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二十八話西ノ宮詩織編4 妹、襲来

  01



 特訓三日目、今日は俺は体力作りのために師匠の実家の周りを走っていた。流石は金持ちといったところか、一周するだけでも三十分以上かかるとは思いもしなかった。朝から一時間以上は走っているし、少し休憩してもいいだろう。俺はヘロヘロになりながらも専用自販機にまでたどり着き、スポーツドリンクのボタンを押そうとした。





 「やっほ〜、元気にしてたお兄ちゃん」





 自販機の後ろから莉奈や冬雪の妹である詩織が音もなく現れたことで、俺は思わず尻もちをついてしまった。





 「な、何でここに……」







 「他の使用人に尾行してもらってたんだ。わざわざ乗り込まずに学校から逃げるなんてびっくりしちゃったよ」





 まさか後をつけられていたとは思いもしなかった。師匠が気づかない訳がないと思うからこれも試練なのか?





 「冬雪と莉奈は無事なのか?」







 「もちろん。お姉ちゃんたちに危害を加える訳ないよ、継承戦が終わるまで私の家にいてもらうの」





 詩織は口元を歪ませて、実の姉には顔を見せられないような笑みを浮かべていた。相当姉に対するコンプレックスがあるようにみえるな……少し揺さぶってみるか。







 「お姉ちゃんたちと遊べて嬉しいだろうな。君の年頃なら甘えたくて仕方ないだろ」







 余裕ぶって笑っていた詩織は俺が少しからかっただけで眉間に皺を寄せていた。どんどん顔をタコのように真っ赤にして、俺の胸ぐらを掴んできた。







 「私は別にお姉ちゃんたちに甘えさせてほしいからやった訳じゃない!! わかったことを言わないで!!!」







 「ならどうして攫ったりしたんだよ……そんなにムキになるのはおかしいだろ」







 「私だって同じ血を継いだ娘なのにパパはお姉ちゃんたちばっか優先して……と、とにかくあの二人を返して欲しかったら文化祭一週間前までに私の屋敷に来てよ!」





 涙で目を潤ませながら、俺の顔に指を指して高々に宣言をした。冬雪たちを救う期限はあと二週間、時間はあるように見えるが相当力を上げないとまたあの時の二の舞になるに違いない。詩織は俺の顔を手で叩き、一目散に逃げてしまった。





 「……少し揺さぶりすぎたか?」









  02





 一週間後、俺とアキは詩織が住んでいる屋敷にやって来ていた。俺が通っている朱智学園は寮から登校するか、実家から通うかを選ぶことができる。冬雪と莉奈は寮に暮らしながら、高等部に通っているが詩織はわざわざ学校から離れた別荘から登校している。明らかに姉妹で優劣が出来ている証拠だ、莉奈と冬雪の関係から詩織と姉たちの関係。これは本人たちがどうこうというよりかは親の問題かもしれない。



 「師匠上手くやってくれるかな……」

 





 「あの人なら大丈夫だろ。元特殊部隊出身だぞ」





 師匠は最後まで俺に手を出した使用人たちに報復をすると騒いでいたが、アキと二人で頭を下げてお願いをしたらすんなりと受け入れてくれた。……俺たちが昔からやり返さないと気が済まない性格なのはわかっていることだ。



 「手順通り、頼むよアキ」





 俺とアキはハイタッチをし、二手に分かれた。





 「待ってろよ、冬雪……!」




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