【第0章】プロローグ 虹の橋を渡る者たち
【まえがき】
本作『家族で異世界冒険譚2 ~永井家異世界東奔西走~』は、前作『家族で異世界冒険譚1』の続編となります。
異世界での新たな生活を始めた永井家。
パピ(ミサオ)、マミ(クミコ)、そしてジョロ(コジ丸)。
彼らのもとへ、かつての家族、ムサシ、コジロー、サンシローが再び巡り会うために旅立ちます。
虹の橋で見守り続けた彼らが、今、再び家族となるために異世界で新たな物語を紡ぎます。
──家族の絆、温かさ、そして新たな出会い。
第2巻、始まります!
遠い、遠い場所。
暖かくて、少しだけ切ない光に包まれた世界。
そこは、「虹の橋」と呼ばれる場所だった。
命を全うした者たちが、次の旅立ちを待つ静かな世界。
ムサシ。コジロー。サンシロー。
三つの小さな魂が、そこに寄り添うように過ごしていた。
彼らは、ずっと──見守っていた。
ミサオ。クミコ。そして、ジョロ。
愛する「家族」を。
ムサシは、静かに目を細めた。
「今日も……パピ、頑張ってるな。
あの人は、昔からそうだ。どんな時も、家族のために。」
コジローは、ふんわりと笑いながら続ける。
「マミも、すっごく元気そうだね。
パピのそばにいれば、きっと、どんな困難も乗り越えられるよね。」
サンシローは、くるくると宙を回りながら、無邪気に言った。
「ジョロ、すっかり大きくなってさ!
あんなに元気だと、心配する暇もないよなー!」
そこに居ないのに。
触れられないのに。
それでも、心はいつも、家族と繋がっていた。
彼らにはわかっていた。
パピたちが、違う世界で新しい道を歩み始めたことを。
そして、その道には、強大な闇が確かに潜んでいることも。
「……放っておけないな。」
ムサシが、そっと呟いた。
「うん。放っておけるわけ、ないよ。」
コジローも真剣な顔で頷く。
「だって、俺たち、パピとマミとジョロの“家族”だもん。」
サンシローが、声を強めた。
「──だから、迎えにいこう。
パピたちのもとに、もう一度、家族になりに!」
ムサシは、そっと微笑んだ。
コジローは、目を細めた。
サンシローは、力いっぱい拳を握った。
その瞬間──
空が、柔らかい光で満たされた。
三匹の小さな身体が、ふわりと光に包まれる。
「パピ、マミ、ジョロ──」
「待っててね。」
「すぐ、そっちに行くから。」
「今度は、もっともっと、みんなを守るから!」
祈るように、叫ぶように。
三匹は光となって、虹の橋を渡っていった。
愛する家族の元へ、再び巡り会うために。
そして、これから始まる新たな物語の中で、
誰よりも強く、誰よりも優しく、家族を護る存在になるために。
彼らの旅立ちが、今、静かに始まった。
【あとがき】
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
このプロローグは、ミサオたちを見守る存在──ムサシ、コジロー、サンシローの想いを描かせていただきました。
ペットとして家族だった存在が、異世界でも新たな力と絆で再び家族となる──
このテーマを胸に、永井家の物語を更に広げていきます。
第1巻とはまた違った、「家族の成長」と「新たな挑戦」を描いていきますので、ぜひ引き続きお楽しみいただけると嬉しいです!
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これからも永井家を、どうぞよろしくお願いいたします!
── 武者小路参丸