第8章 夜の気配と新たな出会い
【まえがき】
ここから物語は一気に加速していきます!
ミサオたちの元に忍び寄る謎の集団、そして現れる魔物たち──。
今回は「夜の緊張感」と「新たな出会いの布石」を意識して書いています。
ぜひ、静かな夜に感じる不安とワクワクを味わってください!
夜が、じわじわと深まっていく。
クミコとジョロをテントに寝かせ、周囲に気を配りながら甘ったるいインスタントコーヒーを啜るミサオ。
ほっと一息つこうとした、まさにその時──。
(サクッ。)
「!」
耳に飛び込んできた、遠くの草を踏みしめるかすかな音。
ミサオは即座に、絞っていたランタンの明かりを消し、身を低くして夜の闇に紛れた。
鼓膜が破れそうなほど、耳に神経を集中させる。
──小さな声が、闇の中から漏れ聞こえた。
「・・・確かに、この辺りなのか?」
「麓の村々の話だと、ここで間違いないッスよ。ただ、闇憑きと魔物の集団ってのは、眉唾もんですけどね……。」
「それより、お前達、明日は朝から畑仕事だろ?」
「何言ってるんスか!兄貴に命助けてもらった恩があるんですよ。新しい暮らしまで手伝ってもらって……。こんな事くらい、恩返しの利息にもなりませんって!」
「わかったわかった。でも、絶対に前には出るなよ。巻き込みたくないからな。」
──白犬の衆か。
リーダー格っぽいヤツ、言葉の端々に人柄が滲んでるな。
そんなことを思っている間に、開けた場所の向こうから──奴らが現れた。
イノシシに似た巨体。
トラを巨大化させたような獣。
角を生やしたオーガ風の二足歩行の魔物。
種も強さもバラバラな魔物たちが、妙に整然とした隊列で進んできた。
本来、異なる種族の魔物が徒党を組むなど、普通はあり得ない。
──何かがおかしい。
ミサオは、胸の奥に湧き上がる嫌な感覚を振り払った。
そして──魔物たちの背後から、バサバサと羽音が近づいてきた。
(……あれは……!)
闇憑きですらない。
もっと、深い、暗い気配。
──まるで、悪魔だ。
【あとがき】
今回は、静寂の夜から一転、得体の知れない魔物と悪魔の気配が迫る緊迫シーンでした!
"白犬の衆"との出会いも間近。ここから、永井家の運命が大きく動き出します。
次回もお楽しみに!