3★不意打ち
放課後、いつも通りチャイムとともに俺と吉野は下駄箱を出た。
天気は快晴で、春らしい暖かな風が吹いている。
だめだ…なんか胸が苦しい。
吉野と一緒に下校するのも、もう5日目だ。
授業中もずっと吉野のことが頭から離れない。
日を増すごとに、俺の頭の中の吉野の存在はでかくなっていった。
これは一体なんなんだろう。
もしかして俺…吉野のこと…。
変な予感が頭をよぎる。
いやいやいや。
待て、落ち着け俺!
相手は普通に男だろ。
気持ちがふわふわしている。
なんか自分が何を想っているのか分からなくなってきた。
「どうしたのー」
吉野の声で、はっと我に返る。
今、俺は吉野とバンドの話だとかをするために、気が合う友達同志として一緒に下校してるのだ。
俺は何を…
「ごめん、なんでもないよ。で何の話だっけ?
「え、だから今流行ってるロッカーズってバンドについてだろ。俺newシングル買ったよ」
吉野は、もう金ねえよーと言って笑う。
「あー、そか。ごめん。まじ?シングル買ったのかよーいいなー俺金欠だから」
「今度貸そうか?」
「え、…いいの?」
「遠慮すんなー秘密を知ってる仲だろー」
そう言って、吉野は肩をくんできた。
ずっしりと肩に重みが増す。
なんか、近いな。
とかいって恥ずかしくなっている俺は相当キモい。
「ねぇ、村上君」
「へ?」
顔を吉野の方に向けると、急に顔つきが真剣になっている気がした。
「……俺と付き合ってよ」
……は?
その瞬間、俺の思考回路は停止した。
ボスッ
同時に、手に持っていた鞄が地面に落ちた。
長いこと引っ張ってしまってすいません!
あの二人の関係にもそろそろ変化が…?
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