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恋なんて、したくなかった  作者: 今満爽央
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第一話

初投稿です。そして続きます。


なろうサイトも初心者なので完全に手探りな状態ですがよろしくお願いします。

文章を書くのも初めてなので優しい目で見てくださるとうれしいですm(_ _)m

会話や心情多めになっています、。


私の好みを詰めた小説ですが気に入ってもらえると嬉しいです…!

 ―珍しいやつだな。女みてぇ。結構タイプかもな笑


 4年前、こいつを一目みてそう感じた。


   ===


 「なあ、今日も一緒帰れる?」

 「おう、いいぜ。」

 いつも通りの帰り道。隣にははる


 ここは県立月ヶ丘高等学校。ちなみに中高一貫校だ。


 俺があいつと出会ったのは中学2年の4月だ。もう4年間も同じクラスの腐れ縁だ。

 クラス替えしてすぐに声をかけられたのを覚えている。


   ===


「なあなあ!お前女みてぇな顔だな!え、もしかしてマジで女子だったりする?え、男子?どっちどっち?!」


(やたらまくしたててくるな…うるせぇ…。ほかにいるだろうが。なんで俺なんだよ。)


「え、いや、男だけ、ど…(こんな風に言われるのももう慣れてしまったな……)」

「お~…え、まじ?!w ごめんなー!僕、笹木ささき はる!で、名前は?」

「よ、夜崎よざき とおる、です、」

「へぇ~ 名前と声はかっこいいのな!」

「んだよ失礼だな!!」

「へへっ、ごめんってw ま、これからよろしくなっ!」


どうやら厄介な奴の隣に座ってしまってみたいだ。これからの学校生活が不安でしかない…


 俺らが住む国は、LGBTQや同性婚が完全に認められた国だ。だから、生殖の上での性別はあれど、人としての性別の概念がない。それでいて自由だ。その上、俺が通う月ヶ丘高等学校は、より自由な社会を実現するために、と国を代表し地区を挙げて設立された中高一貫校だ。ほかの学校よりも校則は緩く、めんどうな名簿も、性別で分けることもほとんどない。

 入学当初はクラスの統率を図るために受験番号順に席が決まっていたが、進級して自由席になった。そこで俺がたまたま座った席の隣に座ったのが陽だったわけだ。


 進級から半年が経った。

 陽とはなんだかんだ言ってダチになった。というのも、最初から隣の席だったことや俺に友達が少ないこと、それらをみかねてか陽はなにかと俺に世話を焼いてくれる。あいつはやんちゃで天真爛漫なのにリーダーシップがあって、顔が広いことからクラスの中心人物だ。また、クラス行事等ではよく仕切って働くこともギャップとして人気となっている。そして、とてつもなくモテる。一度、一緒に帰った時に家が近いことを知り、より仲が深まる理由にもなった。


 お互いの両親も『幼馴染のようだ』と喜んでいる。


 しかし、一つ疑問なのは、普段は元気いっぱいでうるさいくらいなくせに俺といるときだけは甘えてくることだ。よくお互いの家で遊ぶことがあるが、毎度そこだけが疑問だ。


   ===


 ―あれから4年。

 ずっと同じクラスで登下校もあれからずっと一緒だ。今日も今から帰るところだ。いつものように俺のいる席に来て、机のそばにかがんで話し出す。


「透ー。今日はバスで帰んねー?雨すげぇし。」

「まあ、いいけど、金あるなら…」

「じゃあ決まりなっ!あと10分で出れるか?」

「ん、おけ。」


にしても、雨がすごい。まだ4月のくせに梅雨時期のような篠突く雨だ。傘が無くても大丈夫だろうか。


「陽ー。お前傘持ってる?」

「あ、無い!ついでに鍵も!」

「お前なぁ…。元気よく答えるとこじゃねえんだよ。どうすんだよ。」

「バスで帰ろうぜ!走ればなんとかなるっしょ!」

「はぁ?ずぶ濡れになんじゃねえかよ!俺濡れるの嫌なの知ってるよな。ってか家は?」

「えぇ~たまにはいいじゃんかぁ。透ん家行ったら、だめ?」


(なんだよその上目遣い…)


いつものように顔に負けて許してしまう。親に電話をかければ大丈夫だと言うので俺の家に帰ることに決まった。雨が少し弱まるのを待ってから鞄をかかえて外に出た。




 乗る予定のバスにもギリギリで乗れ、俺の家へと向かう。幸い、濡れたのは上半身のみだったため座ることはできた。


「とおるぅ…着いたら起こしてぇ……」

「は?!おまっ(小声)」

「――すぅ、すぅ」

「はああ~~~(深いため息)」


 頭を抱えながら横目で陽を見る。窓にもたれて寝ている様は絵に描いたようだ。目にかかるか、かからないか程度のストレートの黒髪に二重幅の綺麗な切れ長の目、そして桜色の唇。何度見ても見惚れてしまうほどの美形だ。


