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幼ナーガは今日も生きてます!!  作者: なかみゅ
第三章 歌って踊る幼ナーガ
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第62話 反幼ナーガ勢力VS幼ナーガ親衛隊


「お前達とて善良な一般市民に手は出せまい! 残念だったな!」


 親衛隊員が暴徒達を指差して高らかに笑う。


 すると暴徒を指揮する青年は額に青筋を浮かべて怒鳴り声を張り上げた。


「なにおう! 俺達を舐めるなよ! 魔族にくみする人間は人の心を捨てた獣も同然だ!」

「ど、どうするんですかこれ!? なんかとんでもないことになってるんですけど!」


 控室へ戻って声を潜め叫ぶエルシィに竜人は何も返さない。

 彼女が冷や冷やしながら見守る中、青年が怒りも露わに号令を出そうとする。


「街の市民だからって容赦されると思うな! かかれおま――」


 言いかけた青年をすぐ隣にいた大人しそうな眼鏡の男が羽交い絞めにした。青年は必死にもがきながら焦燥の滲む声で叫ぶ。


「何をする! 裏切るのかアレクシス!」


 アレクシスは片腕で器用に青年を羽交い絞めにしたまま眼鏡をくいっと上げた。


「裏切っただって? それは違うね。何を隠そう僕はあの子の親衛隊員なのだ!」

「なにいいいいいい!? くそ! ブルーノ! こいつを何とかしてくれ!」


 青年は必死そうな顔でアレクシスの近くにいた情熱的な眼差しの男に声をかけた。

 するとブルーノは燃えるような煌きに満ちた青い瞳を鋭く細めて低く渋い声で宣った。


「クリストフ、裏切り者が一人だけだと思ったのならお前は愚かな奴だ」

「お前もかブルーノ!?」


 青年は絶望に眉を歪めた。


「今回の話を持ちかけてきたのはブルーノ、お前だったじゃないか!? お前だけは裏切らないと思っていたのに!」

「まだ気付かないか? お前は最初から嵌められていたのだよ」

「くそおおおおおおおおおおお!!」


 青年は絶叫した。


 指導者は捕えられ、二名の同士が裏切り、他の暴徒達はどうするべきか戸惑い多くは身動きが取れずにいる。

 それでも幾人かはどうにか舞台に登ろうと勇ましく前進を続ける。


 暴徒と親衛隊員の取っ組み合いが始まり事態は混迷を深めてゆく。



 広場が騒然とする中、上空からふわふわと舞い降りて来るものがあった。

 陽光を反射する輝きに気付いて観衆の幾人かが不思議そうに頭上を仰ぐ。


 それは、巨大な水の球体だった。


「あ、あの、ガレディアさん? こんな状況でセレンちゃんを降ろして本当に大丈夫なのでしょうか?」


 控室の中、少年が嬉しそうにくるくると魔術具の杖を振り回す傍ら、エルシィは心配そうな声音で竜人に問いかける。


「既に時間も過ぎている。ここで躊躇っていればせっかく集めた人間どもが帰ってしまうやもしれぬ。なに、セレンの身が危なくなれば俺が出よう」

「ガレディアさん!? 私、これ以上物騒なことになるのはごめんですよ!?」

 

 エルシィがそわそわと肝を冷やす最中、少女は水球の柔らかく滑らかな曲面を突き破って舞台に降り立った。


 軽やかな鈴の音が響き、水飛沫がぱしゃりと散る。


 濡れた水色の髪は透き通るようで、瑠璃色の瞳は磨き上げた水晶のように美しい。絹のように滑らかな色白の肌を伝う無数の滴達は陽光を照り返して小さな体に輝きを添える。


 少女の青い衣は肩紐で下げられ胸元からちょこんと窪んだ臍の上までを彩っている。段々になってひらひらした布は女の子らしい装飾ながらも雄大な海の波を幾重にも重ねたようで、それを纏う少女はまるで小さな海を着ているようだった。


 その小さな海の上で、少年にもらった首飾りに垂れる緑の石が宝物のように光っていた。



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