第5章 標的はヘリオス山!闇憑き異変を追え
いよいよ専任S級冒険者としての初陣が動き出します!
闇憑き異変、そして王都への危機。ミサオたち永井家は、新たな脅威に立ち向かう!
「理由は?」
お互いに椅子に腰掛け直して、話を続ける。
「理由は3つあります。第一に、近くの村の狩人たちによる目撃情報。
いままで単独行動が基本だったはずの闇憑きが、複数の魔物と集団で行動しているという証言です。
これが気になります。」
静かに語るミサオに、セルジオは真剣な眼差しを向ける。
「第二に、山の周囲で発見されている複数の闇憑き変死体。
どれも、押し潰されたような痕跡があるという噂です。
第一の話と関連があるかは不明ですが、異様な現象には違いありません。」
一度言葉を切り、ミサオは続けた。
「そして第三に……この場所から王都までの距離です。
馬車でも三日、本気を出した魔物ならもっと早く到達できるかもしれない。
この王都周辺は人口密集地帯。万一に備え、早急な調査と対処が必要と判断しました。」
ミサオの言葉に、セルジオは力強く頷いた。
「……上出来だ。みんな聞いたな!」
セルジオが一喝すると、会議室内に緊張が走る。
「これより本件を最優先事項とする!
各地のギルマスは、自分のエリアで少しでも異変があれば、必ず本部に報告を上げろ!
総員、検討を祈る!――解散!」
ギルドマスターたちは慌ただしく席を立ち、それぞれの拠点へと戻っていく。
その中には、見慣れた顔――ハイネスの姿もあった。
部屋を出る直前、ハイネスはミサオに笑顔でウインクしてみせる。
グランドマスターに軽く会釈をし、永井家も部屋を後にした。
いざ、ヘリオス山へ!
ミサオの初動、完璧な判断!
王都に迫る異変、その鍵を握るヘリオス山へ――!
次回、調査開始です!