綿毛
掲載日:2022/05/05
ゆらゆら揺れてる僕らは、ニコニコ笑ってる空を見上げて旅立つ時を待っている。
「あっ、来る。」
兄弟の誰かが言った。
騒がしかった皆が静かになって、期待と不安を胸に今か今かと待ち構えてる。
お母さんは、少し寂しそうに空を見て僕たちに言った。
「あなた達の旅立つ先にきっと、幸せがあるから、大丈夫よ。胸を張って生きなさい。」
寒い冬も人間に踏まれてもじっとこらえ続けたお母さんの体は、ボロボロだった。
それでも僕らの旅立ちを笑ってる。
「ありがとう」
僕は、心からそういった。
その時、ヒューと、暖かい風が吹いて僕らは一斉に飛び上がった。
別れの時は、突然だった。
僕らの旅立ちを見上げる母親に背を向けて精一杯、風に乗って空を仰いで、ただ高く高く飛び立つ。
「さよなら、大好き。」
最後の言葉は、シンプルでいいよね。
どんどん遠くなる育った場所と、兄弟たち。
きっと彼らも幸せを目指して飛んでいる。
僕の出会う場所もいい風が吹いてるはず。
綿毛は、次の春をどこまでもどこまでも目指しましたとさ。
読んで下さってありがとうございます。
春も、もうすぐ終わりますね。




