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∞メモリーズ  作者: ほかほか


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1/1

宇宙人

僕は宇宙人だ。宇宙から来たのだ。そうでなければ説明がつかない。




 季節の変わり目には必ず腹を壊すし、人ともうまくいかない。詳しいことを調べればいいけどそんな勇気もない。こんな生き物は、あまりに地球で進化できない。だから僕は宇宙人なのだ。




 だから僕は、先生に聞いた。




「こういうことなんですけど、僕は宇宙人ですよね」




 先生はなんとなく笑うとこう言った。




「君は哲学者になったらいいんじゃないかな」




 全然思ってたのと違う。




 僕はもっと気になってしまった。僕はどこから来たんだろう。どうやってここにいるんだろう。だから、僕研究の第一人者として親戚の間で有名なお母さんに聞いてみた。




「こういうわけなんだけど、僕は宇宙人なのかな」




 お母さんはやれやれと言った具合に語った。




「そんなことより、勉強したの」




 思ってたのと違う。




 なんともなぁ、僕の正体は専門家をもってしてわからないらしい。ここまで来たら人類の叡智だ。図書館に行くことにした。




 夏に自転車は暑い。日焼け止めを塗ったのに全然暑いじゃないか。服が暑い。こんなに空は青い。海は青いし冷たいのに、なんでこんなに暑いんだろう。雲はもくもくしてるから多分、あったかいだろうな。




 首の裏がだんだん、ジリジリしてきた。汗で日焼け止めが流れちゃったのだ。僕は立ち漕ぎをして、もっと速く進んだ。そしたらなんだか、涼しくなった気がした。




 でも、やっぱり暑いから途中でマックに行った。僕は宇宙人なんだから、地球には慣れないのだ。




 自転車は、店の外の駐輪場に置いた。自転車のスタンドって、なんでこんな硬いんだろ。その割にすぐ倒れちゃうしさ、地球人の考えることはわからないね。そんなことを考えながら、僕はマックに入った。自動ドアが開くのと一緒に、冷たい風が吹いた。




 なんか入ったけど、外でご飯を食べるのはちょっと緊張する。友達とか先生とも違って、なんか大人というか、自分じゃないみたいな感じがするから。




 あんまし人がいないから、僕はすぐ注文した。




「ご注文お決まりでしたら、どうぞ」




「あの、このフィレオフィッシュのやつで」




「セットになさいますか」




「えっと、セットはなんですか」




「バーガーの他にポテトやナゲット、ドリンクもお得につけられます」




「じゃあ、それで」




「ポテトとナゲット選べますが」




「ポテトで」




「サイズはSMLありますが、どうなさいますか」




「えっと、真ん中のやつで」




「Mですね。では、ドリンクはどうなさいますか」




「えっと、これで」




「以上で大丈夫でしょうか」




「はい」




 そこから僕は記憶がなくなった。気がついたら、席に座ってて、大きな窓から外を見てた。




 外はなんだか、絵の具みたいな色だった。晴れてると、こんなに色がわかるんだなぁ。夏なんて、毎年やってくるのにマックの中から見ると一味違うね。




 歩いてる人なんて、ほとんどいない。いても自転車に乗ってる僕と同い年くらいの子供だけだ。みんな、夏を満喫していて自転車が光ってた。




 あまりに光ってるもんだから、ガラスに僕の真っ赤な顔が写ってた。




「以上で、ご注文の品はお揃いでしょうか」




「はい」




 ついに、バーガーを食べる。正直に言うとコーラが飲みたいんだけどね。




 紙袋をモサモサ開いて、バーガーを食べる。フィッシュのところのおかげで、少しだけふにりとしてるパンのとこがいいよね。ポテトも食べる。コーラも飲む。




 少しだけ食べるのをやめてゆっくりする。いきなり食べちゃったので、疲れてしまったから。すごいぼーっとしてきて、入道雲がゆっくり動くのを見た。お父さんと観たお化けの映画に出てきたのに似てた。




 コーラを飲み干したら、体の縁が熱くなってきた。なんだか寒くなってきたから、僕は残りを食べて店を出た。




 スタンドを蹴り上げて、立ち漕ぎで進む。体が揺れるから、コーラがお腹でチャプチャプしてた。




 しばらく漕いだら、お腹がキューっとし始めたので自転車を押した。暑い、道路をまっすぐ見ても蜃気楼がモワモワしてるだけだし、汗もまたかいてきたし、夏だ。




 図書館はもうすぐで、隣にある公園が見えてきた。イモムシの雲梯でよく遊んだな。頭の触角のところに登るのが楽しかったっけ。最近は友達の家の周りで遊ぶから、この辺にはきてなかったな。




