2★妙な気持ち
翌朝。
ちちちち…
と鳥の鳴き声がする。
時計は朝の7時30分を指していた。
顔を洗おうとベッドから立ち上がると、起きたばかりだからなのか、体がふらりとした。
うわ…眠い。
くわあーとあくびをすると目に涙が滲んだ。
ワンワン!
突然ドアの向こう側から犬の騒がしい鳴き声がした。
え…何故犬が…
ワンワンワン!
「あーもう、うるせ…」
扉をがちゃんと開けると、そいつは何のためらいもなく俺の領地に侵入してきた。
そうだ。
こいつは昨日母さんが拾ってきた子犬…
柴犬か?
全体的に、色は柴犬特有の薄い茶色だった。
よく見ると…けっこう可愛いもんだな。
「よしよし」
ポンポンポン、と頭を軽く叩いてやると、そいつは嬉しそうな顔をして、退散していった。
*******
「おはよう村上君」
「あ、…はよ」
教室に入ると、一番に挨拶してくれたのは、なんと吉野だった。
俺は驚いて目を丸くする。いつも最初に声をかけてくれたのは、たけちゃんだったのに。
でも、なんかちょっぴり嬉しかった。
「昨日はありがとね」
吉野がにこにこ笑って俺の肩をつつく。
「ありがとってなにが…」
「え?いやだなぁ!一緒に帰ってくれてありがとうってことだよ。凄い楽しかった。」
あぁ…そういうことか。
「いや、俺の方こそ楽しかったよ。吉野とこんなに気が合うとは思わなかった」
「はははっ俺も!あ、あのさ……もしよければ今日も一緒に帰ってくれない?
」
吉野からの意外な言葉に、俺は素直に首を縦にふった。
「いいよ、俺もどうせ一人で帰る予定だったし」
ちょうど吉野と帰る約束をしていたとき、担任の桜木がドアをがらっと開けて教室に入ってきた。
「おーい、席つけよー」
その言葉とともに、教室に散らばっていた生徒たちが自分の席に座っていく。
俺は、妙に胸がどきどきしていた。
甘酸っぱい香りがする。鼻をすーっと抜けていく不思議な感覚。
なんだろう。
吉野の笑顔が頭から離れない。
もっと見たい。
俺、どうしちゃったんだろう…。
不安な気持ちを抱いたまま、1時限目の授業が始まった。
やっと2話きました^^
読んで下さった方ありがとうございます#
この二人の今後の展開を楽しみに待っていて下さいね!
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