲望を叶えて、モグモグ、約束破った奴らをドーン!って陥れる喪黒福造の方が、モグモグ、最高でしょ~」


さて、雪も降り出して妙に寒くなってきました。再びガリラヤ湖に戻ったあんちゃん一行は、再び、向こう岸へ帰る為に、船の準備を始めます。


「あれ?先生はどこに行ったの?トマス」

「さあな、タダイ。野郎、どっかでほっつき歩いてんじゃねぇか?」

「参ったな~。先生にトイレットペーパー頼まれてたのにな~」


さてその大工のあんちゃんは、岩陰で腹痛と格闘中。原因はカラムーチョの食い過ぎでした。


「ホーリーシット!クッソ~。中々出てこないなー。あんなに調子こいて、食い過ぎるんじゃなかったぜ」


グルルルルルル。

まるで地獄の一丁目にいる獣のように、かなり便秘気味で腹をクダしているあんちゃんでした。


「よーし、みんな乗る準備してくれ!」


一方、ようやく準備が整ったペテロは、他の弟子達を舟に乗せていると、疑い深いトマスがペテロに念を押します。


「ペテロ、雪がかなり降ってきたけど、今回は大丈夫か?」

「いやー大丈夫だろう、トマス。だってよ、なんせミラクルを起こした大工先生がいらっしゃるのだから」

「ミラクルな大工先生か。まぁ、確かに不思議な幸運に守られている気がしないでもないが、この後、大雪にならなければいいがな」


しかし、世の中そんなに甘くはありません。今度は湖のど真ん中で、彼ら一行を乗せた舟が立ち往生です。


「おい!ペテロ、これは一体どう言うことだ?何で舟が湖のど真ん中で止まっているんだよ?」

「参ったな、トマス。多分、浅瀬に引っ掛かったかもしれない」

「浅瀬だぁ?!お前は漁師のプロのくせに、そんな初歩的なミスをしやがった

のかよ?!」

「うるせー!ギャーギャー女みたいに騒ぐんじゃねぇよ。こんな時こそ、ミラクルな大工先生の登場だ。おい、アンデレ、先生を起こしてくれ」


弟のアンデレは辺りを見回しましたが、あんちゃんの姿が見当たりません。


「どうした?アンデレ」

「いやー、ペテロ兄ちゃん。それが、先生の姿がどこにも見当たらないんだよ」

「嘘をつけ。どっか舟の隅で自分勝手に寝てるだろうに」

「いいや、どこにも居ないんだって!」

「な、何だと?!ま、まさか?おいてけぼりか!?誰も声をかけなかったのかよ?」


何と、罰当たりな弟子達は調子こいて、大工のあんちゃんを岸に忘れて船出しちゃったのでした。


「どうしよう?!ペテロ兄ちゃん」

「こりゃ、本格的にまずい事態に陥ったな。。。」


その頃、一時的な腹痛から解放された大工のあんちゃん。まだ便秘を抱えたまま、岩陰から出てきました。


「クッソ~、まだお腹がクダっているな。いててて。今度からはお菓子はプリングルスに変更だ」


しかし、周りにはだーれも居ません。どこを探してもいませんでした。辺りを探しましたが一人ぼっち。


「あんの~クソガキ共め!俺のことを置き去りにしやがったな?!」


よーく湖の方を見渡すと、ど真ん中で立ち往生している一艘の舟が見えました。舟の上では弟子達がパニクってます。あんちゃんは両腕を組んで嬉しそうに眺めてました。


「ひっへへへ。ザマーみろ!俺を置き去りにした罰だ」


グルルルルルル。

しかし、そんなあんちゃんにも再び地獄の一丁目からのお知らせです。


「ファッキンシット!またもや腹痛が始まりやがった。タダイの奴が持っているトイレットペーパーが無いと、これ以上、仁義を切れないじゃねぇーか!」


立ち往生した舟では雪もかなり積もり、寒さに震えてる弟子達が、自分の無力さを目の当たりにしていました。


「やっぱり俺達は、あの元ヤンがいないと何も前に進まねぇな?ペテロ」

「ああ、トマス。どこかインチキ臭い野郎だけど、やっぱりあの大工がいるから、前回の嵐から助かったのかもしれないぜ」


すると、遠くの方から、あんちゃんの声が聞こえてきます。諦めモードの弟子達は涙を流し、その声へと顔を向けます。


「おーーーい!お前らーーー!」

「あ!先生の声だ!」

「おーーーーい!」

「あああ!」

「な、なんて所を歩いてやがんだ?!」


何と!大工のあんちゃんは、凍った湖の水面の上を、必死に走ってきたのです。


「お前ら大丈夫だったか?」

「先生~!ありがとうございます!助けに来てくれたんですね?」

「ま、まぁーな」

「勝手に船出して、すみませんでした!やっぱり、僕達は先生がいないと何もできませんでした!」

「い、いや、いいってことよ。それよりだな」


グルルルルルル。

再び地獄の一丁目から、あんちゃんの腹痛お知らせです。しかし、タダイは泣きながら、あんちゃんの両手を取って感謝してます。


「先生!ありがとうございます!僕達を救って頂いてくれた恩は忘れません!」

「分かった、タダイ。分かったから。あのよ。。。」


グルルルルルル。

凍った湖の水面では、お腹も冷えてくるのでしょう。かなーり、あんちゃんも厳しい顔になってきました。


「先生!先生はどうして必死に、しかも凍った湖の水面を走って、僕達のところまでこられたんですか?」

「そ、それは、タダイ。時には人間、『紙が無いと出来ない事』があるだろ?」

「?!」


弟子の前でトイレットペーパーを渡せとは言えないあんちゃん。タダイに一生懸命ウインクしてます。しかし、それを聞いたタダイは、何を勘違いしたのか叫び出しました。


「すげー!みんな聞いたか?!『神』がいないと出来ないってよ!!」


すると弟子達一同は、みんな泣きながら跪いて大工のあんちゃんを崇めます。


「い、いや、違う。俺が言ってるのは、『紙』の方だって。。。あ!」


グルルルルルル。

言うまでもなく、なかなかトイレットペーパーを渡してくれないタダイのせいで、あんちゃんはその後、長時間の腹痛と格闘することになったのでした。


続く

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