モフモフパニック誕生日⭐︎
あとで書きます、多分。
「ちょっと! これ、どうなってんの⁉︎」
ミーリは、思わず叫んでいた。そんなミーリに、フレディーは困ったような笑顔を向ける。
「えーっと……ちょっと失敗しちゃって。アハハ」
「笑って済まそうとするな!」
ミーリとフレディー、二人で生活する一軒家の玄関先は、白くてモフモフとした毛玉のような生き物達で埋め尽くされている。その数、およそ三十匹。
「ミーリを喜ばせようと思ったんだけど……張り切りすぎちゃった、かも」
「まぁ、かわいいよ? かわいいけどさぁ」
二人の前にいる毛玉のような生き物達——以下、毛玉と呼ぶ——は、モンスターの類の生き物だ。モンスターの中には凶暴なものも多いが、この毛玉は違う。そのモフモフとした愛くるしい見た目と、人馴れする性質であることから、ファンや、共に生活をする者も多い。
そして、ミーリもその一人だ。
「さすがに多過ぎるってぇ」
脱力しながら呟くミーリだが、その手は、擦り寄ってきた一匹の毛玉をなでなでしてしまっている。どう見ても、すでに情がわいているような状態だ。
「確か、この子達の召喚術って——」
「お察しのとおり」
「だよねぇ……」
ミーリは重いため息を吐きつつ、顔を上げる。そして、意を決したように、バッと大きく両腕を広げた。
「わかった、わかりました! 私が、いや、私達が、ちゃんと、責任持って、この子達をお世話しよう!」
ミーリの宣言に、毛玉達が嬉しそうな声を上げる。フレディーは困ったような笑顔をそのままに、頬をかく。
「なんか……いつもごめんね」
「謝るなら、この子達に謝って。この状態じゃ、まだ帰れないんだからさ」
ミーリはそう言うと、
「まずは、お風呂が先かな? それとも、ご飯? 三十匹を一度に洗うの大変だし——」
と、ブツブツ呟きながら家の裏手にある倉庫へ向かって歩く。その後を、十匹ほどの毛玉がちょこちょこついて行く。
その様子を微笑ましく眺めながら、フレディーはミーリの名を呼んだ。そして、振り向いたミーリに、
「誕生日、おめでとう」
と、声をかけた。そんなフレディーを、驚きに目を見開いて見つめたミーリは、
「ありがと。嬉しいけど、来年は召喚術は禁止、ね!」
と、笑顔を見せたのだった。
あとで書きます、多分。