かくれんぼの鬼
「えっ?鬼って人を食べるの?」
新堂は素直に驚いた。
新堂がイメージしていた鬼には、その特性は無かったのだ。
鬼が危害を加えるのはイメージ出来る。
鬼が人を殺めてしまうのもイメージ出来る。
それなのに人を食らうと云うイメージは出来なかった。
「えぇ。食べますよ。それはもうムシャムシャと…。」
御子神は無邪気に恐ろしい言葉を口にしていく。
「平安時代から中世にかけての説話に登場する数多の鬼は怨霊の化身であり、人を食べる恐ろしい怪物と伝えられています。先ほど言った通りなのですが、その時代、社会に合わせて鬼のイメージは変化したのだそうです。そういえば疫神を鬼として考えていた時代もあったそうですよ。要するに疫病、伝染病をもたらすモノですね。」
御子神はー
人差し指を唇に宛がうと何やら考えている様に見えた。
それからー
「あ…。だからですかね…。伝染病の様に感染する。【かくれんぼ】や【鬼ごっこ】で鬼に見つかって触られると、触られた人が鬼になる…。」
と御子神は言葉を発する。
新堂は思う。
そうだ。確かに鬼に触られた人が、次の鬼になるのだ…。
「もういいかい?」「まぁだだよ。」
新堂の頭に声が響く。
「もういいかい?」「もういいよ。」
この何気ない言葉も考えを変えたらー
恐ろしい言葉なのではないか?
鬼に見つかれば鬼になる…。それを知っていながら…。
「もういいよ。」と返すのだ。
【心の準備は出来ました。】
そう告げている様にも感じる。
新堂はー
得たいの知れない恐怖を感じた。