 僕は入り口の横に自転車をとめて、図書館に入った。図書館は、静かな匂いと紙の匂いでいっぱいだった。




 僕はまず、動物のところから見ることにした。哺乳類、爬虫類、魚類。なかなか宇宙人の本がない。




 しかも、動物といっても図鑑とかじゃなくて、もう少し小さい本だ。パラパラと読んでも絵のところしかわからない。こんなの読むなんて、地球人はやっぱり変だ。




 今度は宇宙のところを見た。宇宙の話なのに、物理とか天文とか頭良さそうなのがいっぱいだ。書いた人は頭良いんだろなということだけはわかった。




 でも、僕はそんな頭の良さとかコツが知りたいんじゃなくて宇宙人が知りたいのだ。頭良い人も宇宙人のことは、何も知らないみたいだ。僕は本が見つからなかったから、そのまま図書館の人に聞くことにした。静かな図書館の中に、荒い布のカーペットを擦る足音がザリザリと鳴る。謎の本読みコーナーを横切ると、貸し出し機の前にあるカウンターについた。




 僕は、職員の人に聞いた。




「すいません。宇宙人の本を探してるのですが」




 職員の人は答えた。




「宇宙人の本ですね。宇宙人の何について知りたいとかは、ありますか。」




 そんなこと言われたって、僕は宇宙人について知りたいのだ。




 僕は、とにかく全部のやつを貰おうと思って答えた。




「宇宙人の図鑑がいいです」




 職員さんは、少し困った様な顔をして言った。




「それなら、UMA図鑑とかはどうですか。宇宙人以外も載ってますけど」




 僕はチュパカブラじゃないぞと思ったけど、あるに越したことはないので言った。




「じゃ、それでお願いします」




 僕は、職員さんに案内してもらって、本を借りた。外は暑いし、しばらく休むついでに、読書コーナーで読んでみることにした。




 読書コーナーへのスロープは、少しドキドキする。滑らないように、凸凹してるから、歩くと音が響いてしまうから。上で新聞を読んでる大人に「今から行きますよ〜」と大声で言ってるみたい。




 読書コーナーの椅子は、ふかふかで好きだ。でも、それよりも大人と一緒に、本を読んでるから、賢くなった気がする。僕は、足を伸ばして座ると、図鑑を読んだ。




 チュパカブラ、ビッグフット、スレンダーマン、不死身のは虫類。いろんなUMAがいるけど、宇宙人はそんなになかった。いたのは火星人、グレイ型宇宙人、レプティリアン、エリディアン。う〜ん、どれも僕には似てないなぁ。




 でも、おばあちゃんが言ってたみたいに、人を見た目で判断しちゃいかん。宇宙人だって、人ってついてるし。僕は、ちゃんと文字のところも読んだ。




 でも、宇宙人の性格とか、好きなものとかはあんまり書いてなかった。牛とか言われても、僕は丸ごと家に持ってったりしないし。




 なんだか、難しいことを考えてよくわからなくなったから、僕は天井を見た。ゴツゴツのタイルの天井に、ライトが埋まってる。色はなんだか、牛乳みたいだ。




 横の席をみると、おじさんが新聞を見てた。馬の新聞だ。馬がそんなに好きなら、図鑑を見ればいいのにね。




 でも、チュパカブラ、なんか恐竜みたいでカッコよかったなぁ。僕は、恐竜の棚に行くことにした。




 恐竜の棚は、すごい。恐竜の化石から絵まである。ちょっと小さいやつは、文字だらけだけど、それも面白そうだ。




 やっぱり僕は、図鑑を取った。




 図鑑には、昔のことが書かれてた。昔というと、人間とかより前で、恐竜よりも前だった。ツノの生えたエイみたいなやつや、おっきなダンゴムシとかがいたらしい。それも、カンブリア大爆発とかいうらしい。




 もしかしたら僕は、このエイみたいなやつなのかもしれない。めちゃくちゃ増えたから、大爆発なら、僕もめちゃくちゃ増えた人間の中の宇宙人なのかもしれない。




 そう思うと、なんだか少しだけわかったような感じがした。

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