(――綺麗だ。)


陽の顔へ手を伸ばしかけて、はっと我にかえる。


(待てまてまてまて、なんで触ろうとしたんだ?!いや、別に好きも恋なんかもなんm――)


 『恋』

 その言葉に反応する。


 え、なんで今ドキってしたの?なに照れてんだ俺…。俺、陽のこと好きなん?!いや、でも、で、でも、こいつはあくまでもダチだし、落ち着け、こいつをそういう目でみたらこいつを好きな輩から呪われるぞ……。と早鐘を打つ心臓を落ち着かせようとするが、なかなか落ち着かない。


 (どうしよう、これ、昔クラスの女子を好きになったときと一緒だ…。よりにもよってなんでこいつなんだよ……!!ま、まあこんな俺と4年も一緒にいてくれる辺り嫌いではないんだろう、けど、あいつに限って男が好きってことはないよな…。距離感が近いのも、他意もなんもない、もん、な。仮にそうだとしても……)


 もし俺が依存してることまで知ったら――。


 きっと相手が俺であろうと陽は受け入れてくれないだろう。陽への恋心を自覚したはいいが、期待するのはさらさら諦めた。


   ===


 幼いころから中学1年生まで自分の容姿が原因でいじめられていた。女と見間違えられるような顔に茶髪の地毛、おまけに痩せてもいないが人よりは肉付きがいい体、太い脚。何度も女子と見間違えられてはメス豚といじられ、仲間外れにされた。「調子に乗るな」「嘘を吐くな」「気持ち悪い」などと散々罵られた。身体への攻撃はほとんど無かったことだけが不幸中の幸いだ。


 どんなに主張しようが母には無理やりかわいく着せられ、女子には逃げても逃げても捕まり、女の子として扱われた。この世の中なのに、だ。この人はだめだったけれど、この人なら大丈夫かも。と、次から次へ人を信用しては裏切られを繰り返し、また次の人を信じ、といった具合に今も昔も変わらず悪循環している。


 しかし、これもまた自分の悪いところで、期待したところで信用したところでまた裏切られるとわかっていながら人に頼ってしまう。信じてしまう。そしてまた裏切られる。もう飽きるほど繰り返した。おかげで人間不信になってしまった。もはや自分すら信用できない。


 そんな中、唯一心を開けたのが陽だった。陽だけは周りと違って俺に罵詈雑言を浴びせない。そういう差別的な目で見ない。それだけでひどく安心できだのだ。陽が友達になってからというもの、いじめもめっきり無くなった。“陽を敵に回してはいけない”というみんなの共通認識がそうさせたのだろう。

 

 そしてそのまま4年間、俺と陽はずっと一緒だ。優してくれる陽に、仲良くしてくれる陽に、俺は依存してしまっている。ダメだと分かっていても、そう思えば思うほど、離れられなくなる。もちろん、俺だけが知っている顔もある。ずっと、ずっと一緒で、俺だけの陽になればいいのに。絶対に離れたくないし、離したくもない。ずっと、ずっとこのままで――


 いつからか、陽のことをそう思うようになった。

   ===


 依存しているのは自覚していたが、まさか自分に陽へ対しての恋愛感情があるとは思ってもいなかった。この気持ちに気づいてしまった今、俺はこの先どうしたら……。




 そうこうしている間に最寄りのバス停の一つ前まで着いた。


「おい、陽、起きろ。次で降りんぞ。」

「ん~ぅ…」


揺さぶっても起きない。この10分そこらでよくこんなにも熟睡できるものだ。そして、なんて無防備な顔なんだ。イケメンにもほどがある。


「おい起きろっ。置いてくぞ。(わき腹を小突く)」

「んあっ!何しよんねん~。人がせっかく気持ちよく寝とったんにぃ」

「いいから起きろ。降りるぞ。」


 陽は、地方育ちなくせに都市部にあるこの学校に合わせているからか、時折このようになまることがある。この学校に来ると同時に地方からこちらへ引っ越してきたそうだ。

 その方言がかわいく愛おしく感じるのはこの感情のせいなのだろうか……。



 まもなく俺の家へ到着し、陽の親が帰るまで風呂に入ったり部屋でお菓子を食べたりして時間をつぶした。じきに陽の親が迎えに来て、「また明日学校でな!」と元気に帰っていった。


 俺、明日から大丈夫かな。こんな感情、気づきたくなかった……ましてや相手が陽だなんて…

読んで下さりありがとうございます。

アドバイスやご感想等あれば送ってくださるととてもとてもうれしいですm(_ _)m

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