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21話 「…お姉ちゃん?」

  01



 夏休みが中間に入り、俺と冬雪はいっしょに忌まわしき宿題に取り掛かっていた。夏休みの宿題を早く終わらせ、冬雪に沢山の思い出を作ってやりたい。そのためには俺が率先して勉強する姿勢を見せないといけない。そう考えていた矢先、突然インターホンが鳴り始めた。



 「アキ、何の用だよ?」





 「頼む! メイド喫茶で働きに行ってくれないか!!」





 アキは玄関前で必死の表情を作りながら土下座をし始めた。頭真夏の暑さのせいでついに頭を壊してしまったか……



 「藪から棒に何を言い出すんだよお前は」





 「いや、実はな……」





 今までクールでナルシストなキャラを気取っていたアキが、ここまで頭のおかしなことを言い出すことは無かった。何があったんだ?



 「本気で言ってるのか?」



 俺は冬雪が後ろで勉強していることを確認し、安堵する。



 「……ああ、だからお前にしか頼めないんだよ」



 アキが取り乱すのもわかる気がする。

 西ノ宮莉奈がわざわざメイド喫茶でオタク相手にフリフリのメイドを着て、バイトをしているなんて冬雪に言えるわけがない。



 「他の執事はなんて言ってるんだよ」





 「継承戦で妹に負けたから頭がおかしくなったんじゃないかって……アイツら自分の主人の悪口を平気で言ってやがった」



 継承戦で負けてしまえば、いくら身内であっても立場は弱くなる。

 ついに莉奈の部下たちは主人を見放すことを選んだのか、情がない奴らだ。アキが珍しく目付きが鋭くなっているってことは相当頭に来ているんだろうな。

 だから文句を言う前に俺に莉奈の様子を確かめに行かせたいのか……





 「事情はわかったよ、でもそう簡単に受かると思うか? この俺が」





 いくらメイドになってから時間は経ってるといっても、所詮俺は男だ。本物の女性には叶うわけがない。



 「男のお前に言うのもあれだけど、案外その辺にいる女より可愛いと思うぞ」



 ぎこちない笑顔でアキは俺の容姿を褒めたことで、少しむず痒い気持ちになった。今まで顔を褒められたことが無かったから、何だか変な気分だ。

 ……もし、冬雪に言われたら今の照れくさい気持ちはどう変わっていくんだろう。





 「……二人ってそういう関係だったんですか?」





 気がつくと勉強していたはずの冬雪が俺の後ろにいた。いかん、今の話聞かれてたか?





 「いやいや勘違いされたら困るな、なぁアキ?」





 「ま、まあそうだな」



 冬雪は不思議そうな顔をして、肩を組みあっている俺たちを見つめていた。やめろ、そんな純粋な目で見ないでくれ! 勘違いしてないでくれ!





 02







 「ふーん、君朱智学園の生徒なんだ……」





 俺は莉奈が働いてるメイド喫茶めぐにゃんという店に面接に来た。

 可愛らしい店員とは裏腹にめぐにゃんの店長はその辺にいる大人と比べると体格がデカい。これ明らかにまずい店なんじゃ……





 「ウチはキモオタ相手に愛想振る舞わなきゃいけないけど大丈夫か?」





 「だ、大丈夫でーす」



 本当は大丈夫な訳ない。冬雪にバレないためにも莉奈がバイトをする理由を探しだして、早急にこの店を辞めよう。





 「君、ウチの店員よりかは可愛いから採用ね。明日からよろしく」





 店長は俺にネコミミとスカートの面積が異常に小さいメイド服を渡し、店長室から出ていった。

 何とか採用はされたけど……この服装は絶対に良くない店だ。俺は短期間で莉奈を連れ出すことを決めた。




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